六本木・東京ミッドタウンのFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)では、京都国立近代美術館所蔵の写真コレクション「アイリーン・スミス・コレクション」より、フォト・ジャーナリズムの歴史に大きな足跡を残したアメリカ人写真家 W. ユージン・スミスの作品展「フォト・ジャーナリスト W. ユージン・スミスの見たもの——写真は真実を語る」を開催する。

W. ユージン・スミス(1918–1978)は、1930年代から50年代、フォト・ジャーナリズム全盛の時代に『ライフ』誌をはじめとする数々のグラフ雑誌を舞台に活躍した伝説のフォトジャーナリスト。常に被写体の側に自分を置き、ヒューマニズムの視点で撮影された情熱的な写真は、報道写真のあり方を問い直し、多くの人々の心を揺さぶり続けてきた。
「フォト・エッセイ」と呼ばれる、複数の写真と短い解説文によって誌面を構成する表現形式は、スミスの卓越した撮影技術やプリント技術、高い美意識によって芸術として完成され、《カントリー・ドクター》(1948年)、《スペインの村》(1950–1951年)、《慈悲の人シュヴァイツァー》(1954年)、《ピッツバーグ》(1955–1956年)など、多数の記念碑的な傑作が世に送り出された。
スミスは日本とも縁が深い写真家。取材パートナーであり伴侶でもあったアイリーン・美緒子・スミスとともに、1971年から3年にわたり熊本・水俣に移住し、有機水銀による公害の実情を取材した写真集『水俣』は、2020年に製作された映画『MINAMATA−ミナマタ−』(監督:アンドリュー・レヴィタス/主演:ジョニー・デップ/アメリカ/2020年、日本では2021年9月18日公開)の原話として、近年再び注目を集めている。

本展は、京都国立近代美術館の協力を得て、同館所蔵のW. ユージン・スミスの写真コレクション「アイリーン・スミス・コレクション」より、選りすぐりの名作約60点を展示するもの。
同コレクションは、アイリーン・美緒子・スミスが厳選し、長年にわたり手元に保管してきた作品群で、全284点で構成されている。スミスの写真家としての活動の全容をほぼ網羅し、そのプリントの大部分が、スミス自身が手がけた貴重なもので、写真家ユージン・スミスの真の姿を伝える、内容、質ともに最高水準のコレクションとなっている。
スミス自身の手がけた重厚で美しいオリジナルプリントは、写真の原点を見つめ、写真の本質を改めて考えるきっかけを与えてくれる。京都国立近代美術館所蔵の「アイリーン・スミス・コレクション」が東京で公開されるこの希少な機会に、W. ユージン・スミスの真の姿を確かめてみてはいかがだろうか。
■写真家プロフィール
ウィリアム・ユージン・スミス(1918–1978)
1918年、アメリカ合衆国カンザス州ウィチタに生まれる。14歳から写真を撮り始め、16歳で地元紙に写真が掲載されるなど、早くからその才能を開花させる。1937年、プロの写真家を目指しニューヨークへ移り、『ニューズウィーク』誌のスタッフとして仕事を始める。1943年、『フライング』誌の従軍記者として太平洋戦争を撮影。その後『ライフ』誌と契約し、掲載された戦争写真によって、報道写真界で一気に頭角をあらわす。1940年代から『ライフ』誌を中心に作品を発表し、編集方針への不満から一時同誌を離れたが、1954年までに50点以上におよぶフォト・エッセイを発表した。1971年からは水俣に移り住み、3年にわたり有機水銀による公害を取材。1978年、アメリカ・ツーソンで脳出血を起こし、59歳で死去。
■ 出展作品の一部(予定)




企画展名 :
フジフイルム スクエア 企画写真展
「フォト・ジャーナリスト W. ユージン・スミスの見たもの –写真は真実を語る」
開催期間 :
2021年11月5日(金)– 11月25日(木)
10:00–19:00(最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで) 会期中無休
※写真展は、やむを得ず中止・変更させていただく場合がございます。ウェブサイト・電話でご確認ください。
会場 :
フジフイルム スクエア内、富士フイルムフォトサロン 東京
〒 107-0052 東京都港区赤坂9丁目7番3号(東京ミッドタウン・ウエスト)
TEL 03-6271-3350 URL https://fujifilmsquare.jp/
入館料 :
無料 ※企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入館無料にしております。
作品点数 :約 60 点
主催 :富士フイルム株式会社
特別協力 :京都国立近代美術館
協力 :アイリーン・アーカイブ、日本大学図書館芸術学部分館
後援 :港区教育委員会
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