イ・ジェフン、ク・ギョファン、ホン・サビン、ソン・ガンといった韓国エンタメ界の第一線を走る役者が勢ぞろいした『脱走』が6月20日(金)より全国公開されるのを前に、6月17日(火)にジャパンプレミアイベントが実施され、イ・ジェフン、ク・ギョファン、イ・ジョンピル監督が登壇した。

抽選で選ばれた観客が詰めかけた会場に、MCとイ・ジョンピル監督が登壇。しかし、主役であるイ・ジェフンとク・ギョファンの姿が見えないという、まさかの事態に。MCを務めた古家正亨が「監督! イ・ジェフンさんとク・ギョファンさんがいませんが……脱走しちゃいましたか?」と問いかけると、突然、日本語で「ここだよ!」という声が響く。その声とともに、イ・ジェフンとク・ギョファンが客席からサプライズ登場! 観客からは大歓声が沸き起こり、二人に向けて手を振るファンの姿も。熱気に包まれた会場は、一気に感動と興奮に包まれた。

舞台上に登壇したイ・ジェフンが「はじめまして、私はイ・ジェフンです。宜しくお願いいたします」、ク・ギョファンが「こんにちは、ク・ギョファンです」、イ・ジョンピル監督が「私はイ・ジョンピル監督です。センキューベリーマッチ」とそれぞれ挨拶すると、割れんばかりの拍手がおくられた。

