名匠ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主演に迎えた『PERFECT DAYS』が絶賛公開中。このたび、監督ヴィム・ヴェンダースの妻ドナータ・ヴェンダースと、主演を務めた役所広司の妻・橋本さえ子が、一番近くにいるからこそ見えた景色を率直に語るインタビュー映像が解禁された。また、プロデュースを担当した柳井康治のインタビューも公開された。
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきた名匠ヴィム・ヴェンダース。本作は彼が長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員・平山の日々を描いた作品。昨年12月より公開された本作は動員48万人を突破、興行収入は7億円を目前に。公開から1ヵ月たってなお劇場は平日、土日も変わらず賑わいを見せ、公開劇場も増加し続けている。第96回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされ、受賞の行方にも期待が高まる。
このたび監督ヴィム・ベンダースの妻ドナータ・ヴェンダースと役所広司の妻・橋本さえ子がインタビューに応じ、『PERFECT DAYS』を作り上げた夫たちに対して率直な気持ちを語った。
「長編映画としては、これ以上ヴィムらしい映画はない」と言い切るのは、自らも写真家として活躍しているヴェンダースの妻ドナータ・ヴェンダース。長編映画を撮るときは、常にプロダクション側の都合を優先してきたというヴィム。結婚して以来30年間、夫の仕事を間近で見てきたドナータは、撮影の都合で、エンディングを最初に撮影する方法に対して「ヴィム本来のやり方ではない」と語る。そんな中、アーティストとしてヴィムの作家性を最大限に尊重して製作に望んだ日本のスタッフに対し、「あなたが最も手腕を発揮できる方法こそがベストな方法です、と言ってくれたからこそ、このような傑作が生まれたのです」と最大限の感謝の意を示した。
その他、インタビューでは長年のキャリアを誇り、世界的に確固たる地位を築いたヴェンダースの「映画全体を絵画として見る」ということについて、また主人公の平山の細かい点がヴィムに似ているということ、またプロデュースの高崎卓馬から受けた、愛と献身的な仕事ぶりに対して「ヴィムもインスピレーションを受けていた」ことなど、いちばん近くで見つめている妻だからこその解像度で、『PERFECT DAYS』の舞台裏を語っている。
そして、主演の役所広司の妻、橋本さえ子の貴重なインタビュー映像も解禁。端々に役所のつぶやきを織り交ぜて、俳優としての役所の自宅での様子などを語る。本作はドキュメンタリーのように撮影されたが、その平山の生活をシンプルに追った撮影から帰宅した役所について「目がこっちにもあっちにもついている感じがして…普通とは違う神経の使い方だったんだと思う」と当時を振り返る。
撮影前に役所は「俺、平山じゃないからなあ」とふと呟いたと明かすが、毎日のようにツナギを着てすごしたり、庭を掃除したりと「なんとなく気分をそっちの方向に向ける」役作りをしていたという。そして迎えた撮影期間について「みんなの気持ちが一つになって、奇跡的な巡り合い」があったと振り返った。最後に家でもその役のままなのか、という問いに対し、自宅での飾らない役所の様子を披露。役所の魅力を存分垣間見ることができるインタビューとなった。
プロデュースを担当した柳井康治は、インタビューでトイレから映画に至った経緯を説明。プロジェクトが始まり、ヴェンダースが「日本の公共トイレを聖域的な表現をされていたり、清掃員の方を尊い存在として捉えようとしていた」ことが腹落ちしたことを明かし、自分の気持ちに気付かされて「すごい嬉しかった」という。ヴェンダースとのやり取りの中で得たことが大きかった柳井は、主演の役所に対しても「僕の方が気付かされることが多かった。ますます大好きになっちゃいますよね」とリスペクトを捧げ、最後に役所が演じた平山というキャラクターに対し「物事に真正面から対峙をするという姿勢とか、こう、そのありよう身につけられたらいいなぁって思う。何かこう、自分ができてないところはすごい見えちゃうから、憧れというよりかは、う〜ん、 反省の方が多いかも」と、素直な気持ちを明かして締め括った。
『PERFECT DAYS』は絶賛公開中。
PERFECT DAYS
2023年12月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
STORY
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、 高崎卓馬
製作:柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
製作:MASTER MIND 配給:ビターズ・エンド
2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/スタンダード/124分/G
原題:『PERFECT DAYS』
邦題:『PERFECT DAYS』
© 2023 MASTER MIND Ltd.
公式サイト perfectdays-movie.jp
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA