2026年2月に開催される「第4回新潟国際アニメーション映画祭(NIAFF)」のコンペティション部門ノミネート作品が発表された。

同映画祭は、2022年にカンヌ、東京、新潟の3都市を結んだ開催宣言により発足 。アニメーションクリエイターの活躍に注目し、長編作品にフォーカスするという独自の特徴を掲げてきた 。第3回の開催を経て運営体制を刷新し、第4回となる本年度は2026年2月20日(金)から2月25日(水)までの6日間、新潟県新潟市の古町地区を中心とした施設・劇場にて開催される 。
今回の大きな特徴は、従来の長編部門に加え、中編作品(15分以上40分未満/シリーズのエピソードも対象)に焦点を当てた「Indie Box部門」の新設。今回の公募には世界59か国から計274作品(長編部門49作品、Indie Box部門225作品)のエントリーがあり、厳正な審査を経てノミネート作品が決定した。
Indie Box部門のグランプリは新潟市の鳥にちなんだ『スワン賞』として制作支援金50万円を、長編部門グランプリには日本配給時の助成金50万円を授与し、作家の未来を支援。 さらに、両部門を通じた新人賞として『ゼングレヒトシュターター (Senkrechtstarter)賞』を新設し、新たな才能の発掘を強化する。
コンペティション部門以外にも、「世界の潮流」や「レトロスペクティブ」といった多彩なプログラムが展開される。「レトロスペクティブ」では、アニメーション界に多大な影響を与えた手塚治虫監督に焦点を当て、そのキャリアを検証・回顧する特集が組まれる。また、日本のアニメーション史に功績を残した新潟出身の人物の名を冠した「大川博賞」および「蕗谷虹児賞」も継続して実施。制作現場で活躍するスタッフや企業を顕彰し、その成果を讃える。このほか、特別ゲストを新潟に招いての上映やトークイベントも予定されており、多角的な視点からアニメーション作品に触れる機会が創出される。
映画祭のチケットは、2026年1月下旬より発売開始予定となっている 。
長編部門ノミネート作品
アラーの神にはいわれもない / Allah is not Obliged(英題)
(ベルギー・カナダ・フランス・ルクセンブルク/2025/77分/監督:ザヴェン・ナジャール)
十歳の孤児が西アフリカを旅する冒険譚。残された家族を探す旅に出た少年だったが、道中で少年兵として武装集団に参加させられあちこちを引きずり回される。彼は大人たちの争いのなかで生き延びようと成長していく。 © Creative Touch Studios
アニマノマリー オブザーブ | アブゾーブ | オベイ / Animanomaly - Observe | Abdorb | Obey(原題)
(アメリカ/2025/72分/監督:ホルヘ・エンリケ・バルデオン・トリアナ)
ダークなSFアンソロジー。異星人が捕らえられ、拘留施設のチャンバーでシステムに接続された。彼の脳に次々と映像が流れこむ。異なる次元の7つの断片的な物語が、人間には制御不能な生命の一端をあぶりだす。
ディプロドクス~恐竜とボク~ / Diplodocus (Director's Cut)(英題)
(ポーランド/2024/102分/監督:ヴォイテク・ヴァヴチェク)
両親探しの旅に出た恐竜のディプロドクスは、自分が漫画のキャラだと気づく。彼は魔法使いと科学者とともに彼らの世界を救うため、漫画の作者に立ち向かう。80年代の漫画を原作に、アニメと実写を融合させた作品。
ジュリエット&ザ・キング / Juliet & the King(原題)
(イラン/2025/93分/監督:アシュカーン・ラハゴザール)
イランの国王がパリで見た舞台「ロミオとジュリエット」の主演女優ジュリーに一目ぼれ、彼女のためにテヘラン公演を申し出る。成功へのチャンスと引き受けたジュリーだったが、宮廷の女官たちから嫉妬されて…。 © Hoorakhsh studios
ニムエンダジュ / Nimuendajú(原題)
(ブラジル・ペルー/2025/85分/監督:タニア・アナヤ)
40年間、先住民と暮らした社会科学者カート・ウンケルは、グアラニー族から「ニムエンダジュ」として洗礼を受け異文化研究に一生を捧げた。カートは先住民が迫害され、土地を追い出される姿を目の当たりにする。
