本年度・第95回アカデミー賞®作品賞他主要3部門にノミネートされている『逆転のトライアングル』がいよいよ本日2月23日(木・祝)より公開。このたび、豪華客船が漂着した無人島で、船の清掃婦が驚異のサバイバル能力を発揮するシーンの本編映像が解禁された。

本作はカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞し、本年度アカデミー賞®では、作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞の主要3部門にてノミネートされ、『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ、カンヌ映画祭とアカデミー賞の2冠達成なるかと一層の注目を集めている話題作。驚くべき人間観察眼とセンス抜群のブラックユーモアで、毎度観客を絶妙に気まずい気分にさせてくれるスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンド監督による本作は、無人島に漂着した豪華客船を舞台に描く世紀の大逆転エンタメ。モデル、インフルエンサー、IT 長者、大富豪らセレブたちが乗る豪華客船が難破し、無人島で弱肉強食のサバイバル劇が繰り広げられることに――。
このたび解禁となった本編映像は、難破した豪華客船の乗客たちが辿りついた無人島でのワンシーン。無人島に漂着して一夜を過ごしたあと、避難ボートに常備されていたスナックと水を発見したセレブリティ一行がしばしの休憩をとる中、船の清掃婦として働いていた外国人労働者のアビゲイル(ドリー・デ・レオン)が、黙々と優れたサバイバル能力を発揮。ひとたび海に潜ったかと思えば素手でタコを捕らえた彼女を前に、陸のセレブたちは「ブラヴォー!」「手づかみで?」「すげえ女だ」と暢気な感想を口にしながら、ただスナックをボリボリと頬張るだけ。火もおこせず、タコの下処理すらできない彼らに、この後待ち受ける試練とは――?
映画後半にアビゲイルはこのサバイバル能力を駆使してヒエラルキーの頂点に立つことになるが、カンヌ映画祭の上映会では、その見事な逆転劇に客席から「ブラヴォー!」と歓声と拍手が沸き起こり、さながらアメフトの試合のような盛り上がりを見せていたそうだ。
そんな陰の主人公・アビゲイルを演じたのがフィリピン出身の大女優ドリー・デ・レオン。2019年、ブリランテ・メンドーサ監督の『評決』でフィリピンアカデミー賞助演女優賞を受賞しているが、国際的デビューは本作が初。今回の掃除婦役でゴールデングローブ賞助演女優賞へのノミネートを果たし、本人もまた人生の大逆転を果たすこととなった。

© Doreen Kennedy
50代のドリーだが、本作のオーディションから正式に出演が決まるまでの2年もの間、体力が必要とされるアビゲイルを演じることを想定し、ルームランナーで体を鍛えていたと明かしている。素潜りのシーンでは、カメラに映らないように長時間潜っている必要があったため、ポケットに石を入れて泳ぎ続けなければならなかったそう。
また役作りについて、彼女自身でアビゲイルの人物像を創造したと語っており、「アビゲイルは少し悲しい過去を持っていると思う。貧しい家庭に生まれて、母国のフィリピンを離れ、海外で長いこと暮らしながら外国人たちの世話をしてきた。海沿いの田舎町で育ったから、魚の取り方も火のおこし方も知っている。そしてそんな生活の中、内に秘めてきた怒りが、映画終盤での彼女の行動に繋がる。『奉仕されて当然』と思っている人たちを許せない彼女は、彼らへの復讐に乗り出すの」と、キャラクターと行動を分析している。
ちなみに一説によると、本作のキャスティング時には、日本が誇る大女優、樹木希林の名前も候補に挙がっていたとか。樹木希林版の「大逆転劇」も見てみたかったという人は多いだろう。
『逆転のトライアングル』は本日2月23日(木・祝)、TOHO シネマズ 日比谷 他 全国ロードショー。
逆転のトライアングル
2023年2月23日(木・祝)、TOHO シネマズ 日比谷 他 全国ロードショー
STORY
モデル・人気インフルエンサーのヤヤと、男性モデルカールのカップルは、招待を受け豪華客船クルーズの旅に。リッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界。しかしある夜、船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態で、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃婦だった――。
監督:リューベン・オストルンド(『フレンチアルプスで起きたこと』、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』)
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン 他
配給:ギャガ
Fredrik Wenzel © Plattform Produktion