第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、男優賞とエキュメニカル審査員賞のW受賞を果たした『PERFECT DAYS(原題)』(日本公開未定)の役所広司、ヴィム・ヴェンダース監督らからコメントが到着した。
現地時間5月27日夜、第76回カンヌ国際映画祭の授賞式にて『PERFECT DAYS』で主演を務めた役所広司が見事、男優賞に輝いた。日本の俳優の受賞は、2004年の『誰も知らない』の柳楽優弥以来2人目であり、さらに、栄えあるエキュメニカル審査員賞も受賞し、作品としてはダブル受賞となった。
エキュメニカル審査員賞は、キリスト教徒の映画製作者、映画批評家らによって1974年に創設されたものであり、日本映画では、過去に青山真治監督の『EUREKA(ユリイカ)』が2000年、河瀨直美監督の『光』が2014年、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が2021年に受賞しており、邦画として4作品目となる。
このたび男優賞に輝いた役所広司からの喜びの声、さらに会場で感動の表情を浮かべていたヴィム・ヴェンダース監督からのコメントが到着。またカンヌで一緒にプレミア上映に立ち会ったキャストたちからの祝福の声も寄せられた。
役所広司、監督、キャストからのコメント
日々を丁寧に静かに重ねるように生きる。
この平山という男を演じるのは、大きな挑戦でした。
ヴィム・ヴェンダースという偉大な監督には、フィクションの存在であるこの男にとても大きなリスペクトがありました。それが私を導き、平山という男をこの世界に生み出した気がします。
このような賞をいただいてとても光栄です。
日本の、世界の、映画が少しでも、もっと素晴らしいものになるようにこれからも努力を重ねていきたいと思います。日本でもみなさんに、「平山」という男をご紹介できる日が楽しみです。
役所広司
これ以上の言葉を私は見つけることができない。
“役所広司は、監督をする者にとって最高の俳優である”
彼こそが俳優である。それも最高の俳優だ。
彼こそが平山であり、『PERFECT DAYS』というこの映画の心臓であり、魂なのだ。
この映画を通じて私たちはゆっくりと平山の視線や生き方を受け入れていく。
彼の目を通してこの世界をみつめる。
そうすることで彼が選びとった人のために生きるというその姿に癒しを感じるようになる。
他の俳優でも平山を「演じる」ことはできるだろう。
けれど役所広司は平山そのものになった。
穏やかさ、謙虚さ、大きな心。
同じようなひとに対してだけでなくすべてのひとに対しても。
自然に対してもそれをもつ。
とくに木々には静かで美しい感情を抱いている。
カンヌの劇場から泣いて帰る人がいるとしたら、それはこの偉大な俳優が彼らを旅に連れ出したのだ。彼らの魂に、より良く生きることとは何か。
満たされた生き方はどういうものか。
そういう考えに火をともしたのだ。
こんなことを成し遂げる俳優は世界にそうはいない。
私は彼と一緒に映画をつくれたことをとても幸せに思う。
この賞は、私と、そしてカンヌに集まったチームの全員が待ち望み、
そして夢にみたものである。
ヴィム・ヴェンダース
受賞、本当におめでとうございます。
役所さんの演技、作品に取り組む姿勢は私の心に強く響きました。役所さんの存在の素晴らしさが更に世界に伝わったような気がして、自分事のように嬉しく感じています。その様な受賞作品に、私も出演させて頂けた事を心より光栄に思って居ります。
本当におめでとうございました。
中野有紗
受賞おめでとうございます。
人それぞれの日常や居場所が主人公であり、それこそが平和ということ。与えられた時間を精一杯生きること。そして、決して一人では生きられないこと。私はこの作品に携わらせて頂き、改めて意識することができました。ヴィムさんがみつめる日本には、私たちが気がつくことができない、新芽のような美しさがあります。素晴らしい機会を下さったこと、本当に感謝しております。
アオイヤマダ
嬉しい!役所さんの受賞が自分のことのように嬉しい。そうして『PERFECT DAYS』を受け入れたフランス、カンヌにヤッホーだ。この作品に関わった全ての人の心の内に秘められていたことがこの結果だった、と僕は信じます。ヴェンダース監督がそんな人々の先頭で喜びに浸っているに違いない。役所さんが体現した平山さんは、自分のテンポとメロディーで生きたい人々の本当の例題となるでしょう。言葉少ない役所さんは、ずっと踊っていた!
田中泯
PERFECT DAYS
日本公開未定
STORY
東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所広司)。彼は淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなかった。毎日はつねに新鮮な小さな歓びに満ちていた。まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読み耽るのが、歓びである。いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。彼は木が好きだった。自分を重ねているのかもしれない。あるとき彼は、思いがけない再会をする。それが彼の過去にすこしずつ光をあてていく。
キャスト
役所広司 柄本時生 中野有紗
アオイヤマダ 麻生祐未 石川さゆり
田中泯 三浦友和 他
スタッフ
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本 :ヴィム・ヴェンダース 高崎卓馬
製作:柳井康治
エグゼクティブ・プロデューサー :役所広司
プロデュース:ヴィム・ヴェンダース 高崎卓馬
國枝礼子 矢花宏太 ケイコ・オリビア・トミナガ 大桑仁 小林祐介
撮影 :フランツ・ラスティグ
インスタレーション:ドナータ・ヴェンダース
編集 :トニ・フロシュハマー
美術 :桑島十和子
キャスティング・ディレクター :元川益暢
ロケーション :高橋亨
スタイリング:伊賀大介
ヘアメイク:勇見勝彦
原題: 『PERFECT DAYS』/上映時間:124分 / 製作:日本 / 日本配給:未定
プロダクション Wenders Images Wenders Foundation Spoon
© 2023 MASTER MIND Ltd.
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