いま世界が注目する、新時代の香港映画『少年たちの時代革命』が12月上旬より、映画『理大囲城』が12月下旬より、ポレポレ東中野にて2作連続公開されることが決定した。
2019年6月からはじまった香港民主化デモは、香港国家安全維持法施行により封じ込められてしまった。映画への検閲、規制も厳しくなり、香港の言論と表現の自由が一段と狭まってきているが、香港で上映禁止となった作品は、皮肉にも海外映画祭で上映され、大きな話題となっている。
2021 年カンヌ国際映画祭、フィルメックスにてサプライズ上映された『時代革命』(監督:キウィ・チョウ)、山形国際ドキュメンタリー映画祭で最高賞となるロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞した『理大囲城』(監督:香港ドキュメンタリー映画工作者)、2022 年ロッテルダム国際映画祭にて『Blue Island 憂鬱之島』(監督:チャン・ジーウン監督)が上映されるなど、現在の香港を描いたドキュメンタリー映画が国際的に注目を集めた。
そうした中、フィクション映画では、『少年たちの時代革命』が台湾アカデミー賞を席捲したのを皮切りに、台湾で劇場公開され、同年6月に日本で開催された2日間限定緊急上映会のチケットは即日完売となり、大きな話題となった。
また空前の香港映画のリバイバルブームも到来している。2022 年だけでも、映画『男たち挽歌 4K リマスター版』(監督:ジョン・ウー)、香港を代表するスター俳優レスリー・チャン主演の映画『さらば、わが愛 覇王別姫』(監督:チェン・カイコー)、ウォン・カーウァイ監督の『WKW 4K』はどれも連日満席となり、往年の香港映画ファンに加え、はじめて香港映画を観る若い観客たちを魅了している。11 月には、世界各地を巡回中の「Making Waves -Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」が日本でも開催され、香港映画ブームは盛り上がる一方である。
このたび連続公開されるのは、新時代の幕開けを予感させる香港映画。『少年たちの時代革命』は香港で極秘裏に制作された、新人監督たちによる低予算&ノースター映画で、いまの香港を生きるリアルな若者たちの、疾走感あふれる青春群像劇。デビュー作で世界に注目される監督となったのは、レックス・レン監督とラム・サム監督。デモ現場でのゲリラ撮影など、ドキュメンタリータッチな疾走感は、レックス監督が師事したフルーツ・チャン監督の『メイド・イン・ホンコン』を彷彿とさせる。友情、恋愛、仲間割れ、出会い、家族…。岐路に立たされた 2019 年の香港で、若者たちは何を見つけ出すのか─。
『理大囲城』は香港映画初の山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞受賞作。アジア屈指の名門校・香港理工大学が警察に封鎖され、要塞と化した緊迫の 13 日間。監督全員匿名、出演者の表情はモザイク処理、香港では上映禁止の話題作だ。2019年の香港民主化デモの中でもスキャンダラスな事件と言われる、香港理工大学包囲事件。匿名の監督「香港ドキュメンタリー映画工作者」たちは、デモ参加者として大学構内でカメラをまわし続けた。外部からの視点を一切排除し、閉じ込められた人々の視点で語られていく映像は、生々しいまでの息遣いと心情を映し出し、見えないはずの表情を浮かびあがらせていく。至近距離のカメラが捉えた、衝撃の籠城戦の記録である。
公開決定に際し、レックス・レン監督&ラム・サム監督(『少年たちの時代革命』監督)、香港ドキュメンタリー映画工作者(『理大囲城』監督)よりコメントが到着した。コメントは以下の通り。
監督コメント
監督:レックス・レン(任俠)
『少年たちの時代革命』の上映が世界一周して、やっと谷崎潤一郎の「少年」と大島渚の『少年』の国、日本にたどり着いた。なぜ「少年」が絶えず、どんな時代でも創作の原動力になり得るのか?香港からやって来た「少年」が、大きな人生の波を乗り越えても少年の心を持ち続けるあなたに、2019 年の香港のエネルギーを届けてくれるだろう。たとえ結果が出なくても、私たちは諦めない。
監督:ラム・サム(林森)
映画『少年たちの時代革命』を発表してからおよそ 1 年経った。今でも香港では上映禁止だが、台湾、ヨーロッパ、オーストラリアなどで上映されてきた。そして今回、日本で劇場公開が決まったことは、この映画に関わってきたチーム、いまなお悲観的な状況に置かれている香港人にとって、大きな励みになるに違いない。2019 年に民主化デモが始まってから、日本人はいつも香港に関心を寄せてくれた。3 年後の今日、『少年たちの時代革命』の劇場公開によって、再び日本、さらに世界中の自由を愛する人々と繋がり、力を分かち合うことができたら幸いです。ありがとうございます!
