老朽化で再開発が迫るソウル市内の団地に暮らすネコたちの引っ越し大作戦を追ったドキュメンタリー映画『猫たちのアパートメント』がいよいよ明日12月23日(金)よりユーロスペース、ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開。このたび、チョン・ジェウン監督から日本の観客へのメッセージが到着。また本作撮影時のメイキング写真もあわせて解禁された。
ソウル市内・江東区のかつてアジア最大と呼ばれたマンモス団地。老朽化で再開発が迫るその団地には250匹の猫たちが住んでいた。猫たちは一体どうなってしまうのか? 本作は猫たちと住民たちによるお引越し作戦を四季を通じて2年半にわたって捉えた温かなドキュメンタリー。監督を務めるのは、20代の女性5人の友情、夢や恋、挫折、拾った子猫との関係をみずみずしく描き、韓国の女性監督や女性を主人公にした作品が注目を集めるきっかけになった記念碑的傑作『子猫をお願い』(2001年)でデビューしたチョン・ジェウン。この最新ドキュメンタリーでは、巨大団地の解体を背景に、2年半に及ぶ撮影を通じ、個性豊かな猫たちの姿を地面スレスレに構えた猫目線のカメラで活き活きと描き出す。
このたび解禁されたのは、終わりゆく団地の中で、チョン・ジェウン監督とスタッフたちが猫たちをカメラにおさめる様子を捉えたメイキング写真。あわせて監督から日本の観客へのメッセージも到着した。本作について「『猫たちのアパートメント』は、野良猫たちの苦労を見せるための映画ではありません。観るとつらい気持ちになるんじゃないかなと心配しないでください。猫たちを不幸な存在としては描きませんでした」と語っている。メッセージ全文は以下にて。
『猫たちのアパートメント』は12月23日(金)ユーロスペース、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
チョン・ジェウン監督メッセージ
「猫たちのアパートメント」は、野良猫たちの苦労を見せるための映画ではありません。観るとつらい気持ちになるんじゃないかなと心配しないでください。猫たちを不幸な存在としては描きませんでした。むしろ、一匹でも多くの猫を救おうと努力する、私たちの善意の記録と言えます。住人はアパートを去りましたが、その時から「猫たちのアパートメント」が始まりました。数年間にたくさんの猫と出会い、たくさんの事件もありました。すべてをお伝えすることはできないので、この映画を贈ります。「猫たちのアパートメント」をどうぞよろしくお願いします。
チョン・ジェウン JEONG Jae-eun 정재은 プロフィール
1969年3月、ソウル生まれ。
韓国芸術院総合学校映像院映画科第1期卒業。学生時代より短編を多数手がけ、「図形日記」(1998年)と「二人の夜」(1999年)で注目される。『少女たちの遺言』(1999年/キム・テヨン、ミン・ギュドン監督)でスクリプターを務めた後、2001年、同作品のプロデューサー、オ・ギミンが設立した映画会社<魔笛>の第1回監督作品『子猫をお願い』で長編デビューを飾る。『子猫をお願い』は、80年代生まれのミレニアル世代の女性たちの友情や挫折を、みずみずしい感性で描き、高く評価され、当時韓国ではまだ数少なかった女性監督が描いた現在進行形の女性の生き方が、幅広い世代の女性たちの共感を呼んだ。公開から20年を迎えた2021年には、本作の熱烈なファンによるクラウドファンディングの後押しもあり、4Kリマスター版も完成。長編デビューから20年。フィクション、ノン・フィクション双方での見事な作品歴のある稀有な監督。なお、<韓国動物権利擁護協会(KARA)>の代表理事も務める。
『語る建築家』(2012)、“Talking Architect, City: Hall”(2014)、“Ecology in Concrete”(2017)を含む建築ドキュメンタリー三部作を通じて、都市、建築とそこに生きる人々の生活を記録。建築家チョン・ギヨンの晩年の活動を追った『語る建築家』は韓国で4万人を超える観客を集め、2012年の韓国におけるインディペンデント映画興行の第1位を記録した。2018年には、久しぶりの長編劇映画となる、『蝶の眠り』を発表。主演の中山美穂と『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』などで知られるキム・ジェウクが共演する、日本を舞台にした日韓合作として注目を集めた。
フィルモグラフィー(Dはドキュメンタリー)
・1995年:卒業式(短編)
・1996年:放課後(短編)エボラ・ウィルス(短編)街での女性禁煙(D/短編)
・1997年:for Rose(短編)17歳(短編)
・1998年:図形日記(短編)第1回ソウル国際女性映画祭最優秀短編賞
・1999年:二人の夜(短編)第3回(加)リール・アジア映画祭出品他
・2001年:子猫をお願い 第6回釜山国際映画祭 NETPEC賞/第1回大韓民国映画大賞・最優秀新人監督賞/第31回ロッテルダム国際映画祭 KNF賞他多数
・2003年:その男事情あり(短編)(オムニバス映画『もし、あなたなら〜6つの視線』の一編)
・2005年:台風太陽〜君がいた夏(DVD発売のみ)第56回ベルリン国際映画祭正式出品
・2012年:語る建築家(D)第16回 釜山国際映画祭正式出品 Give Me Back My Cat(中編)
・2014年:Talking Architecture, City: Hal(D)第1回 野の花映画賞最優秀ドキュメンタリー賞他)
・2017年:Ecology in Concrete(D)第22回釜山国際映画祭他正式出品
・2018年:蝶の眠り 第22回釜山国際映画祭正式出品
・2022年:猫たちのアパートメント(D)第12回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭Distribution Support Award/第4回平昌国際平和映画祭/第24回ソウル国際女性映画祭
猫たちのアパートメント
2022年12月23日(金)ユーロスペース、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
【監督】チョン・ジェウン『子猫をお願い』『蝶の眠り』
【音楽】チャン・ヨンギュ『哭声/コクソン』 【出演】キム・ポド、イ・インギュ
【提供】パンドラ/竹書房/キノ・キネマ/スリーピン 【配給】パンドラ
2022 年/韓国/88 分/DCP/ドキュメンタリー/英題:CATS’APARTMENT
©2020 MOT FILMS All rights reserved.
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