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漫画・アニメのクリエイターを数多く輩出してきた“アニメーション首都”新潟にて行われる「第3回新潟国際アニメーション映画祭」が3月15日(土)に開幕し、開幕2日目となる3月16日(日)は豪華ゲストが登壇するイベントや貴重な上映が目白押しの1日となった。

レトロスペクティブ:今 敏 アニメータートーク (3月16日(日)シネ・ウインド)
登壇:本田雄(『千年女優』)小西賢一(『東京ゴッドファーザーズ』)安藤雅司(『妄想代理人』『パプリカ』)
MC:藤津亮太

3月16日シネ・ウインドにて【レトロスペクティブ:今 敏】で『千年女優』の上映が行われ、今監督と一緒に作品を作ってきた『千年女優』の本田雄、『東京ゴッドファーザーズ』の小西賢一、そして『妄想代理人』『パプリカ』の安藤雅司が新潟に集結、豪華アニメータートークが実現した。第一人者たちが勢揃いとあり、開会前から非常に注目度の高かった上映回だ。

今監督とともに『老人Z』に参加しているものの、そのとき会うことはなかったと語るのは本田。飲みの席で『千年女優』へ誘われたのだという。「気心しれた仲間とやりたいという気持ちがあったのかな。今さんもなんだかんだ言っても漫画家なので、人を集めるのに苦労していたと思う。最初に業界に入った時の知り合いは、沖浦(啓之)さんとか井上(俊之)さんとかもうすでに売れっ子の人たち。それよりも若手になっちゃうと全然知り合いがいない。自分を突破口にしてもうちょっと若手人脈を広げようかなという思いがあったみたいです』と振り返る。

今 敏という存在を認識した時期について聞かれると「『ジョジョの奇妙な冒険』とか見てましたし注目もしてました。もしかしたら『機動警察パトレイバー 2 the Movie』のレイアウトの本が出た時に今さんの名前がインプットされたのかもしれませんね」と小西。「今さんの名前は漫画家さんとして知っていて。「海帰線」とか持っていたので、すごい絵の上手い漫画家さんというイメージでした。ジブリに入った時に「海帰線」を近藤喜文さんが持ってきて「こんなの知ってる?」と若い人たちに見せてくれて。“すごいうまいよね”みたいな言い方はしないんだけど、若い人に触発させるような感じでみんなに見せていたのは覚えてますね」と回想した。

今や第一線で活躍する三人。今監督自身、高い画力のある監督だが、「ある程度自分の方でやるというスタンスでしたね。今さん自身レイアウトは全部直すみたいな。自分も勉強にもなるし、そのスピードに追いつくのが大変でした」(本田)「『東京ゴッドファーザーズ』の時はもう今さんのイメージキャラというかイラストがあって、すでに色がついていて。それを見て僕がキャラクター表を書いても全然良さそうじゃないんですよ(笑)どうせ本編になったらまずは自分が描くからキャラデは一応放置してくれたというか。ハナちゃんに関しては本編の方がふっくらしてるんですよね、今さんのイメージキャラより。多少描いていくうちに僕の描き方になっていったということはあるけど、ベースは”今さんこんなん描いちゃってるじゃない!”という感じですね(笑)」(小西)「最初にシナリオコンセプト的なものを読ませてもらって、ファーストインプレッション的なものをとりあえず絵にしてみる。それを結構面白がってくれたのが『妄想代理人』。その流れで『パプリカ』も同じような感じでやりましたね。『妄想代理人』は人間動物園的な方向っていうのが面白いんじゃないのかなというのをとりあえず描いてみますと言ったのが面白かったみたいで」(安藤)。

当時の制作現場を振り返ると「モノによっては今さんの方で仕上げてしまったりするものもすごい多い。例えば映画のポスターの絵面とか、いつの間にかどんどん出来上がってる。今さんもあの時デジタルで着彩したりし始めた頃だったんで、楽しんでやっていたんだろうなと。今さんの繋がりの人は絵がめちゃめちゃうまくて、作監としてそういうのを間近で見られるというのは意識が上がりましたね」(本田)

