大都会の夜の喧騒に飲み込まれた生物学者が故郷で新たな生き方を模索する再生の道程を描いたシアーシャ・ローナン主演&プロデュース作品『おくびょう鳥が歌うほうへ』が2026年1月9日(金)より全国順次公開。このたび、主演シアーシャ・ローナン、監督ノラ・フィングシャイト、原作エイミー・リプトロットの鼎談インタビュー&インタビュー映像&メイキング写真が解禁された。
今回解禁されたインタビュー映像では、本作で初プロデュースを手掛けた主演シアーシャ・ローナン、本作の監督ノラ・フィングシャイト、そして一大ベストセラーとなった原作者であり本作で脚本や脚色も担当したエイミー・リプトロットという中心となる三人の女性が、いかに自分自身を反映させながらも自由に想像する余地を持ち制作できたか、その親密な共同作業を語る。

その中でも特に印象的なエピソードとして、本作の主人公ロナのネーミングについて語る。原作の回想録では勿論、原作者自身の名前であるエイミーの物語となっているが、この映画化にあたっては「三人が自由に想像できる距離を必要とした」と、主人公の名前を変えることを監督から提案したという。

インタビュー・テキストでも原作者のエイミー・リプトロットは「ノラが早い段階で提案した“心理的な距離を置く”という考え方は、作品に取り組む上で理にかなっていました。(中略)制作が進むにつれ、ロナというキャラクターが私を基にした存在であるだけでなく、私たち三人の共同作業の産物だと気づきはじめました」と太鼓判を押す。

主演のシアーシャも、これを“健全な選択”であり“自分なりにキャラクターを想像する自由を得られた”と絶賛。「これまでにも実在の故人の役や、映画の製作者や脚本家に強く影響を受けた役を演じたことはありますが、それは難しい反面素晴らしい経験でした。なぜなら質問があればその人物に直接答えを求められるからです。でも『ブルックリン』の撮影中、コルム・トビーン[注:映画『ブルックリン』の原作者] が現場に来た時は『気に入ってくれるかな?これで合ってるのかな?』と気になったのを覚えています。(本作では)こうした距離感があったからこそ、必要に応じて少し違う方向へ自由に持っていける余裕が生まれたんだと思います。ロナというキャラクターがエイミーの完全なコピーではないことは、皆が同意するでしょう。彼女はエイミーの人生と歩み、出会った人々、乗り越えた困難からインスピレーションを得ていますが、それは私たち三人のエネルギーと個性が美しく融合したものです」と、これまでの経験とも照らし合わせて最良の方法だったと語った。
またシアーシャは本作の主演を引き受けるにあたって、3~4年前なら出来なかったと明かし、過去の自分と現在の自分を比較した。「自分自身に十分な自信が持てなかったと思います。俳優として、映画全体を通して一貫して見せる醜い部分を持つ人物に挑む勇気を持てなかったと思います。でも今の私にとっては、ごく解放的に感じられました」「完璧な英雄や欠点のない女性像よりも、彼女たちの方がずっと共感できます。だって私たちは大抵、ひどい人間に思えてしまうから。だからそれを本当に正直で真実味のある方法で表現できたのは、純粋な喜びでした」。
さらに本作でシアーシャと共にプロデュースとしてクレジットされているジャック・ロウデンについても信頼の想いを吐露する。「私にとっては、しばらく失っていた仕事の喜びを再び見出せたと思います。これまでに経験したことのないほど深く没頭でき、その働きから得られる誇りは他にありません。個人的に深く愛する人々が関わってくれたこと、そして道中で出会った新たな素晴らしい人々こそが、最高の贈り物でした。そしてオークニーとそこに住む人々との出会いは、生涯忘れられない宝物です。この映画はまさに贈り物でした」。
インタンビュー全文は以下のとおり。
主演シアーシャ・ローナン×
監督ノラ・フィングシャイト×
原作エイミー・リプトロット
鼎談インタビュー
——ノラ監督にお聞きします。このプロジェクトに惹かれた理由は?また、『消えない罪』の次にこの作品を撮りたいと思ったのはなぜですか?
