お互いに2度のオスカー受賞という名優マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが『愛と哀しみのエリザベス』以来50年ぶり2度目の共演にして、2度目の夫婦役を演じ話題になり、本国イギリスで興行収入10億円超えの大ヒットを記録した『2度目のはなればなれ』が全国で絶賛公開中。本作で引退を決意したマイケル・ケインと本作が遺作となったグレンダ・ジャクソン、伝説の英国人俳優による奇跡の共演にちなみ、配信や劇場でこの秋に見たい、英国の“レジェンド俳優”たちの名作を一挙紹介!
マギー・スミス
2024年9月27日に惜しまれながらもその人生に幕を閉じたマギー・スミス。アカデミー賞では『ミス・ブロディの青春』(69)で主演女優賞、マイケル・ケインと共演したコメディ作品『カリフォルニア・スイート』(78)で助演女優賞を受賞し、その他舞台やドラマでも活躍し、トニー賞やエミー賞も受賞するなど、俳優として最高のキャリアを重ねた。そして、なにより老若男女に知られ、世界中の観客に親しまれたのが、『ハリー・ポッター』シリーズのホグワーツ魔法魔術学校のミネルバ・マクゴナガル教授役だろう。ミステリアスで威厳に溢れ、ホグワーツの若い魔法使いたちを指導する、辛辣なマクゴナガル教授は、マギー・スミスの晩年の代表的キャラクターとなった。そして、こちらも空前の大ヒットとなった『ダウントン・アビー』では、先代グランサム伯爵未亡人のバイオレットとして、さまざまな出来事が起こるダウントン邸でどっしりとした存在感で痛烈なセリフを繰り出し、皮肉と鋭い機知でファンの間でも人気の高いキャラクターとなった。
ジュディ・デンチ
ジュディ・デンチの出演作として近年、広く知られているキャラクターといえば、『007』シリーズにて英国諜報部MI6のボス、ボンドの上司のMだろう。ジュディがMとして出演したのは、『007 ゴールデンアイ』で、前任のMが退任してMI6に送り込まれてきてから、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』、『007 カジノ・ロワイヤル』、そしてなんといっても『007 スカイフォール』ではストーリー上で重要人部として描かれ、そのエンディングはジェームズ・ボンドのダニエル・グレイグとならび、強烈な印象を残した。そして、ケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』では主人公のおばあちゃん役を演じ第94回アカデミー助演女優賞にノミネート。『ジョーンの秘密』では、“核時代最後のスパイ”を熱演し、『ヴィクトリア女王 最期の秘密』では、ヴィクトリア女王役を堂々と演じるなど、その出演作の多さ、そして幾つになっても主演として作品を背負い演じ切る姿に、スタッフからの確固たる信頼と、ジュディ自身の演じることに対する尽きぬ熱意をひしひしと感じることができる。
ヒュー・グラント
ロンドン出身、90年代後半に“ロマンチックコメディの帝王”として一世を風靡したヒュー・グラント。『ノッティングヒルの恋人』や『ブリジット・ジョーンズの日記』などでは、その優しげな風貌と優柔不断ながら人間味のある役柄とも相まって、女性たちから絶大な人気を誇った。今でも精力的に活動する彼の2004年の大ヒット作『ラブ・アクチュアリー』が、2024年12月6日に20年ぶりにリバイバル上映される。クリスマス前のロンドンを舞台に様々な境遇の人々が織りなす恋愛模様をつづった群像ラブコメディは、市井の人々に寄り添った温かく至福のラブストーリーとして、世代を超えて愛されている。
アンソニー・ホプキンス
『羊たちの沈黙』で演じた精神科医で猟奇殺人犯のハンニバル・レクター博士役が高く評価され、アカデミー主演男優賞を受賞。その後も、続編『ハンニバル』や『レッド・ドラゴン』で同じくレクター役を演じ、強烈な印象を残しているアンソニーだが、『マイティ・ソー』シリーズで主人公ソーの父親であるオーディン役や、『2人のローマ教皇』でローマ教皇ベネディクト16世を演じるなど様々な役柄で精力的に出演を重ね、認知症の父親役を演じた『ファーザー』では、2度目のアカデミー主演男優賞を83歳で受賞!最高齢受賞記録を更新し、レジェンドという名に相応しい活動を続けている。本年度は、669人のチェコの子どもたちをナチスから救ったニコラス・ウィントンの半生を描いた伝記ドラマ『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』に主演(上映中)。86歳のアンソニー、まだまだ銀幕から観客を楽しませてくれそうだ。
マイケル・ケイン
アカデミー賞6回ノミネート、そして受賞歴は2回というイギリスを代表する名優の一人。南ロンドンで生まれたマイケルは、1956年、『韓国の丘』の脇役として23歳にしてスクリーンデビュー。その後下積み生活を重ね、1966年に公開されたコメディドラマ『アルフィー』で主演男優賞候補となり、スターダムへ駆け上がると、数々の出演作を経て20年越しで『ハンナとその姉妹』でアカデミー賞助演男優賞を受賞。『サイダーハウス・ルール』でも助演男優賞を受賞するなど、マイケルはオスカーに計6回ノミネートされるなど、常連俳優となった。『インセプション』、『インターステラー』、そして『キングスマン』など近年の作品でもその存在感を発揮し、観客を魅了し続けている。今回、マイケル・ケインの引退作となる『2度目のはなればなれ』では、お互いに2度のオスカー受賞というマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが『愛と哀しみのエリザベス(原題:THE ROMANTIC ENGLISH WOMAN)』(75)以来50年ぶり2度目の共演にして、2度目の夫婦役を演じ話題になり、本国イギリスで興行収入10億円超えの大ヒットを記録した。
世界で愛された多くの名作に出演し、どの年代でも常に輝き続け、たとえその命の光が消えてもなお記憶に残り続ける英国人レジェント俳優たち。10月11日から公開されたマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンという、英国のみならず、映画史に残る名優たちが最後に選んだ映画『2度目のはなればなれ』は、89歳の退役軍人が6月ノルマンディ上陸作戦70年記念式典に参加するため、老人ホームを抜け出すという、その勇気が観る者に深い感動を与える、実話をもとにした物語。この歴史的名作と二人の名演を劇場で味わってみよう。
2度目のはなればなれ
公開中
STORY
2014年夏。イギリス・ブライトンの老人ホームで寄り添いながら人生最期の日々を過ごす老夫婦バーナード(マイケル・ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)のある行動が世界中の大ニュースとなった。ひとりバーナードはフランスのノルマンディへ旅立つ。彼が行方不明になったという警察のツイート(#The Great Escaper)をきっかけに、世界中で話題になったのだ。ふたりが離れ離れになるのは、人生で2度目。決して離れないと誓った男がどうしてもはなればなれにならなければならなかった理由とは…。必ず戻ってくると信じる妻の真実の想いとは…。
監督:オリバー・パーカー 脚本:ウィリアム・アイヴォリー
出演:マイケル・ケイン『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』で2度のオスカー受賞、グレンダ・ジャクソン『恋する女たち』『ウィークエンド・ラブ』で2度のオスカー受賞
ダニエル・ヴィタリス、ローラ・マーカス、ウィル・フレッチャー
2023年/イギリス映画/英語/97分/原題:The Great Escaper
配給:東和ピクチャーズ
©2023 Pathe Movies. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト hanarebanare.com
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