現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫った映画『ある画家の数奇な運命』。2020年の日本公開時に好評を博した本作の東京都内での再上映が決定した。7月29日(金)よりTOHO シネマズ 日本橋にて期間限定上映される。

本作は『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞®外国語映画賞も受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠であり、ときにオークションで数十億円の価格がつくアーティスト、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに描く、ドイツの激動の時代に数奇な運命を生きた若き芸術家の物語。『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』『コーヒーをめぐる冒険』のトム・シリングが主演を務める。
ナチ政権下のドイツ。少年クルトは音楽を愛する叔母(ザスキア・ローゼンタール)の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、もともと繊細な感情の持ち主だった叔母は突如日常の精神のバランスを崩し、強制入院の果て、ナチス国家によって行われていた精神を患う患者への“安楽死政策”によって命を奪われる。
終戦後、クルト(トム・シリング)は東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会った美しい女性・エリー(パウラ・ベーア)と恋におちる。しかし、実は元ナチ高官の彼女の医者の父親(セバスチャン・コッホ)こそが叔母を死へと追い込んだ張本人だった──。

主人公クルトのモデルは、現代美術界の巨匠、ゲルハルト・リヒター。ドナースマルク監督が、リヒター自身の著書や伝記に魅せられて映画化を申し込んだところ、1か月にわたっての取材が許された。ただし、映画化の条件は、人物の名前は変えて、何が事実か事実でないかは、互いに絶対に明かさないこと。そんな契約の元、リヒターの代表的なシリーズの一つである、精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかす「フォト・ペインティング」が誕生するまでの過程がドラマティックに描かれる。
現在、日本では16年ぶり、東京では初となるリヒターの個展が東京国立近代美術館(東京・竹橋)で開催中。2020年10月の日本公開時に好評を博しながらもパッケージ化されず鑑賞機会の限られていた本作だが、個展開催を機に本作の再上映を熱望する声が多数届き、今回の再上映が決定した。
映画『ある画家の数奇な運命』は7月29日(金)よりTOHO シネマズ 日本橋にて期間限定上映。

ある画家の数奇な運命
2022年7月29日(金)、TOHOシネマズ 日本橋にて期間限定上映
STORY
ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けるクルトだったが―。
<キャスト>
トム・シリング(『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』『コーヒーをめぐる冒険』『ピエロがお前を嘲笑う』)、セバスチャン・コッホ( 『善き人のためのソナタ』『リリーのすべて』『ブリッジ・オブ・スパイ』)パウラ・ベーア(『婚約者の友人』)、オリヴァー・マスッチ( 『帰ってきたヒトラー』 )ザスキア・ローゼンダール(『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』 『さよなら、アドルフ』)
監督・脚本・製作:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(『善き人のためのソナタ』)
音楽: マックス・リヒター 撮影: キャレブ・デシャネル
原題:WERK OHNE AUTOR/英題:NEVER LOOK AWAY/2018年/ドイツ/ドイツ語/189分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/
日本語字幕:吉川美奈子/配給:キノフィルムズ/木下グループ/R-15
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公式サイト neverlookaway-movie.jp