イタリアンホラーの生ける伝説の初期代表作「ダリオ・アルジェント 動物3部作」の一挙上映企画が11月8日(金)より公開。このたび“鮮血の芸術家”アルジェントに魅せられた吉本ばなな他著名人からの推薦コメントが到着した。
極彩色の悪夢的なビジュアルと先鋭的な音楽を融合し、それまで低く見なされがちだったホラー映画を官能的なアートへと昇華させた、イタリアを代表する映画監督ダリオ・アルジェント。今日に至るまでホラー映画のマエストロとして君臨し、全世界の映画ファンから賞賛され、多くのクリエイターに影響を与え続けている彼が1970年代前半に発表した3本の初期代表作は、いずれもタイトルに動物の名が含まれていることから「動物3部作」(アニマル・トリロジー)と呼ばれている。
1作目『歓びの毒牙(きば)』(1969)は、主人公が目撃した「事件」を回想する構造を用い、観客が真相に迫るスリルを追体験するという、視覚的効果とサスペンス要素を融合させた画期的監督デビュー作。続く2作目『わたしは目撃者』(1970)は盲目の元新聞記者が主役の本格サスペンスにして、アルジェントの永遠のテーマ「視覚の喪失」を見事に映像化した作品。そして3作目『4匹の蝿』(1971)は、現実の世界と悪夢の融合という彼の個性的な作風を確立した先駆的な作品だ。
このたび、その3作品を一挙上映する『ダリオ・アルジェント 動物3部作』の場面写真が解禁。あわせて吉本ばなな、平山夢明、小島秀夫ら各界著名人からの推薦コメントが到着した。コメント全文・一覧は以下のとおり。「ダリオ・アルジェント 動物3部作」は11月8日(金)より新宿シネマカリテ、菊川Stranger、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。
推薦コメント(敬称略・順不同)
アルジェント監督の映画に心底魅せられた人たちは、幼い頃に「孤独」というものを知った人たちだと思う。そんな人はみな思う。
「この映画は私の心の中を映している。そこには常に根源的な恐怖があった」
長くアルジェント監督の映画を観てきた私もまた、そういうひとりである。
彼の映画でしか満たされない視覚の感動がある。現実では矛盾しているかもしれないけれど、悪夢の世界では当然の映像の流れがある。
そしてそれらはなぜか私を癒してくれるのだ。
──吉本ばなな(小説家)
ダリオ!あんたはどうしていつもこうなんだ!と叫ぶ自分ですら既に愛おしい。
人を獣の論理で描き尽くす鬼才。あなたの頭蓋になぜ?どうして?どうやって?の蜘蛛の巣が張り巡らされたら彼の勝ちだ!
──平山夢明(作家)
なんとアルジェントの初期作品である「動物3部作」が一挙劇場公開される!
『歓びの毒牙』(1969)『わたしは目撃者』(1970)『4匹の蝿』(1971)」を順に観ていくと、アルジェントがジャッロ映画の監督として頭角を現していくだけではなく、これまでにない“ビジュアリスト”して熟成していく様を目撃することになる。
そして、何よりも、これらはあの傑作『サスペリア PART2』へと繋がる“習作”でもあることだ。
この3部作を担当するモリコーネの音楽も、ゴブリン採用へと繋がる“エチュード”でもあるのだ。
──小島秀夫(ゲームクリエイター)
『歓びの毒牙』の洒脱、『わたしは目撃者』の愛嬌、そして『4匹の蝿』の鋭利さ……。
みずみずしく鮮やかな「動物3部作」に常に感動させられるのは、
とてつもない才能の誕生を目撃できる歓びに満ちているからだ。
──高橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)
アルジェントが“イタリアのヒッチコック”と呼ばれた頃の初期3部作だが、
あらためて見直すと、どこをどう切ってもアルジェント。
本人が語るように、彼の描く殺人は「純粋に美的」なものであり、
常に「死者の祝祭」として演出されているのだ。
──伊東美和(ゾンビ映画ウォッチャー)
アルジェント初期3部作を一気見して、現代の作品と比べても全く遜色のない、いやむしろ近年の表現のまだ先をいく、スタイリッシュで構図の極まった映像の数々に衝撃を受けた。
『歓びの毒牙』の画廊を始め、鮮烈な画でブッ飛び気味の話をグイグイ力づくで引っ張っていく唯一無二の面白さ!!これをスクリーンで体験できるなんて……!
