韓国でドラマ化・映画化が決定し、発売前からSNSで話題を呼んでいる『僕の狂ったフェミ彼女』(ミン・ジヒョン著、加藤慧訳)が、3月17日に刊行される。

本作の主人公スンジュンは男性で、30歳を目前に家族に結婚を急かされながら、初恋の人を引きずっている。そんなスンジュンの一人称の語りで本書は書かれている。本国では「『猟奇的な彼女』のフェミニストバージョン」といわれ、台湾版刊行時には「キム・ジヨンが結婚前にこの小説を読んでいたら人生が変わっていたかも」とキャッチコピーがつけられた。
就活を前に不安な僕を癒してくれた、愛らしい僕の彼女。毎日のようにベッタリで、付き合って1周年を迎えた。そんなとき僕は、1年間の海外インターンシップに行くことに。遠距離は不安だけど、彼女なら安心だ、待っていてくれるはず――。しかし、出国当日。空港にいたのは、涙ぐむ彼女を抱きしめる僕ではなく、別れのメールをもらってメンタルが崩壊した僕だった。
そんな初恋を引きずりながら大企業に就職し3年目を迎えた「僕」ことスンジュン。周囲はほとんど結婚して、「まだ独身なの?」とからかわれることも多い。結婚する女性を選ぶだけなのに、なかなか結婚への意欲がわかない。そんなある日、初恋の彼女と出くわした! 心がまた動き出す……ところが、彼女はこともあろうにフェミニストになっていた!
MeToo運動の広がり、『82年生まれ、キム・ジヨン』のヒットを経て、本作が日本社会に投げかけるものとは?
モデルや俳優として活躍している太田莉菜は本書について「私たちにはたくさん知らないことがある。完璧じゃないし、怖いけど。今を生き抜くために、お互いを知るために、まずはたくさん話をしてみようよ」とコメントを寄せている。
ジェンダー平等が掲げられる一方で、未だ埋まらぬ溝、そして大きな揺り戻し(バックラッシュ)。でも、男女間が分断しないように、対話をしてほしい――。本書の著者のミン・ジヒョンは、この小説の中に私たちが話し合うべき内容を盛り込んだのだという。翻訳者の加藤は次のように語っている。「愛を大切に考える著者だからこそ書けたに違いないこの小説には、男女が同じ人間として対等に尊重し合い、ともに生きられる未来へのヒントが詰まっていると思います」
僕の狂ったフェミ彼女
ミン・ジヒョン著
加藤慧訳
定価1,760円(本体1,600円+税10%)
ISBN:9784781620633
発売日:2022年3月17日