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イタリアが誇る巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督の初期作を集めた特集上映「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」が8月15日(土)より全国順次開催。このたび、アントニオーニ初カラー作品である『赤い砂漠』の4K修復された本編映像から冒頭シーンが公開された。あわせて映画監督をはじめとした文化人からコメントが到着し、シアター・イメージフォーラムでの公開初日イベントも決定した。

現代人が抱える孤独や不安、男女間の愛の不毛を描き続けた、イタリアが世界に誇る巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ。世界三大映画祭全てで最高賞を受賞し、ジャン=リュック・ゴダールやガス・ヴァン・サント、ウォン・カーウァイなど国や地域を超え、多くの後続の映画監督たちに影響を与えている。今回上映されるのは長編デビュー作を含む初期5作品。

資本家とその妻、そして妻の元恋人が織り成す愛憎劇をノワール調に描いた長編デビュー作『愛と殺意』、ヨーロッパの三都市を舞台に罪をおかす若者たちの行く末を描いた群像劇のオムニバス『敗北者たち』、トリノで偶然出会った女性5人の不安定な関係性を見つめ、第16回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『女ともだち』、アントニオーニの代名詞となる男女の愛の不毛を描き、論争を巻き起こしながらも第13回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した代表作『情事』、そしてアントニオーニ初のカラー作品で、アントニオーニのミューズであるモニカ・ヴィッティ演じる主人公の苦悩を鮮烈な色彩描写で活写し、第25回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に輝いた『赤い砂漠』だ。

今回解禁されたのは、今回上映される4K修復された『赤い砂漠』の本編冒頭シーン。激しく炎を吐きだす工場煙突を背景に、ストライキを決行する労働者たちが行き交う灰がかった工場地帯を、鮮やかな緑色のコートを着たモニカ・ヴィッティ演じる主人公ジュリアーナが息子の手を引いて歩く姿がシンボリックに映る。彼女が労働者から食べかけのパンを買い求める姿も映し出され、ジュリアーナの精神の不安定さを感じさせる印象的なシーンだ。

あわせて映画監督3名を含む文化人5名からコメントが到着。『ナミビアの砂漠』の山中瑶子監督は、「人間が抱える根源的な感情をきわめてさっぱりと描くアントニオーニの映画を見ると、不安が伝播してきてもいいところがなぜか安らぐ。現実が空虚なものであることが前提となったいま、彼の映画はあまりに禁欲的に映るかもしれない。しかし、それは現代が彼の映し出した世界をなぞっているにすぎないのだ。」とコメントを寄せている。ほかに行定勲監督、岨手由貴子監督、須藤健太郎(映画批評家)、五所純子(作家・文筆家)からもコメントが到着している。コメント全文は記事下にて。

さらにシアター・イメージフォーラムではトークイベントの実施が決定。初日8月15日(土)『愛と殺意』16:30の回上映後に日本大学芸術学部映画学科教授の古賀太が登壇予定。また公開初日より劇場用パンフレットの発売も決定。パンフレットはフルカラーB6サイズで全74ページ、古賀太、遠山純生(映画評論家)、和田忠彦(イタリア文学研究者)、須藤健太郎、五所純子の寄稿を掲載。あわせて本特集のB2ポスターも発売される。

劇場用パンフレット表紙

なお本特集は、配給会社ザジフィルムズが提案する上映シリーズ「l’histoire du cinema」(映画の歴史)の「leçon 2」(レッスン 2)。映画の歴史の中から今観るべき作品を独自にセレクトして劇場公開する企画として、「leçon 1」は「特集ロッセリーニ×ゴダール[2つのゼロ年]」を公開した。

コメント一覧

アントニオーニの映画に生きる人々は、誰もが消し去ることのできない孤独を抱えているように思う。
なかでも『情事』は、人間が最も他者に知られたくない感情や、自分自身でさえ目を背けたい恥部に静かに触れてくる。アントニオーニの鋭い洞察は、男と女のどうしようもなさを容赦なく映し出し、その先にある抗いようのない真実を私たちに突きつける。
人間とは何か。その本質を、私はこの映画から学んだ。

行定勲(映画監督)


『情事』

失踪した人物を探す映画は、探す側が深淵を覗くことになる。
考察や伏線では語られないアントニオーニの人間観を、倫理とかそういうもので形づくられない映画を、若い世代にもぜひ観てほしい。

岨手由貴子(映画監督)


『情事』に先立つものとして『愛と殺意』があり、『情事』を引き継ぐものとして『さすらいの二人』がある。『愛と殺意』、『情事』、『さすらいの二人』の3本を並べてみると、アントニオーニのフィルモグラフィを貫く問題意識の一端が浮かび上がるはずだ。

須藤健太郎(映画批評家)


人間が抱える根源的な感情をきわめてさっぱりと描くアントニオーニの映画を見ると、不安が伝播してきてもいいところがなぜか安らぐ。
現実が空虚なものであることが前提となったいま、彼の映画はあまりに禁欲的に映るかもしれない。
しかし、それは現代が彼の映し出した世界をなぞっているにすぎないのだ。

山中瑶子(映画監督)


アントニオーニの映画では、世界からなにかが抜け落ちる。そのとき、愛の不毛とうたわれてきた映画の裏地に、近すぎる女たちが縫いこまれていた。それは富や病や孤独と呼ばれるほかなかったのだろうか。『女ともだち』と『敗北者たち』が隣り合う、その日に。

五所純子(作家・文筆家)

まとめ(注目ポイント)

  • 『赤い砂漠』4K修復版冒頭映像公開 ミケランジェロ・アントニオーニ初のカラー作品『赤い砂漠』4K修復版より、モニカ・ヴィッティ演じる主人公ジュリアーナが登場する冒頭シーンを解禁。
  • 初期5作品を一挙上映 8月15日より開催される「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」で、『愛と殺意』『情事』など初期5作品を上映。
  • 映画人・文化人5名がコメント寄稿 山中瑶子監督、行定勲監督、岨手由貴子監督のほか、須藤健太郎、五所純子らがアントニオーニ作品への思いをコメント。
  • 公開初日イベント&パンフレット発売 8月15日のシアター・イメージフォーラムでは古賀太によるトークイベントを開催。全74ページの劇場用パンフレットやB2ポスターも発売。
  • 映画史を再発見する上映シリーズ ザジフィルムズによる「l’histoire du cinema」レッスン2として開催。アントニオーニ初期作品の魅力をスクリーンで体験できる貴重な機会。
上映情報

ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂
2026年8月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次開催

上映作品
●『愛と殺意 4K修復版』
© 1950 Fincine /Villlani F. Torino – Surf Film s.r.l. All Rights Reserved
●『敗北者たち 2K修復版』
1953 © Film Costellazione
●『女ともだち 2K修復版』
© TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All Rights Reserved.
●『情事 4K修復版』
© RTI 1960
●『赤い砂漠 4K修復版』
© 1964 RTI

配給:ザジフィルムズ

公式サイト https://www.zaziefilms.com/antonioni2026/

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