ノラ・フィングシャイト:パンデミックの終わり頃にこの企画が舞い込んできました。サラ(・ブロックルハースト)が原作を送ってくれて、シアーシャ(・ローナン)が主演に決まっていると知り、大きな魅力に感じました。だから本を読む時、彼女のことを思い浮かべていました。この本は驚くほど力強く、その率直さが独特で、土地への温もりと愛に満ちていて、世界の果てのような場所に私を連れて行ってくれたんです。シアーシャがロナを演じるという事実はまさに大当たりでした。この役は、一人の人物が全てを背負う必要があるからです。
——小説の登場人物で原作者でもあるエイミーと、映画の登場人物であるロナの間に築かれた距離感と力学について、またエイミーの経験から着想を得つつもその経験を超えた領域を探求するための創造的自由を自らに与えた手法について、みなさんにお聞きします。
ノラ・フィングシャイト:最初からキャラクターの名前を変える必要があると直感しました。創造的な決断を下し、架空の存在へと昇華できる新たなキャラクターを創り出すことが、私たち3人にとって重要だと感じたのです。適切な名前を見つけるためのブレインストーミングの中で、エイミーがスコットランドの島の名前にちなんで「ロナ」を提案し、シアーシャがそれにいちばん反応しました。
エイミー・リプトロット:ノラが早い段階で提案した「心理的な距離を置く」という考え方は、作品に取り組む上で理にかなっていました。それによって原作にはなかった架空の要素を物語に導入できました。このアプローチは原作の素材を新たな視点で扱う自由を与えてくれ、制作が進むにつれ、ロナというキャラクターが私を基にした存在であるだけでなく、私たち三人の共同作業の産物だと気づきはじめました。
シアーシャ・ローナン:私たち全員にとって、それぞれ異なる理由で健全な選択でした。この役を演じる者として、キャラクターを自分なりに創造する自由を得られたのです。これまでにも実在の故人の役や、映画の製作者や脚本家に強く影響を受けた役を演じたことはありますが、それは難しい反面素晴らしい経験でした。なぜなら質問があればその人物に直接答えを求められるからです。でも『ブルックリン』の撮影中、コルム・トビーン [注:映画『ブルックリン』の原作者] が現場に来た時は『気に入ってくれるかな? これで合ってるのかな?』と気になったのを覚えています。(本作では)こうした距離感があったからこそ、必要に応じて少し違う方向へ自由に持っていける余裕が生まれたんだと思います。ロナというキャラクターがエイミーの完全なコピーではないことは、皆が同意するでしょう。彼女はエイミーの人生と歩み、出会った人々、乗り越えた困難からインスピレーションを得ていますが、それは私たち三人のエネルギーと個性が美しく融合したものです。
ノラ・フィングシャイト:初期の段階で、シアーシャが私に「エイミーのように話すべき?」と尋ねたのを覚えています。しかし私は、エイミーを真似ることによって役に入り込むのではなく、彼女自身の声とアクセントを見出してほしかった。真実を掴み取る必要はありましたが、それはシアーシャの真実であるべきだから。
シアーシャ・ローナン:声はキャラクターを見つける上で常に不可欠な要素であり、それは今も昔も変わりません。だからこそノラがロナの声を見出させてくれたのは最高の贈り物でした。他のアクセントを真似る時とは違って、そこには自由さと流動性があったから。彼女はアイルランド人じゃないけど、完全にオークニーの人でもない。エイミーのアクセントは元々様々な要素が混ざりあっているから、私たち全員の要素がそこにあっても良いんじゃないかと思いました。
エイミー・リプトロット:初めてシアーシャが役になりきっている姿を見た時、彼女がまるで私そのもののように感じられて驚きました。なぜかはわかりません。当時はまだ彼女に会ったこともなかったし、単に私の言葉の精神を読み取っただけなのかもしれない。でもそれは私でした。良い意味で本当に驚いたし、彼女の才能とこの役で成し遂げようとしていることに確信を持ちました。
——ロナはいくつかの点でかなり難しいキャラクターです。利己的で、曖昧で、他人に対して辛辣になることもあります。そして自己破壊的なパターンに陥っています。観客が共感しづらいかもしれない人物を演じることに、どう感じましたか? また、感情的にその状態に入り込むのは難しかったですか?
