第二次世界大戦を題材にした映画の中でも、特に切り口が多様なのがナチス・ドイツをテーマにした作品。史実を基にした作品だけでなく、フィクションやファンタジーとしてナチス・ドイツを描いた作品もあり、史実を超えた斬新な設定を通して改めて戦争について考えさせる作品も。超人サーカス団がたった4人で巨大なナチス・ドイツに戦いを挑む異色の新作『フリークスアウト』もまさにそんな一本。本作をはじめとする「異色」のナチス・ドイツ映画を4本紹介。
『フリークスアウト』2023年5月12日(金)公開
長編デビュー作にしてイタリア映画初となる異色のダークヒーロー・エンタテインメント『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』が、本国アカデミー賞(ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞)で7冠受賞の快挙を成し遂げ、世界中で話題を呼んだ新星ガブリエーレ・マイネッティ。そんな彼の監督第2作となる本作は「特殊な異能力を持つが故に世間に馴染めず肩を寄せ合って生きてきた超人サーカス団が、ナチス・ドイツの悪党どもに立ち向かう」という、設定だけでもワクワクするような極上のエンタテインメント。
第二次世界大戦下のイタリア。ユダヤ人の団長イスラエルが率いるたった5人の小さなサーカス団「メッツァ・ピオッタ」の仲間たち、光と電気を操る少女マティルデ、アルビノの虫使いチェンチオ、多毛症の怪力男フルヴィオ、磁石人間の道化師マリオらは、その特殊な能力のせいで普通に暮らすことができず、まるで家族のように肩を寄せ合って暮らしてきた。だがイタリア国内でもナチス・ドイツの影響が強まる中、なんとか戦火を逃がれ皆をアメリカへ脱出させようとしていたイスラエルが、突然姿を消してしまう。マティルデがどうにか団長を探し出そうと奔走する一方、フルヴィオら3人は仕事を求めてベルリン・サーカス団の門を叩く。ド派手なパフォーマンスが話題のナチス・ドイツの陽気な広告塔。しかし団長のフランツは、裏でナチスを勝利に導く異能力者を探して人体実験を繰り返す恐ろしい男だった。フランツとの危険な出会いは、メッツァ・ピオッタ・サーカスの仲間たちをナチス・ドイツ軍との壮絶な戦いへと導いてゆく……。
『ジョジョ・ラビット』(2019)
第二次世界大戦下のドイツを舞台に、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーの助けを借りて立派な兵士になろうと奮闘する10歳の少年ジョジョの成長と葛藤をユーモアたっぷりに描く感動作。監督を務めたのはヒトラー役として出演もしている才人タイカ・ワイティティ。スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェルら豪華キャストが共演。第92回アカデミー賞で脚色賞を受賞した。
第二次世界大戦下のドイツで暮らす心優しい10歳の少年ジョジョは、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラーの助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。そんなある日、母親とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りとなるのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ…。臆病なジョジョの生活は一体どうなってしまうのか⁉
『帰ってきたヒトラー』(2016)
現代に甦ったヒトラーが、モノマネ芸人と誤解されてテレビの世界で大スターに!? 2012年にドイツで発売され、賛否両論の嵐の中、国内で200万部を売り上げた問題小説を映画化。ヒトラー役を演じるのは当時無名の舞台俳優だったオリヴァー・マスッチ。
2014年の現代に甦ったヒトラーは、リストラされたテレビマンに発掘され、テレビ出演させられることに。その自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。彼がタイムスリップしてきた「ホンモノ」であることを。そして、天才扇動者である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない環境であることを…。
『イングロリアス・バスターズ』(2009)
鬼才クエンティン・タランティーノ監督がヒトラー暗殺に挑む者たちの戦いを史実に縛られず独自の展開で描く戦争ドラマ。連合軍の極秘部隊「イングロリアス・バスターズ」の隊長役でブラッド・ピットが主演。アカデミー賞8部門でノミネートされ、ナチス大佐を怪演したクリストフ・ヴァルツがアカデミー賞助演男優賞を受賞。
By May be found at the following website: http://www.impawards.com/2009/inglourious_basterds_ver9.html, Fair use, Link
ナチス占領下のフランス。家族を殺された少女ショシャナ(メラニー・ロラン)は、劇場支配人として身分を隠し、ナチス根絶の復讐計画を進める。時を同じくしてアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)率いるユダヤ系アメリカ人特殊部隊が、各地でナチスを血祭りに上げていく。ヒトラー暗殺計画を進める少女とバスターズ。それぞれの作戦は、劇場で開催される、ヒトラー総統を招いたナチのプロパガンダ映画の上映会で交錯する…。
フリークスアウト
2023年5月12日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
STORY
第二次世界大戦下のイタリア。ユダヤ人の団長イスラエルが率いるたった5人の小さなサーカス団「メッツァ・ピオッタ(100リラ硬貨の半分、の意)」の仲間たち、光と電気を操る少女マティルデ、アルビノの虫使いチェンチオ、多毛症の怪力男フルヴィオ、磁石人間の道化師マリオらは、その特殊な能力のせいで普通に暮らすことができず、まるで家族のように肩を寄せ合って暮らしてきた。だがイタリア国内でもナチス・ドイツの影響が強まる中、なんとか戦火を逃がれ皆をアメリカへ脱出させようとしていたイスラエルが、突然姿を消してしまう。マティルデがどうにか団長を探し出そうと奔走する一方、フルヴィオら3人は仕事を求めてベルリン・サーカス団の門を叩く。ド派手なパフォーマンスが話題のナチス・ドイツの陽気な広告塔。しかし団長のフランツは、裏でナチスを勝利に導く異能力者を探して人体実験を繰り返す恐ろしい男だった。フランツとの危険な出会いは、メッツァ・ピオッタ・サーカスの仲間たちをナチス・ドイツ軍との壮絶な戦いへと導いてゆくのだが……。
監督:ガブリエーレ・マイネッティ/脚本:ニコラ・グアリャノーネ、ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア、アウロラ・ジョヴィナッツォ、ピエトロ・カステリット、ジャンカルロ・マルティーニ、ジョルジョ・ティラバッシ、フランツ・ロゴフスキ
2021年/イタリア・ベルギー/イタリア語・ドイツ語ほか/141分/字幕翻訳:髙橋彩/R15+
配給:クロックワークス
© 2020 Goon Films S.r.l. - Lucky Red S.r.l. - Gapbusters S.A.
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