映画史上初の“ゾディアック映画”『サンフランシスコ連続殺人鬼』 アメリカ版予告編解禁！

2022年5月20日（金）よりシネマート新宿にて開催される、気が滅入る特集上映「狂人暴走・大激突」の第2弾「大暴走・野蛮地獄」より、実際の連続殺人鬼を捕まえる目的で制作された映画『サンフランシスコ連続殺人鬼』のアメリカ版予告編が解禁された。

このたび、シネマート新宿の気が滅入る特集上映「大暴走・野蛮地獄」で日本初上映される『サンフランシスコ連続殺人鬼』は、映画史上初めて実際の連続殺人鬼を捕らえるという崇高な目的で作られた作品。1968年から70年代にかけてサンフランシスコ周辺を震撼させ、20人以上を殺害したといわれる連続殺人鬼＝通称：ゾディアック・キラーは、2006年にはデヴィッド・フィンチャー監督によって『ゾディアック』として映画化もされた、世界的に有名な連続殺人鬼。

いまだ未解決のこの事件の真っ只中に、新聞社に脅迫文や声明文を送りつけるなど自己顕示欲の強いゾディアックが本作を公開することで必ず映画館に現れると確信したトム・ハンソン監督が犯人を捕まえようと緊急制作した。ゾディアックをモデルにした犯人“さそり”が登場するクリント・イーストウッドの代表作『ダーティハリー』（71）よりも半年以上早く公開され、映画史上初めてゾディアックを登場させた映画となった。

全スタッフ・キャストは無報酬、あまりに低予算かつ緊急突貫制作だったためか、その映画的クオリティはとてつもないものとなったが、随所に奇跡的なカットやシーンが生まれ、世界的にカルト人気を誇り、この手の映画のある意味最高峰ともいえる作品に。ポール・トーマス・アンダーソンやニコラス・ウィンディング・レフン監督たちがアドバイザーを務め、世界中のジャンル映画数千本のアーカイヴを手掛ける米テキサス州オースティンの組織AMERICAN GENRE FILM ARCHIVE（AGFA）の記念すべき初レストア作品。しかも4Kの最高スペックが施されたという事実が、いかに映画史的に重要作であるかを物語っている。

AGFAのレストア担当者は「実際の犯罪の再現という点では現実に非常に近い。しかし、それ以外のすべては間違いだらけ。それが本作の素晴らしいところだ」と、現実とフィクションのビザールな混在が本作の最大の魅力だと語っている。このたび解禁されたアメリカ版予告編は、そのAGFAがレストアを行った際に作られたもの。怪しい空気を纏った男の後ろ姿を映した様々なカットが続き、おそらくこの男がゾディアックなのだろうと推測でき、テロップで「このくそ野郎を捕まえようぜ！」とトム・ハンソン監督の言葉が紹介される。

そして本編中で最も有名であり、最も奇跡的に異様な迫力をみせる湖畔の殺人シーンの一部とともに凄惨なシーンが映し出されていく。音楽も不気味で異様。予告編全体からチープさと本気の度合いが同じように伝わってくる、異常な雰囲気を感じ取ることができる予告編となっている（日本語字幕はありません）。

本作は日本ではソフト化はされているが劇場未公開。この「大暴走・野蛮地獄」での上映が、日本初の正式上映となる。作品の制作背景や作品の内容、クオリティ、そしてスクリーンから滲み出る制作者たちの執念が、観る者に様々な意味での衝撃を与え、その心に何かを刻み込むに違いない。連続殺人鬼がいまだに捕まらず、この世のどこかに潜んでいるという重たく暗い空気がシネマート新宿を包み込む、この野蛮かつ異様な上映をぜひ劇場で確認してほしい。

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