シアーシャ・ローナン:最高でした! そういう役柄を演じるのはいつも楽しいんです。怖がるのも当然ですが、俳優には根本的に「好かれたい」「受け入れられたい」「愛されたい」という欲求があるし、観ている人を感動させたいと思うものです。制作過程で何度も口にしたんですが、3~4年前なら心理的にこんな役を引き受ける準備ができていなかったと思います。自分自身に十分な自信が持てなかったと思います。俳優として、映画全体を通して一貫して見せる醜い部分を持つ人物に挑む勇気を持てなかったと思います。でも今の私にとっては、ごく解放的に感じられました。結局のところ、私たち皆が内に秘めているものなのです。ロナが私たちより悪いわけじゃない。テレビのコメディに登場する女性は、映画ほど頻繁には見られない形で、ひどく自己中心的で自己陶酔的になり得ると思う。今でもそう思う。
シアーシャ・ローナン:たとえば、レナ・ダナムの「GIRLS/ガールズ」、「Veep/ヴィープ」のセリーナ・マイヤー。完璧な英雄や欠点のない女性像よりも、彼女たちの方がずっと共感できます。だって私たちは大抵、ひどい人間に思えてしまうから。だからそれを本当に正直で真実味のある方法で表現できたのは、純粋な喜びでした。
——この映画を作り上げた経験から得たものは何ですか?
シアーシャ・ローナン:私にとっては、しばらく失っていた仕事の喜びを再び見出せたと思います。これまでに経験したことのないほど深く没頭でき、その働きから得られる誇りは他にありません。個人的に深く愛する人々が関わってくれたこと、そして道中で出会った新たな素晴らしい人々こそが、最高の贈り物でした。そしてオークニーとそこに住む人々との出会いは、生涯忘れられない宝物です。この映画はまさに贈り物でした。
まとめ(注目ポイント)
- 『おくびょう鳥が歌うほうへ』2026年1月9日(金)より全国順次公開シアーシャ・ローナンが主演・初プロデュースを務め、再生の道を描く感動作が公開を迎える。
- 主人公の名を変えた「心理的距離」の重要性原作者エイミー・リプトロット自身の物語だが、あえて名前を「ロナ」に変えることで自由な創造性が生まれたと語る。
- 「醜い部分を持つ人物」を演じる喜びシアーシャは、自己中心的で不完全なキャラクターを演じることが、今の自分にとっては解放的で純粋な喜びだったと明かした。
- 三人の女性による親密な共同作業主演、監督、原作者の三者がそれぞれのエネルギーと個性を融合させ、新たなキャラクターと物語を創り上げた。
おくびょう鳥が歌うほうへ
2026年1月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
監督:ノラ・フィングシャイト 脚本:ノラ・フィングシャイト、エイミー・リプトロット
脚色:エイミー・リプトロット、ノラ・フィングシャイト、デイジー・ルイス 原作:THE OUTRUN(エイミー・リプトロット著)
出演:シアーシャ・ローナン、パーパ・エッシードゥ、ナビル・エルーアハビ、イーズカ・ホイル、ローレン・ライル、サスキア・リーヴス、スティーヴン・ディレイン
撮影:ユヌス・ロイ・イメール 編集:シュテファン・ベヒンガー 音楽:ジョン・ギュルトラー、ヤン・ミゼレ 美術:アンディ・ドラモンド
キャスティング:キャロライン・スチュワート、カリーン・クローフォード 衣装:グレース・スネル エグゼクティブ・プロデューサー:クラウディア・ユセフ、キーラン・ハニガン、マリア・ローガン、アン・シーハン、ルアン・ガウアー、ジョージ・ハミルトン、ジェームズ・ピュー、ヤニナ・フィルスマイアー プロデューサー:サラ・ブロックルハースト、ドミニク・ノリス、ジャック・ロウデン、シアーシャ・ローナン 共同プロデューサー:ジョナス・ウェイドマン、ジェイコブ・D・ウェイドマン、シリン・ハートマン
2024年/イギリス・ドイツ/原題:THE OUTRUN/シネマスコープ/118分/映倫区分:G
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 配給:東映ビデオ
© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
公式サイト www.outrun2026.com
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