山形国際ドキュメンタリー映画祭2019で優秀賞を受賞したブラジルのドキュメンタリー映画、原題“Espero tua(re)volta”(英題:Your Turn)の邦題が『これは君の闘争だ』として11月より、シアター・イメージフォーラムにて公開されることが決定した。あわせてメインビジュアルも完成した。

本作は初の極右政権成立に揺れる2010年代のブラジルを学生たちの視点から描いた青春群像ドキュメンタリー。ボルソナロ大統領就任の2ヶ月後、ベルリン映画祭のジェネレーション部門で初公開され、アムネスティ・インターナショナル映画賞と平和映画賞を受賞。その後各国の映画祭で上映を重ね、2019山形国際ドキュメンタリー映画祭にて優秀賞を受賞した。

2013年6月、ブラジル・サンパウロの路上で公共交通料金賃上げに対する大規模な抗議デモが起きた。初めはバス料金 20 セントに対する要求だったものが、次第に政治に対する深い嫌悪感のなかで、物価上昇や重税、LGBTQ+や女性の権利、人種差別など、様々な問題に対する抗議へと広がっていった。そして 2015 年 10 月、サンパウロの高校生たちが公立学校の予算削減案に抗して自らの学校を占拠し始めた。

この運動はブラジル全土を巻き込み、翌月には 200 以上の学校が占領されるまで発展、ブラジル社会で高校生たちによる大きな変革が起きようとしていた。しかし、その期待は学校占拠から 3 年後、ブラジル初の極右政権が成立するとともに裏切られることになる。

たび重なる汚職や治安悪化によって、14 年間続いた左派政権は群衆の支持を失い、「ブラジルのトランプ」と称されたジャイル・ボルソナロにその座を明け渡したのだった。

本作はそんなブラジル社会で熱い闘う高校生たちを追ったドキュメンタリーである。当事者である3人の高校生が当時の運動を振り返りながら、それぞれの意見をヒップホップ・ミュージックに乗せラップバトルのように衝突させていく。進歩的な公共政策の下で育った最初の世代である彼らが、混迷化し、そして急速に右傾化していくブラジル社会を糾弾していく過程で、学生たちの社会に対する希望と不安とが浮き彫りになっていく。


このたび完成したビジュアルは、当事者三人の高校生とタイトル「これは君の闘争だ」が力強く打ち出されたもの。さらにブラジル激動の2010年代を学生として生きた彼らの輝かしい表情を捉えた場面写真も一挙に公開された。

これは君の闘争だ
2021年11月よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督、脚本:エリザ・カパイ 撮影:エリザ・カパイ、ブルーノ・ミランダ 編集:エリザ・カパイ、ユリ・アマラウ 音楽:Décio 7
ナレーション:ルカス・“コカ”・ペンチアド、マルセラ・ジェズス、ナヤラ・スーザ 音響:Confraria de Sons & Cigars プロデューサー:アリアナ・ジェネスカ
2019 年/93 分/HD/16:9/ブラジル/ドキュメンタリー
配給:太秦
▽公式HP
www.toso-brazil.jp