ウルリケ・オッティンガー 「ベルリン三部作」が8月19日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。すでに発表されている「ベルリン三部作」のポスターに加え、各作品のポスタービジュアルが解禁された。またオッティンガー監督のオンライントーク付き、初監督作『ラオコーンと息子たち』の上映イベントも決定した。
このたび解禁された各作品のポスタービジュアルは、シルバーを基調とした「ベルリン三部作」のビジュアルとは打って変わって色鮮やかなもの。『アル中女の肖像』はかつて西ベルリンに存在したショッピングセンターの前をゆく、酔いどれ女二人(タベア・ブルーメンシャイン、ルッツェ)、『フリーク・オルランド』は結合双生児のレナ(デルフィーヌ・セリッグ)とレニ(ジャッキー・レイナル)、そしてレナに恋するオルランド(マグダレーナ・モンテヅマ)、『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』は鶏頭の男たちとドリアン(ヴェルーシュカ)の姿が切り取られている。
また、8月3日(木)にはゲーテ・インスティトゥート東京にて「ベルリン三部作」の公開に先駆けてオッティンガー監督の初監督作『ラオコーンと息子たち』(1972/73)の上映と監督のオンライントークショーが実施される。本作は、女性しか住んでいない架空の土地で、主人公のエスメラルダ・デル・リオが幻想的な変身を遂げていく物語。独自の美学を貫き続けるオッティンガーのデビュー作には、並外れたキャラクター、幻想的なロケーション、魔法のような変身など、後に彼女の映画作品の特徴となる要素がすでに数多く含まれている。
「ニュー・ジャーマン・シネマ」の時代から精力的に作品を発表しながら、日本では紹介される機会が少なかったドイツの映画作家ウルリケ・オッティンガー。2020年ベルリン国際映画祭でベルリナーレカメラ(功労賞)を受賞。2021、2022年にはウィーンやベルリンの映画博物館などヨーロッパを中心に、大規模なレトロスペクティブが開催。美術館やギャラリーでは美術作品の展示が行われ、映画作家として、芸術家として、世界的に再評価の機運が高まっている。今夏、「ベルリン三部作」と呼ばれる『アル中女の肖像』(79)、『フリーク・オルランド』(81)、『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』(84)を一挙公開。『アル中女の肖像』と『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』は日本の劇場では初めてのロードショー、『フリーク・オルランド』は29年ぶりの劇場公開となる。
フェミニズム映画やクィア映画の文脈で論じられるなど、従来の様々な規範を揺るがす先進性が再評価されているオッティンガー作品。「ベルリン三部作」は、物語の「わかりやすさ」をはねつけ打ち壊す過激さを持つ一方で、その映像は見ることの喜びへと誘うユーモアと美意識に溢れている。そして、冷戦下の西ドイツにおいて「ベルリンの壁」に分断された都市の荒廃した風景を捉えており、現在のベルリン、あるいは都市について考えるための歴史的な記録としても貴重なものである。生々しい知性と豊かで鋭い感性を備える3つの作品が、製作から40年余りの時を超えて、ついに映画館のスクリーンに現れる。
『ラオコーンと息子たち』上映&監督トークイベント
2023 年 8 月 3 日(木)18:30 開場 19:00 開始(21:00 頃終了予定)
場所:ゲーテ・インスティトゥート東京(東京都港区赤坂 7-5-56 ドイツ文化会館内)
料金:一律 1300 円 Peatix で発売中(チケットは予定枚数に達し次第、販売を終了いたします。)
『ラオコーンと息子たち』(ドイツ、1972/1973 年、50 分、 デジタル(オリジナル 16 ㎜))
脚本、監督、撮影、制作:ウルリケ・オッティンガー/テキスト:チキタ・ブルック(aka ハビエル・アロユエロ)、ウルリケ・オッティンガー
監督、衣装、メイク、出演:タベア・ブルーメンシャイン
詳細はこちらをご覧ください。 https://www.goethe.de/ins/jp/ja/ver.cfm?event_id=24871594
ウルリケ・オッティンガー「ベルリン三部作」
『アル中女の肖像』
『フリーク・オルランド』
『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』
2023年8月19日(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショー
『アル中女の肖像』 国内劇場初公開
1979年/西ドイツ/カラー/108分/原題:Bildnis einer Trinkerin/英題Ticket of No Return
監督・脚本・撮影・美術・ナレーション:ウルリケ・オッティンガー 音楽:ペーア・ラーベン 衣装:タベア・ブルーメンシャイン 歌:ニナ・ハーゲン
出演:タベア・ブルーメンシャイン、ルッツェ、マグダレーナ・モンテツマ、ニナ・ハーゲン、クルト・ラープ、フォルカー・シュペングラー、エディ・コンスタンティーヌ、ウルフ・ヴォステル、マーティン・キッペンバーガー
『フリーク・オルランド』
1981年/西ドイツ/カラー/127分/原題・英題:Freak Orlando
監督・脚本・撮影・美術:ウルリケ・オッティンガー 音楽:ヴェルヘルム・D.ジーベル 衣装:ヨルゲ・ヤラ
出演:マグダレーナ・モンテツマ、デルフィーヌ・セイリグ、ジャッキー・レイナル、アルベルト・ハインス、クラウディオ・パントーヤ、エディ・コンスタンティーヌ、フランカ・マニャーニ
『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』 国内劇場初公開
1984年/西ドイツ/カラー/151分/原題:Dorian Gray im Spiegel der Boulevardpresse/英題:Dorian Gray in the Mirror of the Yellow Press
監督・脚本・撮影・美術:ウルリケ・オッティンガー 音楽:ペーア・ラーベン、パトリシア・ユンガー
出演:ヴェルーシュカ・フォン・レーンドルフ、デルフィーヌ・セイリグ、タベア・ブルーメンシャイン、トーヨー・タナカ、イルム・ヘルマン、マグダレーナ・モンテツマ、バーバラ・ヴァレンティン
『アル中女の肖像』
Bildnis einer Trinkerin, Photo: Ulrike Ottinger © Ulrike Ottinger
『フリーク・オルランド』
Freak Orlando, Photo: Ulrike Ottinger © Ulrike Ottinger
『タブロイド紙が映したドリアン・グレイ』
Dorian Gray im Spiegel der Boulevardpresse, Photo: Ulrike Ottinger © Ulrike Ottinger
配給・宣伝:プンクテ
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