トリツカレ男 / The Obsessed(英題)
(日本/2025/98分/監督:高橋渉)
何かに夢中になると、ほかのことは一切見えなくなってしまう“トリツカレ男”のジュゼッペ。一目惚れしたペチカは心に悲しみを抱えていた。ハートフルでちょっぴり切ない、ラブストーリー・ミュージカル! © 2025 The Obsessed Production Partners
ユース・ファイティング / Youth Fighting(原題)
(ポーランド/2025/73分/監督:ウカシュ・ヤン・コザク)
舞台はソ連崩壊後の変革期にあったポーランド。工業都市へ引っ越してきたロニアは新生活に慣れようとするさなか、彼女の気を引こうとするロメクとダミアンの競争に巻き込まれる。監督自身の経験に基づいた物語。
Indie Box部門ノミネート作品
オートカー / AutoKar(原題)
(ベルギー・フランス/2025/17分/監督:シルビア・シュキウォンツ)
ポーランドから移住先のベルギーへ向かうバスに乗る内気な少女アガタは、父親への手紙を書く途中で鉛筆を落としてしまう。座席の間を這い回るうちに、奇妙な半人半獣の乗客たちが住む幻想的な世界に迷い込んでいく。
愚者との生活 / Life with an Idiot(英題)
(フランス/2025/18分/監督:テオドル・ウシェフ)
ウラジーミルは、働きが足りない罰として知的障碍者と暮らすことを政府から命じられる。彼は施設にいたヴォーヴァをパートナーとして選んだが、ヴォーヴァは「オー」としか話すことができなかった。
LOCA!
(日本/2025/21分/監督:うったまー、みゃの)
荒廃した世界で生きる2人の少女、ハルとタモ。住む場所を転々としながら気ままに暮らしていたが、ある日長い階段の先で古びた電車を見つける。好奇心の赴くままに乗り込むと、その電車は偶然にも動き出した―。 © スタジオ3号車/2025
ミュージカル・パイパーズ :: ザ・パイド・パイパー / Musical Pipers :: The Pied Piper(原題)
(韓国/2025年/18分/監督:プ・ヒョジョン)
音楽専攻の学生ユージンとウェンディは卒業公演「パイド・パイパー」の主演を目指して練習を重ねていた。だがユージンは人種を理由に舞台に立つことを拒否される。ユージンは差別の壁を乗り越えることができるのか?
ピロー、グーグー / Pillowzzz(英題)
(イスラエル/2025/16分/監督:モシェ・ベナヴラム・アカル)
不器用なトロールのテリーは過去の出来事にさいなまれ、許しを求めていた。ある日テリーは手荒に扱っていたドワーフたちから、粗暴な態度をあらためるよう迫られる。そこで彼らは一緒に大胆な作戦を決行する。
プロジェクト・アエテルナ / project AETERNA(原題)
(韓国/2024/17分/監督:キム・デニス・スンミン)
研究所で働く2匹のオオカミ、ルーとステラは、不老不死になれる技術の完成間近、ライバル企業の陰謀に巻き込まれる。逃避行の末に知る世界の驚くべき真実と自分たちの存在の意味、永遠の命に隠されたものとは? © KIM Dennis Sungmin, KIAFA AniSEED
ルサンティール / RESSENTIR(英題)
(日本/2024/16分/監督:小原正至)
1932年、パリ。いつもの喫茶店で顔を合わせる日本人の麗之進と、フランス人のルイーズ。言葉を交わす事はないが、お互いを身近な存在だと感じていた二人。しかし麗之進がフランスを離れることになり…。 © seiji ohara
クマと鳥 / The Bear and the Bird(英題)
(フランス/2024年/27分/監督:マリー・コドリー)
冬が近づくたびに、クマは南へ渡った友の鳥のことを思う。毎年冬眠する代わりに、彼女は彼のもとへ行くため旅に出ている。今年もその旅がはじまり、恐怖と驚きに満ちた道のりを愛の力で乗り越えていく。
ザ・ポップスター・ウォーター・ディアー・アンド・アイ / The Popstar Water Deer and I(原題)
(韓国/2024/17分/監督:イ・サシャ)
