『ファーザー』のフロリアン・ゼレール監督最新作『The Son/息子』が3月17日(金)より全国公開中。このたび、主演と製作総指揮を務めたヒュー・ジャックマンのインタビュー映像が解禁となった。
本作は『ファーザー』に続く「家族3部作」の第2部に当たり、親と子の心の距離を描いたヒューマンドラマ。完成した脚本に惚れ込んだヒュー・ジャックマンが自ら名乗り出て主演と製作総指揮を務め、さらに『ファーザー』で2度目のアカデミー賞に輝いたアンソニー・ホプキンスや『マリッジ・ストーリー』で同賞を獲得したローラ・ダーンなど、現代のエンタテインメント界におけるトップが共演を果たした注目作だ。
今回解禁されたインタビュー映像では、主演を務めたヒュー・ジャックマンが本作に出演した経緯や撮影中にとられた特殊なサポート体制、観客に対して本当に伝えたいことなど、興味深いエピソードについて語っている。
普段から劇場には足しげく通っているというヒューだが、これまでゼレール監督の舞台作品は一度も観たことがなかったという。しかし、2021年のアカデミー賞2部門で受賞した『ファーザー』は観ていたようで、それがゼレール監督の長編初監督作だったことに驚き、彼の才能に惚れ込んでいたようだ。
その後、エージェントから『The Son/息子』の映画化の話を聞き、送られてきた原作戯曲を読んで「この役を演じたくてたまらなくなった。こんなことはめったにない」と衝撃を受け、これまで面識がなかったゼレール監督に直接メールしたことを明かしている。
そのほかにも興味深いのは、本作の撮影中に実施された特殊なサポート体制だ。制作プロダクションから全てのスタッフ・キャストに対して、カウンセリングを受ける機会が与えられたことを明かしている。メンタルヘルスを題材にした作品ということもあり、万全の体制をもって撮影が行われたようだ。この案内を聞いたヒューはすぐに会社に対して感謝のメールを送ったという。そして、「こういう行動こそが、未来を変えていくことになる」と語っている。
こうした行動をとった理由には、これまでヒュー自身が感じていた、業界や社会に対する“生きづらさ”も関係しているようだ。これまで「強くなれ、大丈夫だ」と言われ続けてきたことで、「僕たちの世代は気丈に振る舞ってしまう」と告白。さらには「自分の苦しみを認められない人もいる。弱さを見せられないんだ」「個人を守る文化は、映画業界にも社会にもなかった」とメンタルヘルスに理解がなかった時代の苦しみも語る。
そしてなによりも、難しいテーマを扱った本作を通じて、「僕たちは同じ舟に乗っている」ことを観客に伝えたいとヒューは語る。「親も子供も皆悩みを抱えている。誰もが苦しんでいる。知的で心温まる美しい物語がこうした苦しみすべてに光を当てている」としたうえで、「鑑賞後は互いの距離が縮まり、会話が深まる。自分たちや他人を厳しい目で見ることがなくなり、謙虚な気持ちで人に言ってあげられるだろう。“とても苦しいがみんなも闘っている”とね。この映画を見てそういう気持ちを持ってほしい」とメッセージを送り、本作を通して人と人との距離が「互いに近くなれたらいいね」と優しい笑顔とともにインタビューを締めくくった。
『The Son/息子』は全国公開中。
ヒュー・ジャックマン プロフィール
1968年、オーストラリア、シドニー生まれ。『X-メン』(00)でハリウッドに進出する。同作は大ヒットを記録してシリーズ化され、2017年の『LOGAN/ローガン』までウルヴァリン役を演じ、アクションスターとして人気を獲得する。さらに、トム・フーパー監督の『レ・ミゼラブル』(12)でアカデミー賞®にノミネートされ、ゴールデングローブ賞を受賞し、演技派俳優としても高く評価される。その他の主な出演作は、ゴールデングローブ賞にノミネートされた『ニューヨークの恋人』(01)、『ヴァン・ヘルシング』(04)、『プレステージ』(07)、『オーストラリア』(09)、『リアル・スティール』(11)、『プリズナーズ』(14)、『フロントランナー』(19)、ゴールデングローブ賞にノミネートされた『グレイテスト・ショーマン』(17)、『レミニセンス』(21)など。
The Son/息子
2023年3月17日(金) TOHO シネマズ シャンテほか 全国ロードショー
STORY
高名な政治家にも頼りにされる優秀な弁護士のピーター(ヒュー・ジャックマン)は、再婚した妻のベス(ヴァネッサ・カービー)と生まれたばかりの子供と充実した日々を生きていた。そんな時、前妻のケイト(ローラ・ダーン)と同居している17歳の息子ニコラス(ゼン・マクグラス)から、「父さんといたい」と懇願される。初めは戸惑っていたベスも同意し、ニコラスを加えた新生活が始まる。ところが、ニコラスが転校したはずの高校に登校していないことがわかり、父と息子は激しく言い争う。なぜ、人生に向き合わないのか? 父の問いに息子が出した答えとは──?
監督・脚本・原作戯曲・製作:フロリアン・ゼレール 『ファーザー』
共同脚本:クリストファー・ハンプトン 製作総指揮:ヒュー・ジャックマン
撮影:ベン・スミサード 美術デザイン:サイモン・ボウルズ 衣装デザイン:リサ・ダンカン 編集:ヨルゴス・ランプリモス
音楽:ハンス・ジマー
出演:ヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーン、ヴァネッサ・カービー、ゼン・マクグラス、アンソニー・ホプキンス
2022年|イギリス・フランス合作|英語|カラー|スコープサイズ|123分|字幕翻訳:岩辺いずみ|映倫:G一般
© THE SON FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
公式サイト www.TheSon.jp
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