リバイバルブームがこれからも続いて、こういった作品が次々と再び日の目を見ることを願う。
──人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
伝説は一日にして成らず。
暗い鏡に映る心の深淵に、恐怖の真髄を探る若きアルジェントのめくるめく魂の旅の出発点。
歴史的傑作『サスペリアPART2』へ向かって、青い果実が妖しく色づいてゆく歓びの「あなたは目撃者」となる。
──山崎圭司(映画ライター)
往年のファンはもちろんですが、アルジェントのことを知らなかったような若者など、ご新規さんのことも考えつつ、美しく蘇った映像に合わせ、字幕を刷新しました。
どうぞ、ホラーだと身構えず。初期のミステリー要素強めのゾクゾク感は、アルジェント入門に最適ですよ。
──野村雅夫(ラジオDJ・翻訳家/京都ドーナッツクラブ代表)
上映作品
①『歓びの毒牙(きば)』 (L'uccello dalle piume di cristallo)
監督・脚本:ダリオ・アルジェント
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:トニー・ムサンテ、エヴァ・レンツィ、スージー・ケンドール
【あらすじ】
アメリカ人作家サム・ダルマスはローマに滞在中、ギャラリーで起こった殺人未遂事件を偶然目撃する。謎の連続殺人事件に巻き込まれた彼は帰国を断念し、現場で耳にした《鳥の鳴き声》を手がかりに真相を解き明かそうとする。
【作品概要】
原作はフレドリック・ブラウンの『通り魔』。アルジェントの監督デビュー作であり、彼の独特の映像美学と緊張感あふれるストーリーテリングが光る作品。特にショッキングなビジュアルと斬新なカメラワークが特徴で、後のジャッロ映画に多大な影響を与えた。
1969年/イタリア・西ドイツ/97分/カラー/スコープサイズ/イタリア語モノラル
©TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All Rights Reserved.
②『わたしは目撃者』 (Il gatto a nove code)
監督:ダリオ・アルジェント
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジェームズ・フランシスカス、カール・マルデン、カトリーヌ・スパーク
【あらすじ】
遺伝学研究所での謎多き侵入事件と、所員である博士の列車での轢殺事件。関係者が次々と殺される中、盲目の元新聞記者フランコ・アルノと若き新聞記者ジョルダーニは、決死の覚悟で犯人を追い詰めていく。
【作品概要】
『歓びの毒牙』大ヒットを受け、各国からの出資を受けて作られた監督第2作。サスペンスとスリルに満ちた心理描写、科学と犯罪が絡み合うプロットが魅力の本作で、アルジェントは自身の十八番である華麗なる殺人描写に磨きをかけていった。『ダーティハリー』『時計じかけのオレンジ』『フレンチ・コネクション』などがひしめく1971年の映画興行界でイタリアを代表し、ジャッロ映画の礎の形成に寄与した。
1970年/イタリア・西ドイツ・フランス/112分/カラー/スコープサイズ/イタリア語モノラル
©TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All Rights Reserved.
③『4匹の蝿』 (4 mosche di velluto grigio)
監督:ダリオ・アルジェント
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:マイケル・ブランドン、ミムジー・ファーマー、ジャン=ピエール・マリエール
【あらすじ】
ロックバンドのドラマー、ロベルトは黒いハットの男に付きまとわれていた。ある晩、限界に達したロベルトは男に詰め寄るも、揉み合いの末に誤って彼を殺害。その現場を覆面を被った謎の人物に撮影されてしまう。やがて脅迫電話がロベルトを襲い、彼の周りでは不可解な殺人事件が起こり始める。
【作品概要】
「動物3部作」において最も音楽と映像の融合が際立つ作品。残酷と優美が同居する、アルジェントの革新的かつスタイリッシュな演出が光る。そして映画のラストを飾る驚異的なスローモーション撮影は、圧巻の一言に尽きる。
1973年/イタリア/104分/カラー/スコープサイズ/イタリア語モノラル
©1971 SEDA SPETTACOLI ALL RIGHTS RESEVED. ©SURF FILM SrI ALL RIGHTS RESERVED.
ダリオ・アルジェント 動物3部作
2024年11月8日(金)より新宿シネマカリテ、菊川Stranger、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督:ダリオ・アルジェント 音楽:エンニオ・モリコーネ
提供・配給:キングレコード+Cinemago
© TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All Rights Reserved.
© 1971 SEDA SPETTACOLI ALL RIGHTS RESEVED.
© SURF FILM SrI ALL RIGHTS RESERVED.
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