昨年のファンミーティング以来の来日となり、主演映画のジャパンプレミアで2年連続の観客の前に立つイ・ジェフンは、「撮影やファンミーティングでは、日本に訪れていましたが、映画公開に合わせて来日するのが初めてとなり、今回劇場でお会いすることができて、とてもわくわくしています。客席をいっぱいにしてくれて、本当にありがとうございます。夢のようです」と観客に向けてお礼の言葉を述べた。
2019年に開催された大阪アジアン映画祭以来の来日となったク・ギョファンは、「今回ご挨拶することができて、とても光栄に思います。みなさんにとってステキな時間になってくれると嬉しいです。日本の観客の皆様にご挨拶をすることができ、映画をお届けすることができて、とても嬉しいです」と笑顔を見せながらコメント。続いて、事前にSNSで募った質問を問いかけていくQ&Aコーナーへ。
——撮影で辛かったり、大変なシーンで思わず脱走したくなったときはありますか? それはどんなシーンでしたか?
イ・ジェフン「タイトルにもありますように、ある場所から抜け出すための瞬間が描かれています。とにかくずっと走り続けているんですね。その走っている瞬間というのは、今にも息が止まりそうなんです。このまま息が止まってしまうんでないかという瞬間が、ずっと撮影中にありました。まるで自分の限界を突破している様な、そんな瞬間が多かったんです。脱走者として捕まってしまえば、それは死を意味します。とにかく生きるために、走り続けていたんです。撮影中ですが、私を撮影するために車で追いかけてきたんですけど、その車に負けてたまるかと全速力で走るんです。でもこの2本足でずっと走り続けていくわけですが、車より早く走ろうとは思っていても、それはなかなか難しいことでした。本当に極限・限界に挑戦しながら、ずっと走っていました。その時の感情というのが、この映画にしっかりと込められていると思います。あんなにも大変な思いをして、息が止まりそうな思いを抱えながら走ります。全力疾走した作品としては、もう僕にとっては、最後になるんじゃないかなと思っています。本当にもう最初から最後まで、ひたすら走り続けてます」
ク・ギョファン「イ・ジェフンさんが、自分の限界を突破して走り続けている時は、私は車の中にいながら、ずっと撮影をしていたんですね。その瞬間は、あまりにも申し訳なくて辛かったです」
——3人に質問です。いまこの場から【脱走】したいほど、日本にきて行ってみたい場所や、やってみたい事はありますか?
イ・ジョンピル監督「沖縄に行ってみたいと思います。私は映画監督ですので、人がどのように暮らしているのか、生きているのか気になるんですね。こちらにいらっしゃる観客の皆さんは、日常生活があるにもかかわらず、ファンの気持ちでこちらにいらっしゃってると思うんですけれども、観客の皆さんのお家に行ってみたいです(笑)。我々は、映画制作人なので、本当に映画が大好きなんですね。この『脱走』を完成させて到着した場所、たどり着いた場所というのは、まさにこの映画館です。観客の皆様の前に立ちたかったので、まさに目的地にたどり着いたという感じです。これ以上脱走したとしても、他の所に行きたいとは思いません」
ク・ギョファン「古風なカフェに立ち寄って、代表的な食べ物や飲み物を注文して、そこで時間をずっと潰しながら、街中歩いている人たちをずっと眺めてみたいです」
イ・ジェフン「昨年撮影で静岡に訪れていて、今年は福岡、長崎、奈良に訪れており、長く撮影で滞在していました。考えてみますと、撮影や仕事で辛くなったり、少し何か息苦しくなったりした時には、いつも近い国である日本のことを考えていたような気がします。馴染みのある場所ですし、日本にずっと訪ねていきたいなと思っています。また一言で言えば、日本はパラダイスのような場所です。なぜならばどこに行っても、コンビニがあるからです」
観客との交流を楽しんだキャストと監督たちだったが、ここでサプライズ演出。スクリーンに投影されたのは、俳優・竹中直人からのコメント。竹中は「イ・ジョンピル監督、そしてイ・ジェフンさん、そしてク・ギョファンさん。アニョハセヨ。ようこそ皆さん日本へ。私、竹中直人です。『脱走』素晴らしい映画でした。胸が締め付けられるというか、なんとも言えない愛にあふれた映画でもあり、そしてとてつもない疾走感。もう、ジェフンとギョファンのエネルギッシュな芝居に、ずっと私の眼は釘付けでした。最高の映画を本当にありがとうございました。もう一度見たい映画です。監督、今度僕も使ってください。よろしくお願いします。竹中直人でした。失礼します」と語った。
イ・ジェフンはこのメッセージに感謝し、「この場で詳細なお話ができないんですけれども、近いうちに皆さんにご覧いただける、とある作品で共演をさせていただきました。本当に小さい時に『Shall we ダンス?』という作品で、初めて竹中直人さんのことを知りました。『のだめカンタビーレ』といった数多くの映画やドラマの出演作を拝見してきました。いつも竹中さんの演技を見ながら、お腹を抱えながら笑っていたりしていたんです。本当に私たちに、喜怒哀楽を伝えてくれる俳優さんだと思っていて、とても印象深い方です。そんな憧れの竹中直人さんと共演できるということで、とても不思議な感覚を覚えましたし、現場では笑いが途絶えませんでした。なのでぜひ皆さんにも、共演作に期待していただければと思います。また映画『脱走』をご覧いただき、サプライズメッセージをお送りいただけたことを、心から感謝申し上げます」と語った。
大盛り上がりのイベントも佳境に。映画を気になっている日本の観客に向けてメッセージを求められたイ・ジェフンは「日本の劇場で皆さんとお会いすることができて、私はこの時間を一生忘れることができないと思います。いつも旅行をしていろんな国に行くたびに、現地の映画館に行っているんですね。東京でも、これまでインディペンデント系の映画館や、シネコンにもうかがいました。映画館を訪れる度に、“いつかこの映画館で、自分の作品が上映されたらどんなにステキな事か”とずっと思っていました。劇場のストアには、出演映画のパンフレットが並んでいたり、映画を見るために足を運んでくださっている。それほど大きな幸せな瞬間というのは、実際にあるんだろうかと考えていたんです。まさに今この瞬間、その夢が実現しました。本当に本当にありがとうございます。とても幸せに思います。ぜひ皆さんには、映画『脱走』を楽しんでご覧いただけたら嬉しいです。そして映画を、たくさん愛していただけたら嬉しいです。皆様どうかお元気でずっと幸せでいらしてください。ありがとうございます」と感謝した。
続いてク・ギョファンは「ある場面というのを、映像で記録することもありますが、目で記録して忘れられない瞬間というのもあると思います。まさにこの瞬間、僕はずっと記憶して、思い出として、この1日を残したいと思います。“カジャ”(韓国語で「行こう!」の意味)」と締めくくった。
イ・ジョンピル監督は「この映画は、北朝鮮の人が主人公だと思って見始めているうちに、観客自身の物語でもあるということを感じて欲しかったです。国籍やイデオロギーを超えて、一人一人の暮らしや人生が似ているなというのを感じてほしいです。幸せを求めて暮らす人々に向けて、メッセージを伝えたいと思いました。今回立ち会っていただいた皆さんは、映画ファンだと思います。皆さんが本当の幸せを求めて、“脱走をしている脱走者”だと私は思っています。足を運んでくださいまして、ありがとうございました」とコメント。フォトセッションでは、イ・ジェフンとク・ギョファンが仲良くハートマークを作ってポーズを決める場面もあり、和やかな雰囲気でイベントは幕を閉じた。

脱走
2025年6月20日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:イ・ジョンピル『サムジンカンパニ―1995』
出演:イ・ジェフン「復讐代行人~模範タクシー~」 ク・ギョファン「D.P.-脱走兵追跡官-」 ホン・サビン『このろくでもない世界で』ソン・ガン『ナビレラ〜それでも蝶は舞う〜』 挿入歌「ヤンファ大橋」:Zion.T
2024年/韓国/韓国語/カラー/94分/シネスコ/5.1ch/原題:탈주/字幕翻訳:朴澤蓉子/提供:ツイン、Hulu/配給:ツイン
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公式サイト dassou-movie.com
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