リム・カーワイ監督のデビュー作『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』デジタル・リマスター版が、11月29日(土)よりシアター・イメージフォーラム、2026年1月3日(土)よりシネ・ヌーヴォほか全国順次公開。このたび、斎藤工、三宅唱監督ら著名人より絶賛コメントが到着した。

大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称する映画監督リム・カーワイ。その原点となる『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』がデジタル・リマスター版として、15年の時を経てスクリーンに蘇る。
このたび、国内外から絶賛コメントが到着した。俳優・映画監督の斎藤工は「今この路線、この世界線で無ければ、二度と出会えないであろう傑作」と、リム監督への賛辞を送った。アーティスト、ドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤は「最小限かつ饒舌なふたつの世界を生み出している本作は、お互い必要不可欠な関係性そのものを炙り出し、その世界の在り方証明してしまった」、ライター・編集者の小柳帝は「空間的な演出が、アイデンティティを喪失した寄る辺のない主人公の心象と見事に響き合っている」、映画評論家のパノス・コッツァータナシスは「物語の前半では人々の疎外を、後半では復讐を主題に据え、そしてリムは、後半で人間を非合理的に突き動かす原動力として「欲望(強欲)」を描き出している」と、絶賛コメントを寄せている。
『旅と日々』が大ヒット中の三宅唱監督は「ラストカット、呆然としながら問答無用で気持ちが高揚してくるこの不思議な感覚こそ、まさに映画だ。もう止まらない。リム・カーワイのアンストッパブルな映画人生はここから始まった!」と、その衝撃を語った。小田香監督は「才気煥発」「驚きの絶えない、大好きなノンフィクション」、『来し方 行く末』のリウ・ジアイン監督は「観る者はすぐに気づくだろう──目に見えるもの、耳に聞こえるものをそのまま信じてはいけないと」と、リム監督作品への思いを寄せた。コメント全文・一覧は以下のとおり。
コメント全文 ※順不同、敬称略
■斎藤工/俳優・映画監督
自分が今どのレイヤーに存在しているのか、そもそも存在していないのか。
何処となく感じていた、生きている事の浮遊感の理由の様なものがこの作品に描かれていた。
そして自分が最も恐れている事は、存在を忘れ去られる事なのだと教えられた気がした。
今この路線、この世界線で無ければ、二度と出会えないであろう傑作。
■三宅唱/映画監督
見たことがないものを見たければ、聞いたことがない音が聞きたければ、この映画だ。
ラストカット、呆然としながら問答無用で気持ちが高揚してくるこの不思議な感覚こそ、まさに映画だ。
もう止まらない。リム・カーワイのアンストッパブルな映画人生はここから始まった!
■小田香/映画作家
才気煥発。「映画流れ者」を自称するリムさん。この映画の中にリムさんご自身が詰まっている気がする。リムさんの恐怖、リムさんの予感。
こんな風にフレイミングしたら世界が伸縮するんだ。こんなショットであれば、あれこれ説明しなくてもその場に流れてきた時間の長さとそこにいる人間がうつせるんだ。そしてなぜかそのショットには時空の割れ目があって、別次元(同次元?)のもうひとつの現実に誘われる。驚きの絶えない、大好きなノンフィクション。
■リウ・ジアイン/映画監督(『来し方 行く末』)
『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』は、構成の妙と挑戦性に満ちた作品だ。
観る者はすぐに気づくだろう──目に見えるもの、耳に聞こえるものをそのまま信じてはいけないと。
一見シンプルで素朴に見える映像や音の裏には、巧妙な仕掛けが潜んでいる。
観る者は自らの感覚と判断を働かせながら、物語の進行とともに想像を広げ、サスペンスと戸惑いの中で、自分自身の答えを探し出すことになるだろう。
■ヴィヴィアン佐藤/アーティスト、ドラァグクイーン
もう一人の自分自身を見てしまうドッペルゲンガー現象のように、相似に見えるが厳密には異なるふたつの世界が同時に存在しているとしたら、その証明は果たして可能なのか。
心理テストや精神分析で使用されるロールシャッハテストのようなデカルコマニー技法において、インクは予測不可能な名付け難い染みの図案となり、それは鏡に映るような左右対称の写像となる。
その左右対称の染みは、片方が原型で片方が複製とも言えるが、どちらが原型でどちらが複製かは決定不可能だ。それは原型と複製が同時に存在する奇妙な図案となる。
しかし、その左右の染みはインクの飛び散りや掠れ(かすれ)により、正確な同形とは言えない。
まるでドッペルゲンガー現象である。
最小限かつ饒舌なふたつの世界を生み出している本作は、お互い必要不可欠な関係性そのものを炙り出し、その世界の在り方証明してしまった。
■小柳帝/ライター・編集者
久しぶりに故郷に戻ってきた主人公のことを誰も覚えていないという、どこかフィリップ・K・ディックのSF小説を彷彿とさせるような出だしの、モノクロ・スタンダードの前半部から一転、後半は画面がカラーになるだけでなく、画角も切り替わるのだが(ウェス・アンダーソンの『グランド・ブダペスト・ホテルより早い!?)、そこからこの映画は意外な展開を見せる…。空間的な演出が、アイデンティティを喪失した寄る辺のない主人公の心象と見事に響き合っている。
■パノス・コッツァータナシス/Asian Movie Pulse 映画評論家
リム・カーワイの『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』は、これまでに観る映画の中でも最も奇妙な作品のひとつである。
本作はアートハウスと実験映画の境界を自在に行き来し、シュールな脚本によってその感覚がさらに際立っている。
物語の前半では人々の疎外を、後半では復讐を主題に据え、そしてリムは、後半で人間を非合理的に突き動かす原動力として「欲望(強欲)」を描き出している。
まとめ(注目ポイント)
- リム・カーワイ監督作『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』が11月29日より全国順次公開。
- デジタル・リマスター版で監督の原点がスクリーンに蘇る。
- 斎藤工、三宅唱ら著名人からの絶賛コメントが到着。
アフター・オール・ディーズ・イヤーズ
2025年11月29日(土)よりイメージフォーラム他全国順次公開
英題:After All These Years
出演:大塚匡将、ゴウジー(狗子)、ホー・ウェンチャオ(何文超)
監督・脚本:リム・カーワイ
撮影:メイキン・フォン・ビンフェイ 録音:山下彩 編集:奥原浩志、Phillip Lin 美術:Amanda Weiss 音楽:Albert Yu
2025/2010|マレーシア・中国・日本|モノクロ+カラー|DCP|ステレオ|98分
配給:Cinema Drifters
© cinemadrifters
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