「第3回新潟国際アニメーション映画祭」が2025年3月15日(土)より6日間開催。このたび、レトロスペクティブ部門で「今 敏」を特集することが決定した。
世界で初の長編アニメーション中心の映画祭として、また多岐にわたるプログラムとアジア最大のアニメーション映画祭として、漫画・アニメのクリエイターを数多く輩出してきた“アニメーション首都”新潟にて行われる新潟国際アニメーション映画祭。
第1回では大友克洋、第2回では高畑勲と、日本のみならず世界の映画・アニメーションに多大な影響を与えてきた偉大な監督を取り上げるレトロスペクティブ部門。今年は、夢と現実の境をたゆたうようなアニメーション表現で見るものを虜にし、没後14年がすぎた今でも、その作品が世界に大きな影響を与え続けている今 敏を特集、その業績と魅力を振り返る。
2010年に46歳の若さで逝去した今 敏は、没後14年が過ぎたいまも、世界の最も偉大なアニメーション監督として真っ先に名前が挙がる一人。その緻密な画面設計や現実と虚構をシームレスにつなぎ物語を綴る斬新な演出、さらに作品の背景に込められた知性、その全てで卓越した存在。
特集では世界から高く評価され続ける「今 敏」のアニメーションの魅力は何かを振り返る。今回は監督作品だけでなく、原画、演出などで参加した作品もあわせて紹介する。
今 敏(SATOSHI KON)
1963年、北海道生まれ。
武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科卒業。
漫画家として単行本『海帰線』(1990)『ワールドアパートメントホラー』(1991、いずれも講談社刊)を出版。漫画からアニメーション業界に活動の中心を移し、1998年長編映画『パーフェクトブルー』で監督デビュー。以後、監督オリジナルによる映画『千年女優』(2002)『東京ゴッドファーザーズ』(2003)、TVシリーズ『妄想代理人』(2004)、2006年に筒井康隆原作による『パプリカ』公開。2007年に短編アニメ『オハヨウ』をNHKアニクリ15で放送。
2010年8月24日膵臓癌のために急逝。享年46歳。
【上映作品】
●今 敏監督作品●
『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』 (英題:PERFECT BLUE/1997年/81分)
Ⓒ1997MADHOUSE
人気絶頂のアイドルグループを突如脱退し女優への転身をはかった霧越未麻。ところが、彼女の思惑とは裏腹に過激なグラビアやドラマの仕事が舞い込んでくる。周囲の急激な変化に困惑する未麻。そんな折り、彼女の仕事の関係者が犠牲者となった殺人事件が多発する。そして、ファンからは「裏切り者」のメッセージが…。追い詰められた彼女の前に今度は“もうひとりの未麻”が現れる。自分は狂ってしまったのか?これは夢なのだろうか?連続殺人犯は自分なのか?次第に現実と虚構の区別がつかなくなっていく未麻。果たして彼女の見た“もう一人の自分”の正体とは一体…。
『千年女優』(英題:Millennium Actress/2001年/87分)
Ⓒ2001 千年女優製作委員会
小さな映像制作会社の社長・立花は、かつて一世を風靡した昭和の大女優・藤原千代子のドキュメンタリーを作るため、人里離れた千代子の邸宅を訪れる。30年前に突如として銀幕から姿を消し、隠遁生活を送っていた千代子は、立花が持参した1本の鍵を見て、思い出を語りはじめる。千代子の語りは、いつしか現実と映画のエピソードが渾然一体となり、波乱万丈の物語へと発展していく。
『東京ゴッドファーザーズ』(英題:TOKYO GODFATHERS/2003年/90分)
Ⓒ2003 今 敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会
ギンちゃん、ハナちゃん、ミユキ-。新宿で暮らすホームレス3人組の前に、意外なクリスマス・プレゼントがやってきた。ゴミの山の中で生まれたばかりの赤ちゃんを発見したのだ。勝手に“清子”と命名し、ゴッドファーザー(名づけ親)となった3人は、雪ふる街を、親を探してさまよい歩く。ウラ東京で、人生を生き抜くホームレスたちが、急転する「運命」の中で出遭う<奇跡>とは。
『パプリカ』(英題:PAPRIKA/2006年/90分)
Ⓒ2006 MADHOUSE / SONY PICTURES ENTERTAINMENT (JAPAN) INC.
精神医療研究所が開発した、他人の夢を共有できる画期的テクノロジーDCミニが盗まれた。それを機に研究員たちは次々に奇怪な夢を見るようになり、精神を冒されていく。謎の解明に挑む美人セラピスト千葉敦子は、極秘のセラピーを行うため、性格も容姿もまったく別人の夢探偵パプリカに姿を変え、クライアントの夢の中へと入り込む。しかし、狂ったイメージに汚染された夢の中では、おぞましい罠がパプリカを待ち受けていた…。
『妄想代理人』(英題:PARANOIA AGENT/2004年/25分×13話)
©今 敏/株式会社マッドハウス/「妄想代理人」製作委員会
超人気キャラクター“マロミ”を世に送り出し、一躍有名になったデザイナー・月子。周囲の過剰な期待が重くのしかかる中、帰宅途中の彼女を何者かが襲撃した! 猪狩と馬庭の二人の刑事は、月子から聞いた犯人像を手がかりに通り魔の犯行として捜査を開始するが、全く成果は上がらない。次第に猪狩は、曖昧な供述を重ねる月子の自作自演ではと疑いはじめる。
●今 敏 関連作品●
『MEMORIES』 (総監督:大友克洋 /『彼女の想いで』 脚本・美術設定・レイアウト参加)
『走れメロス』 (監督:おおすみ正秋/レイアウト参加)
『機動警察パトレイバー 2 the Movie サウンドリニューアル版』 (監督:押井守/レイアウト参加)
※他、 今 敏が原画や演出で関わった映画、TVアニメなど貴重な作品も上映予定!
第3回新潟国際アニメーション映画祭
2025年3月15日(土)~20日(祝・木)開催
場所:新潟市民プラザ、日報ホール、シネウインド、T・ジョイ新潟万代(上映)
開志専門職大学、新潟大駅南キャンパスときめいと(シンポジウム、展示)
英語表記:Niigata International Animation Film Festival
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ
公式サイト https://niaff.net
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