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戦後ドイツで男性同性愛を禁ずる「刑法175条」のもと、「愛する⾃由」を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた静かな衝撃作『大いなる自由』が現在公開中。本作の公開を記念し、1999年に制作されたナチ政権下で迫害された同性愛者たちを描くドキュメンタリー映画『刑法175条』が7⽉21〜23⽇の3回のみ限定上映され、7⽉22⽇(⼟)にはジャーナリストで作家の北丸雄⼆、主にクィアの作家による作品の上映・発信を⾏うノーマルスクリーンの秋田祥によるトークイベントが開催された。

「映画というのはすごい⼒がありますよね」

20数年前、NYのゲイ&レズビアン映画祭で本作を初めて観たという北丸。本作を再び鑑賞した感想を「当時と印象が違った。この映画が撮られた1995年から2000年、そして今。⾊々な時代のことを考えなくてはいけない。取材当時の90年代はホロコーストでゲイがこんな迫害されていたことを⼈々は知らないんですよね。ホロコーストの⽣き残りの⼈たちが存命で、語れる最後のチャンスに作られ、そして2023年にこれがこうして上映されて、こんなにたくさんの⽅が来場している。今この時代だからこそなおさら観てほしいし、TVとかで放送してほしい」と語り、本作が作られた当時のことを「1969年にアメリカで起こった現代ゲイ解放運動の嚆⽮とされている『ストーンウォールの反乱』というものがあり、1994年にストーンウォールが25周年を迎えます。そこで初めてストーンウォールの資料の発掘・聞き取りが始まるわけです。エイズがピークを迎えて、それを克服しようとしている時代に、 世界各国でゲイの歴史をもう⼀度掘り起こす動きが出てきた。その中の1つとして、 このドキュメンタリーが作られたのではないか」と分析。

秋⽥は「ちょうど今NETFLIXで『エルドラド: ナチスが憎んだ⾃由』という作品が配信されているんですが、1920年代のベルリンでクィアの⼈々が集まったクラブについてのドキュメンタリーで、『刑法175条』でインタビュアーをしていたホロコースト記念博物館のクラウス・ミュラーさんが監修していて、すごくよくできてる。でもそのクラブを舞台にした作品なので、収容所の中とか175条のことはそこまで多くは出てこない。『刑法175条』の監督ロブ・エプスタインの『ハーヴェイ・ミルク』を配給したパンドラが『ピンク・トライアングルの男たち』というまさに強制収容所に送られた同性愛者の体験記を出版していますが、20年以上経った今、こういった作品がまた作られてほしいと思います」と語った。

また北丸は⼥性同性愛者がナチスドイツの摘発対象とされなかった理由を「⼥性たちが主権を持っていなかったこともあるが、『アーリア⼈種を産むことができた』というのが理由なんですよね。そして産むことができるということはレズビアンが矯正できたことになる。⽇本でも『⼥性は産む機械』なんて発⾔がありました」と語り、劇中、ヒトラーの台頭でクィアの⼈々が集まったクラブが閉鎖されたエピソードについて「トランプ就任翌⽇にホワイトハウスのホームページからゲイとレズビアン、エイズに関する⼀切の情報が消えてしまったというのによく似ている。歴史というのはこうして繰り返すのだろうと思いました。2023年の今、こうしたナチスの動きのようなものが世界のあちこちで⽣まれているんですよね」と指摘。

それを受け秋⽥は「トランプやボルソナーロ、イスラエルの状況など、この数年でも⾊々な変化があります。映画の中で、ユダヤ⼈はニンニク臭いから席を変えてほしいといわれた、と登場⼈物が学校での記憶を語るシーンがありましたが、トランプの差別的な発⾔にすごく近い。⾃分がいま世界で起こっていることをここ10年くらいで体験しなかったら、教室で『ユダヤ⼈はにんにく臭い』と⾔われたことがホロコーストと繋がっていくとはピンと来なかったかもしれません」とコメントした。

1945年の終戦から1957年、1968年と、3つの時代を描いた映画『⼤いなる⾃由』について北丸は「強制収容所に⼊れられていたハンスは本来ならば終戦によって解放されるはずなのだけど、そのまま刑務所に横滑りしてしまう。『刑法175条』に登場した、収容所で酷い⽬にあっていた同性愛者たちと同じ⽬にあっているのですよね」と関連性を語り、「ドイツでは1969年に同性愛が⾮犯罪化されましたが175条が廃⽌されたのは1994年。2002年に初めて政府として同性愛者コミュニティに謝罪するんです。 2005年には欧州議会も同性愛者をナチスの犠牲者として追悼し、他の構成員と同じ尊厳と保護を受けると決議しました。ひとつひとつ謝罪して、カタをつけてきたんですよね。ところが⽇本政府はまだ包括的な差別禁⽌法というものがない。同性婚に関しても“社会が変わってしまう”と逡巡してしまう」と現在の⽇本の状況を憂うも、「でも、90年代に盛り上がりをみせたゲイ運動があって、その流れの中でつくられたこの作品を今こんなにたくさんの⼈が⾒ている。今度は⽇本でそういった運動が盛り上がるといいですよね。LGBT運動の盛り上がりって、⼥性の活躍の運動とも連動しているし、全ての反差別運動、全ての⼈権運動、全ての⺠主主義運動と連動している。 ⾃由とか、平等とか、そういう話だと思っていただければいいと思う。今⽇本でもトランスジェンダーバッシングだとか、反動がたくさん出てきていますが、くじけそうになったときは歴史が味⽅してくれてること、この国のこの⼩さな社会だけじゃなくて、いろんなところで⼈権のために戦っている⼈たちがいるんだっていうことを⽀えにして、時代を変えていきたいと思っています」と⼒を込めた。

『⼤いなる⾃由』

最後に「⽇本のジェンダーギャップ指数とかを⾒ても、全く意外な数字ではない。でも、映画というのはすごい⼒がありますよね」と語る秋⽥に対して北丸は「この映画や『⼤いなる⾃由』はもちろん、レインボー・リール東京やトランスジェンダー映画祭、そして様々な作品が公開されています。そういう⼩さなひとつひとつの⼒が合わさって、いまここまできているんですよね」と締め括った。

映画『⼤いなる⾃由』はBunkamuraル・シネマ 渋⾕宮下ほか全国順次公開中。

作品情報

大いなる自由
2023年7月7日(金)、 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開

STORY
第二次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の殺人犯ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所から直接刑務所に送られたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく 。

監督・脚本:セバスティアン・マイゼ/共同脚本:トーマス・ライダー /撮影監督:クリステル・フルニエ/編集:ジョアナ・スクリンツィ/音楽:ニルス・ペッター・モルヴェル、ペーター・ブロッツマン/出演:フランツ・ロゴフスキ、ゲオルク・フリードリヒ、トーマス・プレン、アントン・フォン・ルケ ほか
配給:Bunkamura

(2021年/オーストリア、ドイツ/116分/1:1.85/カラー/原題:Große Freiheit /英題:Great Freedom /字幕翻訳:今井祥子/字幕監修:柳原伸洋)

©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions

公式サイト https://greatfreedom.jp/

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