戦後のデンマークで実際に起こった連続殺人事件にインスピレーションを受け、その裏に潜む真実と社会の闇に迫る北欧ゴシック・ミステリー『ガール・ウィズ・ニードル』が5月16日(金)に全国公開。このたび、終戦後、顔を仮面で隠す帰還兵が見世物小屋に立つシーンの本編映像が解禁された。また、江國香織、皆川博子、小島秀夫ら著名人からのコメントが到着した。
社会の中で使い捨てにされがちな複雑な人々の物語を語ってきたマグヌス・フォン・ホーン監督は、『EO イーオー』や『リアル・ペイン~心の旅~』の撮影監督であるミハル・ディメクとタッグを組んだ『ガール・ウィズ・ニードル』について、モノクロームの映像を選んだ理由は「観客をタイムマシーンに乗せ、百年前の世界に連れていきたかった」と語る。若き映像作家たちは、第一次世界大戦前後の写真や新聞記事を徹底的に考察し、当時の不安定なコペンハーゲンの様子や入り組んだ路地裏で起こる恐怖を鮮やかな漆黒の世界で表現し、観客を時空を超えた不穏なゴシック・ミステリーの世界に誘う。

当時、戦争に兵士として赴いた英雄たちは、終戦後、心身ともに傷ついて帰還すると社会からは拒絶の目を向けられ、醜く傷ついた顔を仮面で隠すしかなかった。そんな彼らが身を寄せたのは、奇異な身体が重宝される見世物小屋。このたび解禁された本編映像は、その見世物小屋で、主人公カロリーネの元夫が「これこそが戦争が吐き出すモノ!新聞が書かない現実をとくと、ご覧あれ!」と、顔に負った大きな傷を隠した仮面を取るシーン。当時の不寛容な社会の一面を突き付けてくる。

今回、本作のゴシックな世界観を存分に堪能できる飲食店とのタイアップが決定。“好事家の書斎”をコンセプトとし、感性を限りなく刺激するブックライブラリースタイルのカフェ・バー「Book Café&Bar 十誡」では、ダークラムをベースにカシューナッツペーストやバタースコッチリキュールを合わせ、北欧で愛されるジャガイモのお酒「アクアビット」をアクセントに使用し、主人公カロリーネをイメージしたヌガー風味のクリームカクテルがコラボメニューとして登場。また、映画にこだわった渋谷の隠れ家的カフェ「CAFE:MONOCHROME」では、モノトーンな世界に入り込める店内とモノクロームの本作をイメージしたブラックブルーベリーのフローズンカクテルが楽しめる。いずれも特典として、ここでしか手に入らないオリジナルグッズが入手できる。タイアップ詳細は記事下にて。
そして、本作に寄せられた著名人コメントも一挙解禁。ミステリー好きとしても知られる小説家の江國香織、幻想文学からミステリーまで様々なジャンルの小説で読書を魅了し続ける皆川博子、大の映画好きと知られ、最近では『DEATH STRANDING』がA24との実写映画化が発表されたゲームクリエイターの小島秀夫、ホラー漫画家として活躍する伊藤潤二、文芸評論家の東雅夫や多くの映画衣装を手掛け、俳優たちからも信頼があつい北村道子、画家のヒグチユウコ、グラフィックデザイナーの大島依提亜、人喰いツイッタラーの人間食べ食べカエル、世界各地の珍品を蒐集し、展示する古書店の書肆ゲンシシャ・店主、ライターのISO等、多彩なジャンルで活躍する著名人から、本作の魅力と見どころを明かしたコメントが到着した。コメント全文・一覧は以下のとおり。
著名人コメント(順不同/敬称略)
ええっ?!まさか。それで?それでどうなるの?と、最初から最後まで息を呑んで観た。
白黒の映像は隅々まで官能的で、ある時ある場所に存在した人たちの、息遣いや肌の匂いまで感じとれる。
江國香織(小説家)
奇抜で美しい映像の連続から、女性のみが知る不条理が浮かび上がる。
皆川博子(小説家)
撮影、照明、音響、演出、俳優、さらに赤ちゃんの演技にさえも、全てのセンスが神がかっている。一方、モノクロ映像で浮かび上がる物語は、残酷なまでに痛く、絶望的なほどに哀しい。容赦なく、観客の見識を穴だらけにする。ここまで感情を弛緩させる映画は、ここ最近、観たことがない。しばらくは、この映画の“ニードル”は抜けそうもない。だからこそ、愛おしい一本になるはずだ。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
モノクロの画面から生々しく伝わる貧しい環境下での苦悩。衝撃的かつ重厚な物語。そして救いあるラストには涙しました。
伊藤潤二(漫画家)
世にも恐ろしい映画を観た。かくも観る者の魂を震撼させる映画は稀だろう。その忌まわしさの一端は、この物語が紛れもない実話に元づく点にあり、同時に光と闇、モノトーンの画面の、比類ない美しさに、ある!
