第96回アカデミー賞®国際長編映画賞ノルウェー代表となったドキュメンタリー映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』が9月20日(金)より全国公開。このたびオルデダーレンの渓谷のある春から翌年の春までを映し出す本作の、息を呑むような冬の美しい光景を捉えた本編冒頭映像が解禁された。あわせて、各分野の著名人7名が、自然と人間とのあり方をそれぞれの言葉で語る絶賛コメントも到着した。
息を呑むような美しい大自然に囲まれたノルウェー西部の山岳地帯「オルデダーレン」の渓谷に暮らす老夫婦の姿を、その娘でありドキュメンタリー作家のマルグレート・オリンが一年をかけて密着。大地に根を下ろし、シンプルで豊かに生きる両親の姿から、娘は人生の意味や生と死について学んでいくことになる。生きるとは、老いるとは何か――厳しくも美しいノルウェーの四季と共に生きる家族の姿を通して、人生を探求する感動のドキュメンタリーだ。
『PERFECT DAYS』のヒットも記憶に新しい巨匠ヴィム・ヴェンダースと、イングマール・ベルイマン監督のミューズとしても知られるノルウェーを代表する大女優リヴ・ウルマン(『仮面/ペルソナ』『鏡の中の女』)が本プロジェクトに共感し、製作総指揮を担当。ドキュメンタリーでありながらアカデミー賞®のノルウェー代表に選出されたほか、2023年北欧ドキュメンタリー映画祭では驚異的な映像が評価され、最優秀撮影賞を受賞するなど多くの映画祭でも称賛を浴びた。
本作は、この渓谷で生まれ84年間ここで生きてきたヨルゲンにその娘であるマルグレート・オリン監督が密着し、彼がこの場所とともに生きる姿や、彼の眼差しの先にあるものを描き出していく。その人生の歩みを追うプロローグにあたるのが今回解禁された本編冒頭映像だ。
冬、大きな湖の一面が硬く凍り、その上に雪が積もる中をヨルゲンがストックを手に静かに歩いている姿を上から捉える場面で映画は幕を開ける。風でかすかに揺れていた湖の水面はやがて完全に凍り、表面はまるで鏡であるかのように、向こうの山や空を見事に反射する中を佇むヨルゲン。そして、氷河の中にある氷の青い洞窟の外観から静寂の中へとカメラはゆっくりと進んでいく。映像の静けさの中で、オリン監督のナレーションにより、父への思いや「周りを見てごらん。急ぐと見るのを忘れてしまうよ」といった、映画の起源をなすヨルゲンが監督に告げた印象的な言葉などが語られている。
オリン監督は、気候変動の影響で近年はこの湖が毎年必ずしも凍る訳ではないと説明。そんな中で「このシーンのように完全に凍って鏡のようになることはあまりなくて、この時は息を吞むほどの美しさでした」と振り返る。さらに、「このショットが撮れた時、これが映画のオープニングになるとすぐに確信しました」と明かし「このシーンは色んなレイヤーを持っていて、これが何についての映画なのかも語ってくれると思います」と、この場面をオープニングとした意図を明かす。
また、映像後半で捉える青い洞窟の中で監督が目にした光景は、彼女が映画監督として最も鮮烈な体験だったという。ここでの経験を「宇宙が見えたような気がしました。この氷の中には動物や人の顔、この地球が経験してきたことの全てがこの中に保存され、記録されている気がしたんです」と振り返る。その体験の一端を映画館の大スクリーンで体感してみよう。
コメントは、巨匠ヴィム・ヴェンダースとならんで本作の製作総指揮を務めるノルウェーが誇るレジェンド、リヴ・ウルマンからも到着。ウルマンは「この映画は私の人生を変えてくれました」とまで絶賛。本作の荒編集が終わった段階でオリン監督はラフカットを誰に最初に見せ助言をもらうかが最も重要だと考え、旧知のウルマンに見せることにしたのが製作総指揮になったきっかけだという。
プロスキーヤー・冒険家の三浦雄一郎は「心に刻まれる記憶がこの映像であれば人生はなんと素晴らしいことであろう」などとコメント。俳優の小林聡美は「私たちは、こんなにも美しく厳しい地球に生まれた、小さな生きものだった」とコメント。放送作家/脚本家の小山薫堂は「もし人間が自然に敵うものがあるとすれば、それは愛しかない」などとコメント。ゲームクリエイターの小島秀夫は、映画のタイトルであり監督が本作を通じてそれを捉えることを目指したという“SONG OF EARTH”になぞらえて「ノルウェーのノールフィヨルドの神々しい“地球の歌”には、誰もが恋をするに違いない」などとコメント。