B4の紙にフレームを切って、少し大きめにかいたものを取り込んでフォトショップで絵コンテ状に構成していくというやり方は『東京ゴッドファーザーズ』で完成したとのことだが、その渦中にいた小西曰く「確かコンテの絵を拡大してこれをそのままレイアウトに使っていいということになっていくんです。Aパートはまだそのつもりで描いてなくて、それまでどおり上がったものを直すみたいな形だったと思うけど、次第にもうレイアウトはコンテで描いちゃうから作画マンは作画に集中してくれという感じに移行していった感じです。ただ僕から見るとAパートがBパートと描き方が違うんだと言われてもさっぱりわからない(笑)これはコンテ用に描いてるんだからさぁとか言うんだけど。ご本人の意識として、これを使われていいんだという意識で書いたものとコンテだからという意識で書いているものは違うという、本人にしかわからないようなことなんじゃないかとは思いましたけどね」。

今監督とのやりとりで三人が口を揃えたのは「原画マンには気を遣って優しかった」ということ。ただ、「原画マンには怒らないんだけど制作には怒ってて。やっぱりこう、コワモテだから(笑)体もデカいし(笑)」(本田)「認められないアニメーターには毒舌(笑)」(小西)「酔っ払ってくると毒舌、面白いけどそろそろこっちにお鉢が回ってきそうで(笑)」(安藤)と、今監督の人間臭い一面が語られると場内からも笑いが。

さらに「『パプリカ』の時に『機動戦士ガンダム』のオールナイトみたいにして、酒飲みながらつまみ食べながらの劇場版の上映会みたいなことをやった」と安藤が振り返ると、「『千年女優』やってるときに年末、今さんちで忘年会やってた時にテレビでガンダムの劇場版が除夜の鐘が鳴る前に始まって。見終わって『いいなぁ』なんて言ったら今さんが『2,3もあるよ』なんて出してきて、結局朝まで全部で7時間、ぶっ通しで見ました。見ながら、今さんが展開を先取りしていっちゃうんですよ、セリフとか(笑)」(本田)「セリフを先取りしていっちゃうってのはありましたね(笑)」(安藤)と思い出話に花が咲くも、『東京ゴッドファーザーズ』の時は?と聞かれた小西は「記憶にございません(笑)」と答え、一番場内を沸かせていた。

最後に安藤は、「今さんがご存命で作り続けていたとしたらどこかでまた違ったものが残せたのではないか。亡くなるまで作り続けることを1つのテーマみたいにしてやっていたと思う。作り続けるためのネタ出しをしていたけれど、しまっていたものもある気がして。次の作り方というのがあったときにあの演出力、あの画力でもって何が作れたのかなというのはものすごい気になるところですよね。やって欲しかったなと思っています」と締め括った。

イベント上映:『BONES 25: DREAMING FORWARD』(日報ホール)
登壇:南雅彦(株式会社ボンズ代表取締役)

全世界で話題になりながら⽇本未公開だったフランス発のドキュメンタリー作品が新潟で本邦初公開。アニメ制作スタジオ「ボンズ」の創設と 25 年にわたる歩みを描いた作品だ。『カウボーイビバップ 天国の扉』や『鋼の錬⾦術師 FULLMETAL ALCHEMIST』、『僕のヒーローアカデミア』など、数々の名作を⽣み出してきたその魅⼒と歴史を探る作品だ。「ボンズの歴史」「スタイルと独創性」「成功したアダプテーション」「メタリックルージュ︓ボンズの未来」の4部で構成され、ボンズ代表の南雅彦を始めとして、漫画『モブサイコ 100』の作者・ONE、『カウボーイビバップ』『スペース☆ダンディ』の監督・渡辺信⼀郎、『⽂豪ストレイドッグス』の原作者・朝霧カフカ、『メタリックルージュ』の監督・堀元宣、総監修・シリーズ構成を⼿がけた出渕裕ら 30 名以上の関係者が出演。これが最初で最後の上映になる可能性もある貴重な作品とあって会場には多くの観客が詰めかけ、上映前には南が挨拶を行った。

「ボンズ設立25周年ということでクランチロール(アメリカのVODサービス)さんから作りましょうと言ってもらいました。我々制作会社というのはどちらかというと裏方で、前に出て欲しいのはクリエイター。そして一番は作品を見てもらいたいというのはあるんですが、今回は良い機会というか。自分では中々思いつかないんですが、クランチロールさんに作っていただくことになりました」と制作の経緯を説明。

見どころとして「基本的にはインタビュー中心で、その他ボンズが作った映像や、サンライズ時代に自分がプロデュースした作品の映像も入っていますので、その辺も楽しんでもらえるのではないかと思います。インタビューは、うちの会社の作品作りに携わってくれたクリエイターやアニメーター、テレビ局の方など40名ぐらいのものが入っています。普段聞けないような話や、アニメーションを作る上でこういうところで一緒に仕事をしていたんだなというのを見てもらえると思います。面白く出来上がっているんで楽しんでいただけると嬉しいです」と紹介。

「最初ボンズを作った時は9名ぐらいで。サンライズから仕事をいただいて、『天空のエスカフローネ』や『カウボーイビバップ 天国の扉』を作りながら、『機巧奇傳ヒヲウ戦記』というオリジナルアニメーション、自分がサンライズ時代からこういうテーマでやってみたいなと思っていた作品を作るところから始まって。オリジナル原作というところにこだわり、何とか25年間やってきたなというところを見てもらえると良いかなと思っております」と25周年の感慨を語った。

トークイベント:アニメーター川元利浩 (日報ホール)
登壇:川元利浩(株式会社ボンズ取締役) MC:数土直志

日本の観客の前に登場することが中々ないという川元は「単独の個展やアニメスタイルさんの企画以来。パネル展もコロナ化で流れてしまったので」と今回が久しぶりの機会であることを話しつつ挨拶。

アニメーターになったきっかけを聞かれると「白い紙があったら落書きをしていて、授業も聞かずにずっと教科書に描いていた」と少年時代を語る。その上で「自分が高校卒業して社会人のサラリーマンとして働いていた1982年ぐらいの頃に劇場公開された作品やテレビシリーズの刺激を受けたっていうのが1番大きいですね。宮﨑駿監督の『風の谷のナウシカ』であったり、少し前ですけど『ルパン三世 カリオストロの城』もありますし、あと『超時空要塞マクロス』や『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とか。その辺が立て続けに公開された時期で、かなり刺激を受けたっていうのはあると思います」と自身のこれまでを振り返る。

その後、自分がアニメーターに通用するぐらいの絵は描けるという自覚を持ったのはいつだったのかと聞かれると「その頃まだSNSがなく、画を評価してもらう機会が本当に少なかった時代なんで、とりあえず投稿イラストが掲載されることで何となく受け入れられた気がしていた。でもやっぱりプロに入っていくのは、絵心だけではできない仕事なのだとは思いました」と、アニメーターの世界の厳しさを語る場面も。

その後どのようにしてプロとしての歩みを始めたのかと聞かれると、「デビューは1985年の4月ですね。専門学校に行って、動画作業を行う集まりである『グループどんぐり』に席を置かせてもらって始めました。その頃どんぐりでは、サンライズさんやスタジオディーンさん、スタジオぴえろさんの3社の仕事を受けていて、その中でタイトルやキャラクターデザイン的に藤子作品の線を最初にトライさせるのが良いんじゃないかとのことで始めたのが『プロゴルファー猿』だったんですね。その後しばらくして『うる星やつら』で、ようやく初クレジットされました。ちなみに180話です」と最初に手がけた作品、そして記念すべき初クレジット作品を話す。

さらに「入って2ヶ月目から劇場作品ありの作品のみ担当することになり、『アリオン』の動画に参加しつつ『機動戦士Ζガンダム』の動画も合間にやっていて。その時に活きのいい新人いないか?というところでデータ監督を少しさせてもらって、それがきっかけで制作現場のデスクの方に名前を覚えてもらった。その後『機動戦士ガンダムΖΖ』の企画が動く時に声を掛けてもらい、晴れて原画マンになったという流れです」と明かした。

特に版権絵を描くことも多い『ガンダム』についての想いを聞かれると「安彦良和さんというファーストガンダムのキャラクターデザインをされている方がいるんですけど、自分もこういう画が描きたいっていう思いが強くあって、なんとかそのテイストが出せないか、絵を描くときにチャレンジしてたっていうのは覚えています」とレジェンド安彦良和を意識していたことを話す。

また、川元の代表作の一つ『カウボーイビバップ』の話題では、数土もアニメーションのオープニングベスト3があれば必ず入ってくると絶賛。川元は、ブルーノートのレコードのジャケットの雰囲気とカラーリング、当時のノイジーな写真処理を乗せたいと言う演出側の依頼があったと明かした。特にうまく描けたと思う時はどういう時なのかと問われると、「オーダーしてくれた人が喜んでくれるに越したことはないです」としつつ、「『カウボーイビバップ』のデザイナーから洋楽のジャケットのパロディを作りたいという依頼に対して、その意図を汲んで仕上げて喜んでもらったので、うまくいったと思いました」と謙虚に答えた。

