本年度アカデミー賞®国際⻑編映画部⾨のフランス代表にも選出された『サントメール ある被告』(公開中)の公開を記念し、アリス・ディオップ監督が初来⽇し、公開初⽇の7⽉14⽇(⾦)、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下での18:30の回上映後、トークイベントに登壇した。対談ゲストとして、本作の共同脚本の作家マリー・ンディアイの翻訳者で、NHK『⽇曜美術館』司会でおなじみの芥川賞作家・小野正嗣も登壇した。

本作は実際の裁判記録に基づき、⽣後15ヶ⽉の娘を殺害した罪に問われた⼥性を描く法廷劇。若き女性作家ラマは、ある裁判を傍聴する。被告は、生後15ヶ月の幼い娘を殺害した罪に問われた女性ロランス。セネガルからフランスに留学し、完璧な美しいフランス語を話す彼女は、本当に我が子を殺したのか? 監督は、国際的に注目を集めるセネガル系フランス人女性監督アリス・ディオップ。撮影監督に『燃ゆる女の肖像』のクレール・マトン、脚本にはゴンクール賞作家のマリー・ンディアイが参加している。

⽇本に来るのは初めてだという監督は、映画を観たばかりの観客を前に「⽇本が来ることが夢でした。今とても光栄で、“⽇本⼤好き”という気持ちです」と挨拶。世界の映画⼈が今最も注⽬する監督を前に、会場からは⼤きな拍⼿が起こった。
⼩野正嗣は「まさに普遍的な感情に訴える映画。⺟が娘を殺したという⼀つの“事実”を描いているが、それを受け取る⼈によって“真実”は様々なんだと気づかせてくれる」と本作の感想を語った。
その後、⼩野から監督に質問をする形でトークが進⾏。この映画を作りたいと思ったきっかけを問われると、監督は「被告の⼥性にとても興味を惹かれて、なぜ興味をもったのか、裁判を聞く中で分かってきた。また、フランス映画でほとんど描かれることのない黒人⼥性のヒロインを描くことができれば、とても政治的で普遍的で、多くの⼈に語りかける映画になると思った」と語った。

本作の脚本には、監督のほか、⼩野が翻訳を⼿がけた『三⼈の逞しい⼥』『ロジー・カルプ』の著者であり有名作家マリー・ンディアイが関わっている。監督は、「マリー・ンディアイの⼩説が元々好きで、⼿紙を書いてオファーした」という。⼩野は、「マリーの⼩説は、物語の中で主⼈公⾃⾝がアイデンティティの危機を迎える。この映画も共通するが、そこに監督にしかできない映像の語り⽅が出ている」と話した。
⼩野との対話の後には、観客との質疑応答が活発に⾏われ、最後に監督が「⽇本の皆さんからこれだけ的確で深い質問をいただけて、監督として、とても癒しの時間でした。映画を作ることはとても孤独だけれど、4~5年後にこんなご褒美が待っているなんて、すごく報われる思いです。また4年後に会いましょう」と挨拶すると、イベントはあたたかい雰囲気の中終了した。
尚、監督は7/15(⼟)東京⽇仏学院での⾃⾝の前作『私たち』上映後と、7/16(⽇)Bunkamura ル・シネマ 渋⾕宮下での『サントメール ある被告』18:30 の回上映後もトークイベントに登壇する。
「2022年最⾼のフランス映画」と絶賛された『サントメール ある被告』は絶賛公開中。
サントメール ある被告
2023年7月14日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開予定
原題:Saint Omer|2022|フランス|フランス語|123 分|カラー|監督:アリス・ディオップ|出演:カイジ・カガメ、ガスラジー・マランダ、ロバート・カンタレラ|G|字幕:岩辺いずみ|配給:トランスフォーマー
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