何度も映画化されてきた不朽の名作『オペラ座の怪人』新訳が新潮文庫から登場

怪奇小説の原点として文学史に残る不朽の名作、ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』新訳が新潮文庫から5月30日（月）に刊行される。

『オペラ座の怪人』は1909年、フランス「ル・ゴロワ紙」に発表された新聞小説。著者のガストン・ルルーは事件や司法を取材する元新聞記者で、同作は疑似ノンフィクションとして書かれ、そのスリリングさと劇的な結末が人気を博し、ミュージカルの大定番となり、何度も映画化されてきた。2004年のジェラルド・バトラー主演『オペラ座の怪人』は特に人気の高い一作だ。

19世紀末、夜ごと流麗な舞台が繰り広げられるパリの花〈オペラ座〉――。その地下深くには、奇怪な事件を巻き起こす怪人が棲み着いていると噂されていた。怪人は若く可憐な歌姫クリスティーヌに、夜毎歌の手ほどきを授けていたが、歌姫に想いを寄せる幼馴染の子爵ラウル・シャニイとの仲に嫉妬し、クリスティーヌを誘拐。結婚を迫り、拒否すればオペラ座を爆破すると脅すのだった……。

本書には怪人の恋敵であるラウル・シャニイ子爵役でデビューを果たし、「オペラ座の怪人」の後日談となる舞台「ラブ・ネバー・ダイ」で怪人役も演じた俳優・石丸幹二が（市川正親とWキャスト）、応援コメントを寄せている。「怪人と子爵の凄まじき愛の戦い……。冴えわたる新訳であの世界観を堪能しました。この作品をはじめて読んだ時の、胸がえぐられるような切なさが鮮烈に蘇りました」。また、本書にはクラシック音楽やオペラに造詣の深い京都大学の岡田暁生教授の解説が収録されている。

ガストン・ルルー（Gaston Leroux）略歴

1868年フランス、パリ生まれ。大学で法律を学んだのち、新聞の事件記者に。「ル・マタン」紙で連載小説を手掛けるようになってからは、探偵小説や推理小説、冒険小説、怪奇小説の先駆的な作品を多数遺した。1927年没。主要作品に『黄色い部屋の秘密』『黒衣婦人の香り』『オペラ座の怪人』『殺人機械』など。