「あの女、我慢の限界よ」女たちの“鳥肌が立つほどのエグみ”を煮詰めた『メイ・ディセンバー ゆれる真実』特別映像解禁

『キャロル』のトッド・ヘインズ最新作で、ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーアが豪華共演を果たし、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品、プレミア上映され話題をさらった『メイ・ディセンバー ゆれる真実』が7月12日（金）より全国公開。このたび、ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーア、ふたりのオスカー女優たちの狂気が際立つ、エグさ満載のスペシャル動画が解禁された。

本作は、全米にかつてない程の衝撃を与えた、90年代に実際に起きた13歳少年と36歳女性のスキャンダル（“メイ・ディセンバー事件”）の真相を、様々な角度から見つめる心理ドラマで、唯一無二のセンセーショナルな脚本が一躍脚光を浴び、海外の有力媒体で2023年ベスト映画として選出、第34回インディペンデント・スピリット賞ほか多数の賞レースで脚本賞を受賞、さらに本年度アカデミー賞®で脚本賞にもノミネートされる快挙を果たした。『エデンより彼方に』『キャロル』など甘美な世界観と複雑に交錯する人間模様を映し出し多くの映画ファンを虜にしてきたトッド・ヘインズが、ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアという豪華オスカー女優を迎え、過去と現在、真実と憶測が混ざり合う心理戦を描き出す。グレイシーとジョー、ふたりの関係は犯罪だったのか、純愛だったのか、はたまた他に真実があったのか…。

本作で、ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアというともにオスカーを獲得している二大女優の共演もさることながら、それ以上に注目されているのは、ふたりが、かつての“メイ・ディセンバー事件”を執拗に追いかける女優と、どこまでも掴みどころがなく鉄壁のガードをみせる事件の当事者の女性という立場で、互いに火花を散らしているという点ではないだろうか。

その“演じる女”と“演じられる女”のバトルが、女性同士の美しい恋愛模様を描いた『キャロル』のトッド・ヘインズ監督によって演出されるとあれば、映画ファンは期待せずにはいられないはず。

このたび解禁されたスペシャル動画は、そんな一筋縄ではいかない女たちの「鳥肌が立つほどのエグみ」が垣間見える映像となっている。「あなたに真実が語れるかしら」と挑発的な態度をとるグレイシー（ジュリアン・ムーア）に対し、「犯罪者の内面って興味深いわ」と煽るエリザベス（ナタリー・ポートマン）。かつて全米を騒然とさせたスキャンダルの当事者であるグレイシーも、彼女になりきるためにプライベートに土足で踏み込み詮索するエリザベスには「あの女、我慢の限界よ」と泣きわめく場面も。かと思えば「本当の私が解った？」と余裕の笑みを見せる。

映像の中には、一足早く本編を鑑賞した観客たちの感想が散りばめられており、「ナタリーが最高に“嫌な女”」「女の戦いが一番怖い」といった言葉が並ぶ。静かに繰り広げられる彼女たちの腹の探り合い、いや化けの皮の剥がし合いはまさに「先の読めない究極の心理戦」だ。

さらに、「今年一番美しくて意地悪な映画」と評された本作だが、その“意地悪”な点は、頑なまでに真意を見せようとしない両者の対立だけに留まらない。36歳と13歳の不倫スキャンダルというセンセーショナルな事件を引き起こした当事者たちのもとを訪ねた女優が、“役作り”の名目で夫婦の闇を暴こうと躍起になる展開に、観客はつい自分の視点を重ねたくなるが、ミイラ取りがミイラになるがごとく、どんどん深みにはまっていく主人公（エリザベス）をいつしか全く信用できなくなっていく……。

幾通りにも多層的に描かれる人間描写、何か真実が掴めたような気にさせてことごとく梯子を外す演出の数々、そして予想だにしないラスト。トッド・ヘインズ監督の手のひらで転がされるかのように、女優陣の美しさとエグみが噴出した“意地悪さ”は劇場で堪能してみよう。

『メイ・ディセンバー ゆれる真実』は7月12日（金） ＴＯＨＯシネマズ 日比谷ほか全国公開。