世界三大映画祭の常連で『Summer of 85』『すべてうまくいきますように』など話題のヒット作が続くフランソワ・オゾン監督の最新作『苦い涙』が6月2日(金)より公開。このたび本作の公開を記念して、本作の関連作品『焼け石に水』と『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』が特別限定上映されることが決定した。あわせて、オゾン監督がライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督への敬愛と最新作『苦い涙』について語る特別インタビュー映像が解禁された。
『苦い涙』は、オゾン監督が『焼け石に水』以来20年ぶりに、ニュー・ジャーマン・シネマの伝説的な映画作家ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの1972年製作の名作『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』(1972)の再創造に挑んだ愛の物語。1970年代ドイツのアパルトマンを舞台にした室内劇という作品の大枠はそのままに、ファスビンダーが描いた女性同士の恋愛関係を男性同士に置き換え、ファッションデザイナーだった主人公の職業を映画監督に変更。さらに現代的な視点とオゾン特有の美意識に基づくアレンジが施され、風刺やユーモアをふんだんに織り交ぜ、「人を愛するということとは何なのか」という根源的な問いを驚くほど軽やかに投げかけるメロドラマ。
このたび本作の公開を記念して、オゾンとファスビンダーの映画の世界をより深く楽しむために、本作と関連ある2作品の特別限定上映が決定した。オゾン監督が20年前にファスビンダーの未発表の戯曲を映画化した『焼け石に水』を35mmフィルム上映、そして、1972年に製作されたファスビンダー監督によるオリジナル版『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を日本劇場初公開する。
今回解禁されたインタビュー映像でオゾン監督は学生時代に初めてファスビンダーの映画を観て啓示を受けたなど、とても影響を受けた映画監督であることに加えて、『焼け石に水』から20年を経て再びファスビンダーの戯曲に挑んだ想い、そして『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』は、ファスビンダーと俳優ギュンター・カウフマンの恋愛を描いたファスビンダー自身の話であること、さらに、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員を務めることが発表された主人公ピーター役のドゥニ・メノーシェ、オリジナル版にも出演したハンナ・シグラ、助手のカールを演じ強烈な印象を残すステファン・クレポンのキャスティングについてなどを語っている。
オリジナル版『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』は、これまでDVD(現在は廃盤)でしか見る機会がなかった貴重な日本劇場初公開となる。特別限定上映の詳細は以下のとおり。
『苦い涙』公開記念 「オゾンとファスビンダー」特別限定上映
『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』
女性同士の愛を描いたメロドラマの傑作、劇場初公開!
ファッションデザイナーのペトラは、二度目の結婚に失敗して落ち込んでいた。助手のマレーネをしもべのように扱いながら、アトリエ兼アパルトマンの部屋で暮らしている。そこに、友人が若く美しい女性カーリンを連れてやってくる。彼女に惹かれて同棲をはじめるが…。
1972 年ドイツ映画賞主演女優賞/助演女優賞/撮影賞受賞
監督・脚本・原作:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 出演:マーギット・カーステンゼン、ハンナ・シグラ、イルム・ヘルマンほか
原題:Die bitteren Tränen der Petra von Kant/1972 年/124 分/西ドイツ/ドイツ語/配給:セテラ・インターナショナル ※DCP 上映
『焼け石に水』
オゾン初期の傑作&ファスビンダーの未発表の戯曲の映画化!
70年代、ドイツ。20歳の青年フランツは街で中年の男性に声をかけられ、彼の不思議な魅力にひかれてベッドを共にする。そのまま男の家で同棲を始めるが、蜜月は短く、苛立ちがつのっていた。そんな折、互いの恋人が訪ねて来て…
監督:フランソワ・オゾン 原作:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:ベルナール・ジロドー、マリック・ジディ、リュディヴィーヌ・サニエ、アンナ・トムソン
原題:Gouttes d'eau sur pierres brulantes/2000 年/90 分/フランス/フランス語/配給:ユーロスペース
※35 ㎜フィルムでの上映
◎劇場:新宿武蔵野館 上映料金:¥1,500(税込)均一
◎期間:6月16日(金)~22日(木)
◎『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』 16 日(金)、18 日(日)、20 日(火)、22 日(木)
◎『焼け石に水』 17 日(土)、19 日(月)、21 日(水)
※上映時間詳細は劇場公式サイトまで
苦い涙
2023年6月2日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
STORY
著名な映画監督ピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ)は、恋人と別れて激しく落ち込んでいた。助手のカール(ステファン・クレポン)をしもべのように扱いながら、事務所も兼ねたアパルトマンで暮らしている。ある日、3年ぶりに親友で大女優のシドニー(イザベル・アジャーニ)が青年アミール(ハリル・ガルビア)を連れてやって来る。艶やかな美しさのアミールに、一目で恋に落ちるピーター。彼はアミールに才能を見出し、自分のアパルトマンに住まわせ、映画の世界で活躍できるように手助けするが…。
監督・脚本:フランソワ・オゾン 『まぼろし』『8人の女たち』『Summer of 85』『すべてうまくいきますように』
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」から自由に翻案
出演:ドゥニ・メノーシェ『悪なき殺人』『ジュリアン』、イザベル・アジャーニ『カミーユ・クローデル』『アデルの恋の物語』、ハリル・ガルビア、ステファン・クレポン、ハンナ・シグラ『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』『マリア・ブラウンの結婚』、アマンテ・オーディアール
原題:PETER VON KANT/2022/フランス/フランス語/85分/日本語字幕:手束紀子/配給:セテラ・インターナショナル PG12
© 2022 FOZ - France 2 CINEMA - PLAYTIME PRODUCTION ©Carole BETHUEL_Foz
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