東雅夫(文芸評論家)
正解のない問題。
それぞれ自らの答えと向き合うべきだと思う。
ヒグチユウコ(画家)
この映画の多くの場面で、人物は手前と奥に配置される。その構図はあたかもこちらに向けられた針のようだ。その針のイメージは手編みに使う太い棒針で、先端は必ずしも鋭いとはいえないが、しかしそれゆえ恐ろしい。
大島依提亜(グラフィックデザイナー)
映画好きにはたまらない作品である。なぜなら、緻密にクリエートしているから。
北村道子(スタイリスト)
言葉に言い表せないやるせなさに襲われる。後半のある展開で凄まじいショックを受けるが、それは社会が追い込んだ結果でもあるのだろう。身も心も強烈な痛みに貫かれる。
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
怺える者たちの物語
「正しいこと」とはなんだろう
これは社会が歪であるかぎりいつの時代でも起こりうる悲劇だ。
書肆ゲンシシャ(店主)
「1人で妊娠はしないが、責任は貴女のもの」。100年も昔の史実からいまだ横たわる不均衡を克明に浮かび上がらせる。
無性に息が詰まるのはきっと、構造を無視して正義を語る群衆に自分たちの姿を見るからだ。
ISO(ライター)
映画『ガール・ウィズ・ニードル』タイアップ詳細
実施店:Book Café&Bar 十誡(東京都中央区銀座5丁目1-8)
開催期間:5月16日(金)~6月15日(日)
タイアップメニュー:『カロリーネ ~ガール・ウィズ・ニードル~』 ¥2,310(税込)
特典:マシュマロ ※なくなり次第終了
実施店:CAFE:MONOCHROME(東京都渋谷区宇田川町4-10渡辺ビル2F)
開催期間:5月2日(金)~5月23日(金)
タイアップメニュー:“GIRL WITH NEEDLE” FROZEN(ブラックブルーベリー) ¥1,100(税込)
特典:コースター ※なくなり次第終了
ガール・ウィズ・ニードル
2025年5月16日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイト シネクイントほか全国公開
STORY
お針子として働くカロリーネは、工場のオーナーと恋に落ちるも、身分違いの関係は実らず、彼女は捨てられた挙句に失業してしまう。すでに妊娠していた彼女はもぐりの養子縁組斡旋所を経営する女性ダウマと出会う。
監督・脚本:マグヌス・フォン・ホーン『スウェット』 撮影:ミハウ・ディメク『EO イーオー』 美術:ヤグナ・ドベシュ『イーダ』 編集:アグニェシュカ・グリンスカ『LAMB/ラム』 音楽:フレゼレケ・ホフマイア 音響:オスカ・スクリーヴァ『THE GUILTY/ギルティ』
出演:ヴィク・カーメン・ソネ『ゴッドランド/GODLAND』、トリーネ・デュアホルム『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』、ベシーア・セシーリ
2024年/デンマーク、ポーランド、スウェーデン/デンマーク語/123分/ 1.44:1/モノクロ/5.1ch/PG‐12/原題:Pigen med nålen/英題:The Girl with the Needle/日本語字幕:吉川美奈子/字幕監修:村井誠人/配給:トランスフォーマー
© NORDISK FILM PRODUCTION / LAVA FILMS / NORDISK FILM PRODUCTION SVERIGE 2024
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