数土は「安彦さんの画を描かせると川元さんが一番」としつつも、柔らかい安彦の絵に対して、シャープな印象があると話す。川元は「まだまだ未熟ということなんだと思う(笑)」とし、「『交響詩篇エウレカセブン』で吉田健一君が描いた絵を描くときとか、やっぱり柔らかいタッチで仕上げている絵は鉛筆を3Bや4Bに変えるなりして、柔らかい線を目指すようにはしてるんですけど。ボンズにはクールでシャープな絵を描くアニメーターが多くいる中で、吉田健一君や小西賢一さんのテイストが流れ込むことでまた良い化学反応が起こると面白い絵になるのではと思います」と、自身が所属するスタジオ・ボンズへの思いも語った。

多岐にわたる作品の数々に終始観客も興味津々だったが、改めてアニメーターとしての想いを聞かれると「これ誰が書いたの、と言われるのが自分のテーマ。なるべく原作ファンを大切したいので、キャラクターはそのまま動かしたいなと毎回原作ものに対しては思う」とそのこだわりを熱く語る。最後に「アニメーター人生40年の歴史をご紹介いただきました。今も4月から放送の『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』や未発表の新作アニメのキャラクターデザインも控えています」と今後の作品について語り、幕を閉じた。

レトロスペクティブ:今 敏 美術監督トーク (シネ・ウインド)
登壇:池信孝(美術監督) MC:藤津亮太  

『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』から『パプリカ』までの今 敏監督の劇場公開作の全てを支えてきたのが美術監督の池信孝。自身のアニメ業界入りの経緯から、今監督との仕事の細部まで、今監督との言葉を織り交ぜながら語った。

自身は「1965年、昭和40年代に生を受けたものとして当然ヤマト・ガンダム世代」と語る池。幼い頃転校生だったときいじめに近いことがあり、それを見かねた担任の先生が書いた絵を教室に貼り出してくれたことがきっかけで「もしかして俺って絵が描ける人なの?」と思ったことが原体験としてあるという。そこから専門学校を経てスタジオコスモスに入社。美術という仕事は作業の性質上、徒弟制度のようになることが多いそうだが、入社してすぐに諸事情あり、残ったスタッフでスタジオキャッツを立ち上げたため師匠と言える人はおらずという異色の経歴。「当時のTVアニメをご覧になった方は思い当たることがあるかと思いますが、結構物足りないんです。単純にいうとディテールの量でしょうね。TVアニメの方法論に従って、自分のルーティンで作れてしまう背景が、改めて自分の仕事として始めてみるととても目につくんですね。これつまんないなと思って。自分の方法で調整してやっていく作業を続けていると、そういうの見ている人がいるんですね、アンテナを張っている人たちが」。それが池が美術監督として参加しキャリアを積むことになるマジックバスの出崎哲や、『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』プロデューサーの丸山正雄だった。

今監督との初対面の印象を聞かれると「諸星大二郎の漫画に怪しげな中国の道士が出てくるんです。背が高くて髭をはやしてて…『似てるな…』って(笑)」と話すと会場からも笑いが。

『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』での思い出として大変だったのは「未麻の部屋」だと振り返る池。「“普通の生活をしている”というのが大変だった。一番最初に未麻の部屋を描き始めたんですがなかなかOKが出なかった。ここだけやっててもしょうがないから他のところも進めようとやっていくうちに未麻の所属事務所の本番ボードを書いたときに『これ!』というのが出た。それは線の残し方だったんですね」と明かした。「普通の女の子が暮らしている決してリッチではない、いろんなものがぎゅっと詰まっている部屋の“ぎゅっ”を伝えるためには実線があった方がいいということですね」と藤津が聞くと、「情報量があって、そこに線があることによってセルで描かれているかのような錯覚を持たせることができる。セルが多い=緻密っていうある種の騙しのためにそういう作業が必要だったのかなと考えて進めていきました」と語った池。

さらに「そもそも未麻の部屋というのは誕生した瞬間からデジタル化が技法として最も向いている部屋だったんですね。当時デジタル作業というものがあったとしたらもっと容易にイメージに近づけたんじゃないかと思う。監督もそういうことを考えていたわけではないだろうけれど、その頃からすでにデジタル化との親和性というのはありますね」と語った。その後の今作品の進化の方向はもうすでに『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』の中にあったということだ。

また「未麻の部屋の色を決める時に赤いものを入れてくれと。なぜ赤いものかというと『血なんだよ』と。サスペンスとして、それからもう一つ。未麻は女で、生理の血というものが不可分であるからそういうことを含ませているというのを断片的に聞きました。そういうことを聞くと面白くなってくるわけです。だから特に言われてもいないのにポイントポイントで赤をさしていくという風になりました」と話した。

『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』で「正解出すまでに時間も費やしたし、次はないなと思っていた」が、『千年女優』で再度指名が来た時には「驚いた」と語る池。この作品では白黒でスタートし、次第に色がついていく過程をどう見せるのか難しいところだったという。「白黒も単純にやると全体が青みがかって見えるんですが、『こんな白黒がいいんだよね』と監督が出してきたのが旧満州の写真集。これがちょっと赤みがかっていたんですね。最終的にはオレンジを入れてある程度調整しながら進めていきましたね」と振り返る。

『東京ゴッドファーザーズ』ではフォトショップを使うのが徐々に増えてくる時期に入るが、池自身デジタル化には全く抵抗がなかったそうだ。今監督からも言われたことで印象に残っているのは『人間の手では描けない背景にして』という言葉だったという。一つは「窓の表情」だという池は「手で描いていくとルーティンになる。同じような窓が並ぶことになる。でも実際の窓の素材をはめ込んでそれを馴染ませるようにしてあげると本物の写真ではないし、絵のままでもないという中間の情報量を持った画面が出来上がるんです。これは相当多用してます。実際にあるものの説得力ってかなり強い。ただ、そのまま使う情報量が無駄に多いのでそれを間引かなくちゃいけない。情報量を増やそうと思って写真素材を持ち込んで加工していくんだけれども、途中から逆に間引いてディテールを減らしていくという作業になっていく。やっていて面白かった」と振り返った。デジタル化により様々な工夫を凝らした『東京ゴッドファーザーズ』だが、完成したのち海外の映画祭から帰ってきた今監督から「今回の作品では今までと違って背景のことばっかり聞かれるんだよね」と言われたといい「嬉しかったですね」と話した。

それに対し、悔いが残るのは『パプリカ』だと明かす。「ずっと続いて習い性になっていたんでしょうね。手がかりがないまま進んで終わった。前3作は技術、与えられた時間、置かれた環境の中である程度やった、でも『パプリカ』だけは、今やれば絶対もっといいものになるという気持ちがあります。唯一悔いが残ってる」。

池から見て今監督はどんな人だったかと問われると「過去の財産を大事にする人ですかね。せっかく自分が作品を作る機会を与えてもらっていて、目の前には先人たちが積み上げてきた色々なものがつながっているのにそれを参考にしないのはどういうことなのというのはよく言っていた。だから見るひとが見れば“このシーンはあそこからの引用だ”なんていうのは今監督の作品には結構多いですよ。それが割と露骨に出ているのは『パプリカ』のオープニング」と話すと、藤津も「基礎教養としての映画や映像、あるいは漫画も含めたいろんなカルチャーの厚みを受け継いで、今、自分の作品を作っているという度合いが高いということですかね」と考察。池は当時の今監督の言葉を振り返って「アニメーションには無限の可能性がみたいなこと言ってるのにやっていることは同じ。ロボットが出てきたり美少女がキャピキャピしていたり。そういうのがあってもいいけど、みんながそれをやるのはどうなのよということはよく言われていました」と、今監督が持っていたアニメ業界に対する危惧も明かした。

「表層的にはお酒、タバコ、映画、そして平沢進が大好きなおじさん」と今監督を評した池は、自分のアニメ人生においては「映像に対するものの考え方というのをまとめてくれた人。漠然と“こういうやり方ってつまんないな”と思っていたことを可視化して言葉にしてくれた人」と語った。

開催情報

第3回新潟国際アニメーション映画祭
2025年3月15日(土)~20日(祝・木)開催

場所:新潟市民プラザ、日報ホール、シネウインド、T・ジョイ新潟万代(上映)
開志専門職大学、新潟大駅南キャンパスときめいと(シンポジウム、展示)

英語表記:Niigata International Animation Film Festival
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ

公式サイト https://niaff.net

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