米業界紙「バラエティ」が定期的に更新している「第94回アカデミー賞受賞予想(Oscars Predictions)」の最新版が発表された。最多ノミネートの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を作品・監督賞などの本命に、『ドライブ・マイ・カー』を国際長編映画賞の本命に挙げている。

現時点で作品賞の最有力として挙げたのは、ジェーン・カンピオン監督がベネディクト・カンバーバッチを主演に迎えた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。前哨戦を順調に制し、アカデミー賞では作品賞をはじめ最多11部門12ノミネートされており、大本命の一本という大方の予想に疑いはないとしている。
アカデミー賞の行方を占う重要な賞であるSAG賞(全米映画俳優組合賞)で最高賞のキャスト賞のノミネートを逃しているのは「注目すべき点」としているが、これまで同じ流れで作品賞を受賞したケースがあったことも指摘。監督賞も同作のジェーン・カンピオンを最有力としている。
作品賞の対抗馬として挙げたのはケネス・ブラナー監督が幼少期を投影した自伝的作品『ベルファスト』(3月25日公開)。前哨戦の一つ、第46回トロント国際映画祭では最高賞の観客賞を受賞し、アカデミー賞では7部門にノミネートされている。
日本映画初のアカデミー賞作品賞候補にのぼり、計4部門でノミネートされている『ドライブ・マイ・カー』は、作品賞では有力候補に挙げていないものの、国際長編映画賞では最有力としている。国際長編映画賞のライバル作品として『The Worst Person In The World(原題)』を挙げている。

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
全国公開中
主演男優賞の最有力としたのは『ドリームプラン』のウィル・スミス。世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父を熱演し、受賞確実の呼び声も高いが、2月27日に授賞式が開催予定のSAGアワードの受賞結果が重要な意味を持つとしている。

2022年2月23日(水・祝)より全国ロードショー
©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
現在もっとも「混沌としている」というのが主演女優賞の行方。今回主演女優賞にノミネートされた5人の作品はすべてアカデミー賞作品賞にはノミネートされていない。このような状況はレアケースで予想は難しいとしつつも、『スペンサー ダイアナの決意』でダイアナ妃を演じるクリステン・スチュワートを本命に挙げた。

2022年秋、全国ロードショー
Photo credit Pablo Larrain
また助演女優賞は『ウエスト・サイド・ストーリー』(公開中)のアリアナ・デボーズ、助演男優賞は『ベルファスト』のキアラン・ハインズを本命と予想している。
授賞式は3月27日(現地時間)にロサンジェルスで行われる。主要部門の候補リストは以下の通り。
●作品賞
ベルファスト
パワー・オブ・ザ・ドッグ
ウエスト・サイド・ストーリー
DUNE/デューン 砂の惑星
リコリス・ピザ
ドリームプラン
コーダ あいのうた
ドント・ルック・アップ
ナイトメア・アリー
ドライブ・マイ・カー
●監督賞
ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
ケネス・ブラナー『ベルファスト』
ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
スティーヴン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』
濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』
●主演男優賞
ウィル・スミス『ドリームプラン』
ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アンドリュー・ガーフィールド『tick,tick …BOOM!:チック、チック…ブーン!』
デンゼル・ワシントン『マクベス』
ハビエル・バルデム『愛すべき夫妻の秘密』
●主演女優賞
ニコール・キッドマン『愛すべき夫妻の秘密』
オリヴィア・コールマン『ロスト・ドーター』
ペネロペ・クルス『パラレル・マザーズ(原題)』(Parallel Mother)
クリステン・スチュワート『スペンサー ダイアナの決意』
ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』
●助演男優賞
コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』
キアラン・ハインズ『ベルファスト』
ジェシー・プレモンス『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
J・K・シモンズ『愛すべき夫妻の秘密』
●助演女優賞
アリアナ・デボーズ『ウエスト・サイド・ストーリー』
キルステン・ダンスト『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アーンジャニュー・エリス『ドリームプラン』
ジェシー・バックリー『ロスト・ドーター』
ジュディ・デンチ『ベルファスト』