世界的パンデミック禍のバレエの殿堂を追ったドキュメンタリー映画『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』（8月19日公開）。本作で注目されているのが、コロナ禍に誕生した新エトワールだ。パリ・オペラ座バレエ芸術監督オーレリー・デュポンが見出した若き才能とは？
本作はパリ・オペラ座に特別に許可を受け、パンデミック禍の閉鎖からの復活の日々を撮影した貴重なドキュメンタリー。マスクを着けたダンサーたちのレッスン、最高峰のエトワールたちの長い休みからの再開、そして、新たな公演（シーズン）に向けレッスンを重ねていく日々。バレエダンサーたちの不安、葛藤、期待といった心境に寄り添いながら、ダンサーと振付師が協力し合い、ひとつの舞台を作り上げていく姿を追っていく。
2020年3月、世界的パンデミック禍、バレエの殿堂パリ・オペラ座も静寂が支配していた。1日6～10時間踊っていたダンサーたちにとって、日常から突如切り離された日々は、過酷な試練であった。2020年6月、3か月の自宅待機を経てクラスレッスンが再開。最高位のエトワールたちが、かつてない状況下、 “オペラ座の宝”といわれる演目、ヌレエフ振付の超大作「ラ・バヤデール」の年末公演に向け稽古を重ねていく。しかし、再びの感染拡大に伴い、開幕目前に無観客公演となり、初日が千秋楽となる幻の公演となってしまうー。
未曽有のコロナ禍において、パリ・オペラ座バレエ団に次代を担う新しいエトワールが誕生。5 つに分けられた階級の最高位で、一流のダンサーの中でも一握りの選ばれた者だけがなれる、バレエ団の顔ともいわれるエトワール。本作の中では2名のエトワール誕生の瞬間が鮮明に映されている。
1人目のポール・マルクは2020年12月13日の無観客公演『ラ・バヤデール』でブロンズ・アイドル（黄金の偶像）を踊り、現役最年少でエトワールへと昇進。姉の影響でバレエを始め、10歳の時にパリ・オペラ座バレエ学校に入学。2016年にはヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞し、2020年には日本ツアーで『オネーギン』のレンスキー役を踊るなど、第一線で活躍してきた。
そして2人目のパク・セウンは2021年6月13日の『ロミオとジュリエット』の上演にてジュリエットの大役を披露し、公演終了後にアジア出身のダンサーとして初めてパリ・オペラ座のエトワールに任命された。韓国のソウルに生まれ、10歳で韓国バレエ学校に入学。2007年にローザンヌのバレエコンクールでグランプリ、2010年ヴァルナ国際バレエコンクールで金賞、2018年ブノワ賞最高女性ダンサー賞を受賞するなど、華やかな活躍を残している。
パリ・オペラ座が発表した今シーズンのプログラムでは、12月10日からオペラ・バスティーユで開幕予定のルドルフ・ヌレエフ版『白鳥の湖』で、この2名の新世代エトワールが息の合った感動的な舞台を披露する予定。オーレリー・デュポンが見出したこの若きエトワールたちに注目だ。
『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』は8月19日(金)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開。
新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり
2022年8月19日(金)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開
出演：パリ・オペラ座バレエ
アマンディーヌ・アルビッソン、レオノール・ボラック、ヴァランティーヌ・コラサント、ドロテ・ジルベール、リュドミラ・パリエロ、パク・セウン、マチュー・ガニオ、マチアス・エイマン、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、ポール・マルク
アレクサンダー・ネーフ（パリ・オペラ座総裁）、オレリー・デュポン（バレエ団芸術監督）
監督：プリシラ・ピザート
2021年/フランス/カラー/ビスタ/ステレオ/73分/原題：Une saison (très) particulière/字幕翻訳：古田由紀子
提供：dbi.inc. EX NIHILO 配給：ギャガ
© Ex Nihilo – Opéra national de Paris – Fondation Rudolf Noureev – 2021