孤独なプログラマーのベガは、美しいアイドル”キバノロ”に恋に落ちる。妄想の世界で”キバノロ”と仲むつまじく過ごすべガ。しかしいつも仕事がベガを現実に引き戻し、温もりを渇望するベガの心は満たされない。 © LEE Sasha, KIAFA AniSEED
ウィンター・イン・マーチ / Winter in March(英題)
(エストニア・アルメニア・フランス/2025/17分/監督:ナタリア・ミルゾヤン)
若いロシア人のカップルはウクライナ戦争へ無力感と悲しみに打ちひしがれ、ロシアからジョージアへ移住を決意する。その旅路はシュルレアリスム的な悪夢へと変貌し、ジョージア国境で最も恐れていた事態が起こる。 © Rebel Frame, ArtStep-studio, The Estonian Academy of Arts, Black Boat Pictures, White Boat Pictures 2025
コンペティション構成
I. 長編部門 40分以上のアニメーション作品が対象。
II. Indie Box部門 15分以上40分未満のストーリー性のあるアニメーション作品を対象。
III. ゼングレヒトシュターター (Senkrechtstarter) 賞 両部門を対象に、新たな才能の発掘を強化する新人賞。
※各部門の賞は、映画祭が組織する選考委員による一次選考後、国際審査員による審査を経て決定。
国際審査員

アヴィッド・リオンゴレン Avid Liongoren(フィリピン/アニメーション映画監督)
才能豊かなアーティストたちで構成されるインディーズアニメーションスタジオ、Rocketsheepの創設者。初めて監督を務めた長編映画『サリーを救え!』(2016年)は、CNCフランス映画助成金の援助を受けて制作され、ベルギーのBIFFF、ポルトガルのFantasporto、韓国のSICAFで審査員賞を受賞するなど、国際的に高い評価を受けた。また、スタジオ第2作目の長編映画『ニャンてこと!』(2020年)は、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門にノミネートされた。
ホセ・ハビエル・フェルナンデス・ディアス Javier Fernandez(スペイン/欧州文化機関連合会長)
欧州文化機関連合(EUNIC Japan)会長、スペイン文化会館(セルバンテス文化センター)文化マネージャーを務める。また、アジア初にして唯一のスペイン語アニメーションフェスティバル「Doki Doki」の共同設立者。セルバンテス文化センターでは、『ロボット・ドリームス』の日本市場へのプロモーションを支援し、サンセバスチャン映画祭、東京国際映画祭、新潟アニメーション映画祭とのコラボレーションを促進。EU、日本、中国のオーディオビジュアル企業での専門的な経験を活かし、外交、研究、イノベーションの架け橋となっている。
早川千絵 Chie Hayakawa(日本/映画監督、開志専門職大学教授)
映画監督。長編デビュー作『PLAN 75』はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、新人監督に贈られるカメラドールの特別表彰を受けた。最新作「ルノワール」は同映画祭コンペティション部門でプレミア上映され世界各国で上映が続く。2025年より新潟市の開志専門職大学アニメ・マンガ学部で教えている。
まとめ(注目ポイント)
- 「第4回新潟国際アニメーション映画祭」2月開催第4回NIAFFは2026年2月20日から25日まで新潟市古町地区で開催。今回より中編作品(15〜40分)部門が新設。
- 手塚治虫特集や豪華審査員の参加「レトロスペクティブ」では手塚治虫監督のキャリアを検証。国際審査員には『PLAN 75』の早川千絵監督らが名を連ね、新たな才能の発掘と評価を行う。
- チケットは2026年1月下旬発売予定コンペティション選出作品の上映に加え、国内外のゲストを招いたトークイベントやシンポジウムも実施。
第4回新潟国際アニメーション映画祭(Niigata International Animation Film Festival 2026)
2026年2月20日(金)〜25日(水) 6日間開催
公式サイト https://niaff.net