そのほか北欧ジャーナリストの森百合子、俳優の古舘寛治からもコメントが到着。それぞれの言葉で自然と人間との関わり方を見つめ直す本作について印象的な言葉で語っている。コメント全文・一覧は以下のとおり。『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』は9月20日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほかにて全国公開。
『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』に寄せられた絶賛コメント(順不同/敬称略)
この映画は私の人生を変えてくれました。
――リヴ・ウルマン(俳優/『仮面/ペルソナ』『鏡の中の女』)
荘厳な大自然の写真集のページをめくるような作品。
水と氷、風と光、土と緑が奏でる地球の音楽が溢れて、
なんだか豊かで大きな旅をしてきた気持ちになる。
心に刻まれる記憶がこの映像であれば人生はなんと素晴らしいことであろう。
――三浦雄一郎(プロスキーヤー・冒険家)
私たちは、こんなにも美しく厳しい地球に生まれた、小さな生きものだった。
――小林聡美(俳優)
悠久の自然から一瞬の時を借りて、人間は生きている。
もし人間が自然に敵うものがあるとすれば、
それは愛しかない。
――小山薫堂(放送作家/脚本家)
「私たちの初恋の相手は自然だった」――ドキュメンタリーはこのモノグラムから始まる。壮大なフィヨルドの四季を俯瞰するカメラ。大自然と生態系が重奏するアンビエント。現地をガイドする老夫婦達との見事なコントラスト。それらは、詩的に調和した特別な人生讃歌だ。初めて見る絶景を散策しながら、過酷に生きる家族の歴史にも優しく歩み寄る。
ノルウェーのノールフィヨルドの神々しい“地球の歌”には、誰もが恋をするに違いない。
そして、初恋は、映画館で味わって欲しい。
――小島秀夫(ゲームクリエイター)
ノルウェー西部の美しくも厳しい自然に生きる人だけが見ることのできる
ご褒美のような景色を、スクリーン越しに体験できる幸せ!
「人間も自然の一部である」。
言い古されてきたこの言葉が、鮮烈に頭によみがえりました。
――森百合子(北欧ジャーナリスト)
この映画は大きなスクリーンでこそ観るべきだ。都会に暮らす我々が存在すら忘れているこの地球本来のとんでもなく美しい姿を観ない理由はない。そしてその価値と共に生活する人々もいるのだ。人生が選び取るものならば、さて我々は何を選び取るのか?
――古舘寛治(俳優)
SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース
2024年9月20日(金)TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほか全国公開ほか全国公開
STORY
ノルウェーの人里離れた山間部。厳しくも美しい自然に囲まれた場所で、年老いたひと組の夫婦が暮らしている。作家となった娘が二人の姿をカメラに留めようと帰郷した。84歳となった父親はこの国で最も美しい渓谷と呼ばれる場所に娘を案内しながら、自分の生い立ち、最愛の妻への想い、そしてこの土地で自然と共に生きてきた何世代にも渡る人々の人生について静かに語り始めるのだった。
監督:マルグレート・オリン『もしも建物が話せたら』 製作総指揮:リヴ・ウルマン『仮面/ペルソナ』、ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』『ベルリン・天使の詩』
出演:ヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエン
2023年 / ノルウェー / ノルウェー語 / 94分 / シネスコ / カラー / 5.1ch / G /英題:Songs of Earth/原題:Fedrelandet
日本語字幕:岩辺いずみ / 後援:駐日ノルウェー大使館 / 配給:トランスフォーマー
©Speranza Film AS 2023
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