第95回アカデミー賞®︎脚色賞を受賞した話題作『ウーマン・トーキング 私たちの選択』が現在絶賛公開中。このたびSNSでもその演技と存在感に絶賛の声が多数寄せられている俳優、ベン・ウィショーの演技が光る本編映像が解禁された。
本作は『死ぬまでにしたい10のこと』(03)などで女優として活躍しながら、2006年、『アウェイ・フロム・ハー君を想う』で監督、脚本家としてデビューし数々の賞を受賞したサラ・ポーリー監督・脚本最新作。原作は2018年に出版され、NEW YORK TIMES ブックレビュー誌の年間最優秀書籍に選ばれたミリアム・トウズによる同名ベストセラー小説「WOMEN TALKING」。2005年から2009年にボリビアで起きた実際の事件を元に、連続レイプ事件をきっかけにした、未来を懸けた女性たちの話し合いを描く。
公開初日より、各媒体にてレビューやコラムが多数公開され、SNSでも様々な感想が寄せられている本作。特にSNS上で話題にのぼっているのが、尊厳のために闘う女性たちの隣で、唯一男性として議論に参加した「オーガスト」の存在。「どう考えても彼にしか当て嵌まらない奇跡的な配役」「難しい役柄にもかかわらず最高に素晴らしい演技」「ベン・ウィショーのいい演技を観た」「彼以外演じられないと思わせるほど、完璧なハマり役だった」など、絶賛の声が相次いでいる。
ベン・ウィショー演じるオーガストは、コミュニティの他の男たちから「男らしくない」と思われている優しい男性。彼は村で教師として教育に携わっているが、学校に通うのは少年と若い男性だけで、少女たちは教育を受けていない。オーガストはオーナ(ルーニー・マーラ)と恋仲で、オーナは彼に話し合いの議事録を取るように頼む。話し合いをする女性たち自身は読み書きができないが、その記録を残したかったからだ。
このたび解禁されたのは、男性が女性よりも優位な立場にあるコミュニティのなかで、唯一中立な立場として、女性たちの話し合いを書き留め続けるオーガストの、包み込むような優しさや、コミュニティに男性として属する苦悩が垣間見える本編映像。
映像は、議論の合間に気分が悪くなったオーナに付き添う形で井戸に行くオーガストが、自らの手に水をくんで、オーナの口元に添えるカットからスタートする。オーナは書記の役割を果たすオーガストに感謝の言葉を送るが、オーガストは目を伏せて「ごめん、オーナ」と謝る。加害者と同じ男性でありながら、オーナや女性たちに起こった悲劇に胸を痛めるオーガストの苦悩がその痛々しい表情に表れている。
「君と子供の面倒は僕が見る」と告げるオーガストの静かな微笑みは、彼の中にある愛を感じさせ、「闘って負けたらこの子はほかの家族にもらわれる」と言うオーナに対して、「君はそんなの認めない」と返すオーガストには、表情こそ映されないが、その声色からオーナを信じ励ます力強さを感じることができる。
ベン・ウィショーといえば『007』シリーズのQ役が有名。ジェームズ・ボンドの任務を裏から支える武器開発担当部門の責任者という役どころもあって、クールでどこかおちゃめという印象が強いが、本作では、女性たちと同じように心を痛める、物静かなやさしい男を演じている。
SNSで絶賛されるベン・ウィショーのオーガスト。女性たちの話し合いを記録として残すほかにも、これからのコミュニティにとって重要な使命を担うことになるのだが──、その使命とはいったい何なのか、劇場で確かめてみよう。
また、本日6月13日(火)、渋谷ホワイトシネクイントにて、トークイベント付き上映が開催。今回は、清水晶子(東京大学総合文化研究科教授)、斉藤綾子(映画研究者/明治学院大学文学部芸術学科教授)を招いてのトークイベントで、19:00上映回、上映後に実施予定。
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』はTOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国上映中。
渋谷ホワイトシネクイント トークイベント付き上映
6/13(火) 19:00の回 《上映後》
登壇者:清水晶子(東京大学総合文化研究科教授)
斉藤綾子 (映画研究者/明治学院大学文学部芸術学科教授)
<清水晶子>
東京大学総合文化研究科教員。専門はフェミニズム/クィア理論で、最近の研究関心は、フェミニズム理論史および非規範的な身体やアイデンティティと関わる性の文化政治。著書に『フェミニズムってなんですか?』『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』『読むことのクィア』など。
<斉藤綾子>
映画研究者 上智大学文学部心理学科卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)映画テレビ学部大学院博士課程修了、PhD(映画学)。明治学院大学文学部芸術学科教授。専門は映画研究、フェミニズム批評。共編書に『映画と身体/性』(森話社、2006年)、『映画女優 若尾文子』(みすず書房、2003年)、『男たちの絆、アジア映画』(平凡社、2004)』、『可視性と不可視性のはざまで 人種神話を解体する 1』(東京大学出版会、2016年)など。日本映像学会会長、山形国際ドキュメンタリー映画祭、東京国際映画祭、ソウル国際女性映画祭などで審査員、毎日映画コンクールの二次選考委員などを務める。1997年から婦人民主新聞「ふぇみん」の映画評を担当。
共催:駒場キャンパス SaferSpace(KOSS)
◆チケット発売
ご購入はこちらから https://www.cinequinto.com/white/ticket/
◆会場
渋谷ホワイトシネクイント
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ8階
ウーマン・トーキング 私たちの選択
2023年6月2日(金)TOHO シネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開
STORY
2010年、自給自足で生活するキリスト教一派の村で起きた連続レイプ事件。これまで女性たちはそれを「悪魔の仕業」「作り話」である、と男性たちによって否定されていたが、ある日それが実際に犯罪だったことが明らかになる。タイムリミットは男性たちが街へと出かけている2日間。尊厳を奪われた彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う―。
監督・脚本: サラ・ポーリー
キャスト:ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、フランシス・マクドーマンド ほか
製作:デデ・ガードナー、p.g.a./ジェレミー・クライナー、p.g.a./フランシス・マクドーマンド、p.g.a.
製作総指揮:ブラッド・ピット、リン・ルチベッロ=ブランカテッラ、エミリー・ジェイド・フォーリー
原作:ミリアム・トウズ(「WOMEN TALKING」)
配給:パルコ ユニバーサル映画
© 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved
公式サイト womentalking-movie.jp
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