監督:香港ドキュメンタリー映画工作者
映画『理大囲城』が劇場公開されることは、我々にとって大変意義があることです。自由への切望が、我々を繋ぎ合わせることができると期待してやみません。『理大囲城』を観て下さる全ての人に、深く感謝致します。
少年たちの時代革命
2022年12月上旬よりポレポレ東中野他、全国ロードショー
STORY
2019 年、香港の街はデモに参加する若者があふれていた。少女YYは、親友のジーユーとゲームセンターで遊び、時にデモに参加する普通の 17 歳だ。ある日、ふたりはデモに参加して逮捕される。「香港は変わらない」と、ジーユーは香港を去ることを決める。孤独と絶望を抱えたYYは、18 歳の誕生日にSNSにメッセージを残し、ひとり香港の街に消える─。少年ナムは、SNS で YY のメッセージを見つけ、恋人のベル、デモ仲間のルイスたちと捜索隊が結成し、YY を探し出そうとする。時にぶつかり合いながら、香港の街を駆け巡る捜索隊たち。「香港も、YYも救えない─」それぞれの思いを胸に、YY を探し出そうとするが、時間だけが過ぎてゆく。夜が深まり、屋上からひとり香港の街を見下ろしている YY の姿があった─。
原題:少年
ユー・ジーウィン(余子穎) レイ・プイイー(李珮怡) スン・クワントー(孫君陶) マヤ・ツァン(曾睿彤)トン・カーファイ(唐嘉輝) アイビー・パン(彭珮嵐) ホー・ワイワー(何煒華) スン・ツェン(孫澄) マック・ウィンサム(麥穎森)
監督:レックス・レン(任俠) ラム・サム(林森)
プロデューサー:伍珍珍 陳力行 任侠 撮影:ming 田中十一 陳家信 編集:L2 任侠 音楽:Aki
配給:Cinema Drifters・大福 宣伝:大福
英題:May You Stay Forever Young
2021|香港|カラー|DCP|ステレオ|86 分
©Animal Farm Production
公式サイト www.ridai-shonen.com
理大囲城(りだいいじょう)
2022年12月下旬よりポレポレ東中野他、全国ロードショー
2019 年の香港民主化デモの中でもスキャンダラスな事件と言われる、香港理工大学包囲事件。圧倒的な武力を持つ警察により包囲された構内には、デモ参加者と学生が取り残され、逃亡犯条例改正反対デモで最多となる、1377 名の逮捕者をだした。警察は兵糧攻めを決行し、支援者が救援物資を運ぶことも、記者や救護班が入ることも許さなかった。しかし匿名の監督「香港ドキュメンタリー映画工作者」たちは、デモ参加者として大学構内でカメラをまわし続けた。キャンパスに留まっても、圧倒的な武力を持つ警察に潰される恐怖、脱出しても逮捕されるかもしれない恐怖は、デモ隊の心をかき乱していく。四面楚歌のキャンパスの中の人間模様は、まさに社会の縮図だ。圧倒的な武力で封じ込めようとする警察を前に、なすすべもないデモ隊の姿は、まるで香港が置かれている状況に重なっていく…。
原題:理大圍城
英題:Inside the Red Brick Wall
監督:香港ドキュメンタリー映画工作者
配給:Cinema Drifters・大福 宣伝:大福
2021|香港|カラー|DCP|ステレオ|88 分
©Hong Kong Documentary Filmmakers
公式サイト www.ridai-shonen.com
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