巨匠タル・ベーラ監督に影響を受けたペルーの奇才オスカル・サンチェス・サルダニャ、ロベルト・フルカ・モッタ監督の初長編映画『マタインディオス、聖なる村』(6月18日公開)の予告編が完成した。

本作はアンデス山脈の先住民の慣習とカトリック信仰が入り混じった価値観を背景に、モノクロ風の映像で民衆の苦悩と困惑を詩的に語り、ドキュメンタリーと見紛う、神秘性をまとった作風が評価された作品。第22回リマ映画祭に出品され、2018年のベストペルー映画に選ばれた。
監督と脚本は、本作が初長編作品となるオスカル・サンチェス・サルダニャとロベルト・フルカ・モッタ。2016年、ペルー文化庁が管轄するDAFO(Direcciíon Audiovisuali,la Fonografía y los Nuevos Medios)シネ・レヒオナル映画コンクールに入賞。ペルーの映画界を牽引する映画運動のシネ・レヒオナル(地域映画)が日本初公開となる。

ペルー・山岳部。4人の村人が、村の信仰を司かさどる守護聖人を称える祭礼を計画する。聖人を喜ばせることで、長年の喪を終わらせてくれると信じていた。しかし、予期せぬ出来事により、自身の信仰と、聖人による庇護の力に疑問を抱くのだった…。
撮影は、オスカル・サンチェス監督の故郷である、リマ県山岳部のワンガスカルで行われた。司祭役の俳優以外は、ワンガスカルに暮らす村人たちが演じている。監督たちは村人たちと共に過し、対話したり、笑ったり、不満を言い合ったり、お酒を飲んだり、時には亡くなった方の埋葬にも参加しながら信頼関係を築いていった。

そのため、ペルー山岳部の慣習とカトリック信仰が入り混じった価値観がありありと描き出され、ドキュメンタリー性を内包した物語となった。さらに、ハンガリーの巨匠タル・ベーラに影響を受けたと監督が公言する、モノクロ風の映像が民衆の苦悩と困惑を詩的に語る効果を生んでいる。

『マタインディオス、聖なる村』は6月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
マタインディオス、聖なる村
2022年6月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
【出演】カルロス・ソラノ、ナタリー・アウレス、グリセリオ・レイノソ、ホセ・ビバス、ファウスティナ・サンチェス
【監督・脚本】オスカル・サンチェス・サルダニャ、ロベルト・フルカ・モッタ
【撮影】マルコ・アラウコ
【美術】カルロス・プリド
【配給】ブエナワイカ 【後援】ペルー大使館 【協力】 日本ペルー協会
2018/ペルー/ケチュア語・スペイン語/77分/原題:MATAINDIOS
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