貴重なサイレント映画を弁士・伴奏付きで上映！「サイレントシネマ・デイズ2021」開催

国立映画アーカイブでは、毎年恒例の上映企画「サイレントシネマ・デイズ2021」を、10月5日（火）より6日間にわたって開催。貴重なサイレント映画を弁士・伴奏付きで上映する。

映画初期に製作された無声映画は、当時、まだ映画保存の必要性がそれほど強く認識されていなかったことに加え、災害や戦禍などが重なったことにより、世界のどの国や地域においても残存率が低くなっている。

本シリーズ企画は、世界各国の無声映画に弁士の説明や生演奏を付けて上映することにより、その素晴らしさや貴重さを観客の皆さんと共有し、次代へ継承するための企画。

今回はすべてアメリカ映画で、6プログラム9作品をお届けする。アメリカ議会図書館が2020年に染色も含めて復元した『曠野に叫ぶ』（1921）は、復元版としては日本初上映となる。

また、国立映画アーカイブ所蔵作品からは巨匠セシル・B・デミル監督の『カルメン』（1915）を弁士・伴奏付で、さらにハリウッド最初期の大スター・早川雪洲主演『男一匹の意地』（1921）なども上映する。

本企画の見どころ

キング・ヴィダー監督『曠野に叫ぶ』復元版日本初上映！
『ステラ・ダラス』（1937）や『白昼の決闘』（1946）などで知られるキング・ヴィダー監督『曠野に叫ぶ』のアメリカ議会図書館による復元版を日本初上映。監督自身が細かく指定した染色も復元されている。後に巨匠となる若き日のヴィダーが牧師とカウボーイの友情を描いた作品。また、1920年代のハリウッド映画を代表する人気女優となるコリーン・ムーアも出演。今年でちょうど公開後100年となる。

一大スペクタクル巨篇『バグダッドの盗賊』と、そのパロディ映画を上映！
サイレント映画期の大スター、ダグラス・フェアバンクス主演の活劇『バグダッドの盗賊』（1924）は、空飛ぶ絨毯などの特殊撮影とフェアバンクスのアクションが目を奪う、サイレント映画期を代表するスペクタクル巨篇。さらに、そのパロディ短篇『珍バグダッドの盗賊』（1925）もあわせて上映。主要な役をチンパンジーが演じる必見作！

そのほか、『第七天国』（1927）や『街の天使』（1928）で知られるフランク・ボーゼイギ監督『なまけ者』（1925）や、ハリウッド最初期に大スターとなった早川雪洲が自身のプロダクションで製作し、主演もした『男一匹の意地』も上映。

またセシル・B・デミル監督の『カルメン』は活動写真弁士の澤登翠氏と伴奏の湯浅ジョウイチ氏、鈴木真紀子氏による弁士・伴奏つきで楽しめる。さらに、NFAJ所蔵弁士説明版選集では往年の活動写真弁士による説明の録音つきフィルムを上映。6プログラムとも個性にあふれた必見のプログラムでお届けする。

上映作品（6プログラム、9作品）

※【】内は弁士・伴奏付上映回の詳細です。詳しい上映スケジュールに関しては、HPかプログラムをご覧ください。
1.『カルメン』（1915年、監：セシル・Ｂ・デミル）
　【弁士：澤登翠 伴奏：湯浅ジョウイチ、鈴木真紀子 10/5（火）6:30pm】
2.『曠野(こうや)に叫ぶ』（1921年、監：キング・ヴィダー）
　【伴奏：神﨑えり 10/9（土）6:00pm】
3.『男一匹の意地』（1921年、監：コリン・キャンベル）
　【伴奏：天池穂高 10/7（木）6:30pm】
4.「NFAJ所蔵弁士説明版選集」
　『頓珍漢馬騒動』（1918年、監：エディ・ライオンズ、不完全）
　『ハリキリ天國』（1921年、監：ギルバート・W・プラット、部分）
　『愛の燈台守』（1924年、監：エドワード・F・クライン）
5.『バグダッドの盗賊』（1924年、監：ラオール・ウォルシュ）
　『珍バグダッドの盗賊』（1925年、監：ベンジャミン・ストロフ）
　【伴奏：柳下美恵、鳥飼りょう 10/10（日）12:30pm】
6. 『なまけ者』（1925年、監：フランク・ボーゼイギ）
　【伴奏：上屋安由美 10/8（金）6:30pm】