『ミッドサマー』を⼿掛けた話題の映画スタジオA24が贈る最新作『Pearl パール』が絶賛公開中。映画をもっと楽しむための『Pearl パール』トリビアを一挙公開!
『Pearl パール』は、『ミッドサマー』を手掛け、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が第95回アカデミー賞で最多7部門を受賞し話題の映画スタジオA24が贈る最新作。スクリーンの中で踊るスターの華やかな世界に憧れるパール。人里離れた農場で、厳格な母と体が不自由な父に育てられた彼女の愛への渇望が、夢を育み、両親からの異常な愛が、その夢を腐らせていく……。籠の中の無垢なる少女が抑圧から解き放たれたとき、比類なき無邪気さと残酷さをあわせもつシリアルキラーが誕生する!
「オールタイムベストホラー」「最後のショットで⿃肌」「ミア・ゴスの顔芸すごい」など、SNSでも絶賛の声があふれ、映画愛に溢れたさまざまな考察合戦も繰り広げられている『Pearl パール』。本作をもっと楽しむための5つのトリビアを紹介。
魔法の国オズに迷い込んだ少⼥(ジュディ・ガーランド)が主⼈公のクラシックなファンタジーミュージカル『オズの魔法使』(1939)。ホラーとファンタジー、⼀⾒すると共通項の無さそうなジャンルだが「テクニカラー」「案⼭⼦」「トウモロコシ畑」「主⼈公は現実を超えた素晴らしい場所がどこかにあると信じる若い⼥性」「上映時間が共に102分(『オズ〜』は⼀部 101 分という表記もあり)」など、『Pearl パール』との多数の共通項が。タイ・ウェスト監督は映画のトーンを決める準備をする上で、主演ミア・ゴスに観ることを薦めたと明かしている。パールが着るドレスと彼⼥が⾃転⾞で駆けるシーンは『オズの魔法使』のミス・ガルチへのオマージュ!?
タイ・ウェスト監督がミア・ゴスに鑑賞を薦めたもう⼀本の作品が、ロバート・アルドリッチ監督のサイコスリラー『何がジェーンに起ったか︖』(1962)。⼦役で⼀世を⾵靡したジェーンと遅咲きで⼥優としてブレイクしたブランチの姉妹は、ブランチが事故で下半⾝不随になって以来⼆⼈きりで過ごしていたが、過去の栄光を追うジェーンに次第に奇⾏が⽬⽴ち始め、姉を監禁してしまう。⼥性主⼈公が⼥優としてのスターダムに憧れ、正気を失っていくという点でも『Pearl パール』がインスピレーションを受けた作品の⼀本。
爬⾍類の寿命は30年から50年と⾔われており、70年⽣きるケースもあるそうで、パールの⻑きにわたる相棒!?と思われる、X シリーズのマスコットのワニの名前は「セダ」。この名前の由来は、サイレント映画期の⼈気⼥優の⼀⼈で、最初のセックス・シンボルといわれる、セダ・バラ(Theda Bara)。パールが⽗の薬を買いにでかけた街の映画館に貼られているポスター、J・ゴードン・エドワーズ監督の『シーザーの御代』(1917)の主演⼥優がセダ・バラ。13年間で44本の映画に出演した彼⼥は、サウンド・フィルム(トーキー)作品に出演することなく1926年に⼥優業を引退。(出演作の多くのフィルムが1937年の⽕事で焼失し現存する作品はほぼない)。
劇中パールが鑑賞しているのは架空のミュージカル映画『パレス・フォーリーズ』。実際1918年はまだサイレント映画の時代。ここで映し出されるものは精神状態が不安定なパールの想像の中だけで鳴っているサウンドと⾳楽という解釈もできる。なおパールが⼊った映画館で冒頭に上映している作品は、J・J・クラーク監督の短編⻄部劇映画『Gene of the Northland』(1915)で実在する作品。そして、映写技師が、パールに⾒せる映画も実在する『A Free Ride』という作品で、1915 年に公開されたサイレント期の初期のスタッグフィルム(ポルノ映画の⼀種)。
『Pearl パール』の舞台となる1918年は、第⼀次世界⼤戦が終結した年。またスペインかぜが流⾏し、1920年に収束するまでに世界で5億⼈が感染したと⾔われる。タイ・ウェスト監督とミア・ゴスが、コロナ禍の隔離期間中に、『Pearl パール』の脚本を書き上げたことが、⼤きく関係していると監督も語っている。
Pearl パール
2023年7月7日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
STORY
スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れるパールは、敬虔で厳しい⺟親と病気の⽗親と⼈⾥離れた農場に暮らす。若くして結婚した夫は戦争へ出征中、⽗親の世話と家畜たちの餌やりという繰り返しの⽇々に鬱屈としながら、農場の家畜たちを相⼿にミュージカルショーの真似事を⾏うのが、パールの束の間の幸せだった。ある⽇、⽗親の薬を買いに町へ出かけ、⺟に内緒で映画を⾒たパールは、そこで映写技師に出会ったことから、いっそう外の世界への憧れが募っていく。そんな中、町で、地⽅を巡回するショーのオーディションがあることを聞きつけたパールは、オーディションへの参加を強く望むが、⺟親に「お前は⼀⽣農場から出られない」といさめられる。⽣まれてからずっと“籠の中”で育てられ、抑圧されてきたパールの狂気は暴発し、体を動かせない病気の⽗が⾒る前で、⺟親に⽕をつけるのだが……。
監督:タイ・ウェスト 脚本:タイ・ウェスト、ミア・ゴス
出演:ミア・ゴス、デヴィッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:PEARL|2022年|アメリカ映画|上映時間:102分|R15+
© 2022 ORIGIN PICTURE SHOW LLC. All Rights Reserved.
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA