4度のアカデミー®賞ノミネートを果たすなど誰もが認める名優であり、どの作品でも一度見たら忘れられないほどの強烈なインパクトを残す怪演ウィレム・デフォー。この夏、そのウィレム・デフォーが出演する『カード・カウンター』『キングダム エクソダス〈脱出〉』の2作品が日本で相次いで公開されるのを記念し、両作品の本編からデフォー出演場面の映像がそれぞれ特別解禁された。
1955年7月22日生まれで、現在67歳となる米国出身の俳優ウィレム・デフォー。10代のころから演技をはじめ、大小問わずハリウッド映画からインディペンデント映画まで、これまで100本を超える映画に出演し、その活躍の幅はますます広がっている。この夏も新作2本が日本で連続公開される。
一つは6月16日(金)より絶賛公開中の『カード・カウンター』。米国の巨匠ポール・シュレイダーが、傑作『タクシードライバー』(76)を生んだマーティン・スコセッシ(製作総指揮)と再びタッグを組み、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(23)でも声優として参加したオスカー・アイザックが主演した“復讐と贖罪”の傑作スリラーだ。
もう一作は7月28日(金)より公開の『キングダム エクソダス〈脱出〉』。こちらはデンマーク生まれで北欧を代表する巨匠となったラース・フォン・トリアーの最新作。90年代に社会現象を起こした伝説のホラーの完結編である。
米国・デンマークの両巨匠の最新作でのデフォーの役は、奇しくも両作品とも“ヒール(悪役)”。『カード・カウンター』では、過去にイラクで“決して許されることのない犯罪”を犯しながら、その罪をすべてオスカー・アイザック演じる主人公になすりつけ、自らは名士としてのうのうと暮らしている元大佐役を憎々しさたっぷりに演じている。人間の狡さだけでなく弱さも巧みに表現できるデフォーの凄さを存分に感じられるキャラクターだ。デフォーはシュレイダー監督の『ライト・スリーパー』(1991年)でも主演しており監督からの信頼感も大きく、この悪役をデフォーに託した確かな理由を感じられる。
もう一本の『キングダム エクソダス〈脱出〉』で演じたのは、デンマークの巨大病院・キングダムに医師の姿をして潜り込んでいる謎の人物役。ひと目で只者ではない印象を観客に与えるとともに、こちらもデフォー自身が嬉々として演じているのを、盟友フォン・トリアーが嬉しそうに眺めている様子が目に浮かぶような演技だ。5時間ある同作はデフォーの怪演を楽しみにしているファンにとってたまらない1作となるはず。
この機会に両作品で名優にして怪優、ウィレム・デフォーの魅力を堪能してみよう。
作品情報
カード・カウンター
6月16日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて絶賛上映中
ウィリアム・テル(オスカー・アイザック)は、風変わりなギャンブラーだ。米国軍刑務所で10年間服役し、独学で「カード・カウンティング」と呼ばれるカードゲームの勝率を上げる裏技を学んだ彼は、「小さく賭けて小さく勝つ」がモットーで目立たず、匿名でいることを好む。ある日、ウィリアムはギャンブル・ブローカーのラ・リンダ(ティファニー・ハディッシュ)と出会い、大金が稼げるというポーカーの世界大会への参加を持ちかけられる。さらにその直後、二人の男と遭遇する。一人は、かつて上等兵だった自分に“消えない罪”を背負わせた男ジョン・ゴード(ウィレム・デフォー)、もう一人はウィリアムにゴードへの復讐を持ちかける若者カーク(タイ・シェリダン)だった。ラ・リンダとカークとの運命的な出会いによって、謎につつまれたウィリアムの人生が徐々に明らかとなり、人生を賭けた復讐と贖罪のゲームの終章が幕を開ける。
2021年/アメリカ・イギリス・中国・スウェーデン/英語/112分/カラー/ビスタ/5.1ch
原題:The Card Counter/R15/日本語字幕:岩辺いずみ/字幕監修:木原直哉 配給:トランスフォーマー
監督・脚本:ポール・シュレイダー 製作総指揮:マーティン・スコセッシほか 出演:オスカー・アイザック、ティファニー・ハディッシュ、タイ・シェリダン、ウィレム・デフォーほか
© 2021 Lucky Number, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト https://transformer.co.jp/m/cardcounter
『キングダム エクソダス〈脱出〉』
7月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開
※『キングダム』Ⅰ&Ⅱデジタル修復版も一挙公開
カンヌ・パルムドール受賞など輝かしい受賞歴を誇り、観る者を挑発する作風で圧倒してきたラース・フォン・トリアー。その中でも、90年代に制作されたドラマシリーズ「キングダム」はデンマーク最高視聴率50%越えを記録し、社会現象を巻き起こした伝説の作品だ。そして四半世紀の時を超えて最新作『キングダム エクソダス〈脱出〉』が全編5時間超の「映画作品」として第79回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映を果たし、遂に日本で待望の劇場公開が決定。コペンハーゲンの巨大病院「キングダム」で起こる、数々の不可解な事件…夢遊病者のカレンは、謎の声に導かれ、キングダムへと辿り着く。世界を破滅から救うために-。
2022年/デンマーク/デンマーク語、スウェーデン語、ラテン語/319分/カラー/1:1.78/5.1ch
原題:Riget Exodus/英題:The Kingdom Exodus/字幕翻訳:安本熙生
配給:シンカ/提供:シンカ、TCエンタテインメント
監督:ラース・フォン・トリアー 出演:ボディル・ヨルゲンセン、ミカエル・パーシュブラント、ラース・ミケルセン、ニコラス・ブロ、アレクサンダー・スカルスガルド、ウド・キア
© 2022 VIAPLAY GROUP, DR & ZENTROPA ENTERTAINMENTS2 APS
「ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023」
7月7日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて期間限定公開
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