史上最年少のマン・ブッカー賞候補となった作家デイジー・ジョンソンによる「九月と七月の姉妹」に着想を得て制作された『九月と七月の姉妹』が9月5日(金)より公開。このたび、電線愛好家・文筆家・俳優・石山蓮華、作家・嶽本野ばら、画家・イラストレーターの中村桃子、アーティスト・Lina Sun Parkら各界著名人からのコメントと、中村桃子からはイメージイラストも到着。あわせて、姉のジュライが「優しさ」と引き換えに妹に絶対的な支配を突きつけるシーンの本編映像が解禁された。
今回解禁された本編映像は、姉妹という閉ざされた関係の中で浮かび上がる、歪で強烈な支配の姿を映し出すもの。同級生からの理不尽な「暴力」に怯える妹セプテンバーに対し、姉のジュライは優しい言葉を添えながら精神的な支配を突きつける。「私が誘拐されたら、身代わりになってくれる?」「私が手足を失ったら、あんたも切る?」「何かあったら電話1本でかけつけるから」。やがてその言葉は、ジュライの心の奥底に絡みつき、解けない呪いのようにじわじわと侵食していく。
あわせて各界の著名人総勢11名からコメントが寄せられた。電線愛好家・文筆家・俳優の石山蓮華は「大人になるために心の奥底にしまい込んだ女の子たちの名前、私たちだけの共通言語と恐怖をもう一度なぞりたくなっている」、NINE STORIES主宰のかとうさおりは「クローズドな関係性と空間の中で、ある事件をきっかけに、更にぼやけていく2人の姉妹の境界線。時間軸もあやふやとなり、スリリングで不穏な空気感に目が離せなくなる。原作と併せての鑑賞を推奨!」、物書きのSYOは「僕は未だ衝撃で心が強張り、動けずにいる」、作家の嶽本野ばらは「貴方は知るでしょう。自分がすでに傷つき、修復不可能な状態であることを。それでも貴方は痛みと欠損から眼を逸さぬ決意をするのではないでしょうか?」、画家・イラストレーターの中村桃子は「学校にいても、家に帰っても、男の子にデートに誘われても、姉妹が作り上げた歪で頑丈なテラリウムにはなかなかだれも侵入できない。それでも、いつか強い風が吹いて家も車もぜんぶ吹っ飛んだら、どこへでも飛んでいけそうなジュライに希望を感じました」、ライター・翻訳者の野中モモは「ときに親子以上に密接になる姉妹の結びつき。歪で極端な事例に見えるけれど、ありふれた母子家庭サバイバルの話とも言える」、<OH! MY BOOKS>店主の福永紋那は「気づくと彼女たち3人家族の不思議な魅力にかなり夢中になっていました」、古書店員のブンは「なんだか、高熱の時に見る夢のような時間を過ごしました」、コンセプトクリエイター、ポップ思想家の水野しずは「いろんな人間が自己都合で近すぎる距離に出現したり突如消失したりする。そういうこわさって、どうしたらわかってもらえるんだろうか」、作家・書評家の渡辺祐真は「ただの焼き直しではない、優れた映画化とはこのようなものだ」、アーティストのLina Sun Parkは「日常の儚さや私的な空間、そして彼女たちだけの儀式を、静かで心に残る方法で描き出していたことに深く心を動かされました」とそれぞれの想いを寄せている。コメント全文・一覧は以下のとおり。

また、NYを拠点に工芸品と写真という異なる媒体をもちいて作品を制作するアーティスト、リナ・サン・パークによるオリジナルアートワークや翻訳家・作家の松田青子や写真家の植本一子、歌人・エッセイストの上坂あゆ美らが寄せた珠玉のエッセイなどを収めたスペシャルなパンフレットも上映劇場にて発売が決定した。
なお、9月7日(日)には渋谷ホワイト シネクイントにて公開記念トークイベントの開催も決定。電線愛好家・文筆家・俳優の石山蓮華と翻訳者・ライターの野中モモが登壇する(時間やチケット発売情報などは決定次第映画公式SNSで発表)。
著名人コメント全文 ※50音順・敬称略
姉妹のゲームがいつのまにか執着になっていく。
この不穏なシスターフッドは危ういだけではない普遍性がある。
大人になるために心の奥底にしまい込んだ女の子たちの名前、
私たちだけの共通言語と恐怖をもう一度なぞりたくなっている。
―石山蓮華(電線愛好家・文筆家・俳優)
クローズドな関係性と空間の中で、ある事件をきっかけに、更にぼやけていく2人の姉妹の境界線。時間軸もあやふやとなり、スリリングで不穏な空気感に目が離せなくなる。原作と併せての鑑賞を推奨!
―かとうさおり(NINE STORIES主宰)
他者の悪意、淀んだ母娘関係、歪な姉妹愛。
支配的で狂っている。でも、独りではない。
絶望か希望か――貴方は答えを出せるのか。
僕は未だ衝撃で心が強張り、動けずにいる。
―SYO(物書き)
貴方は知るでしょう。自分がすでに傷つき、修復不可能な状態であることを。
それでも貴方は痛みと欠損から眼を逸さぬ決意をするのではないでしょうか?
彼女達の宿命に共鳴するから。これは寓話ではなく今を生きなければならない少女、
つまり貴方の記録なのだと思います。原作とこの映画が同じ核を持つ双子のような姉妹であるが如くに……。
―嶽本野ばら(作家)
学校にいても、家に帰っても、男の子にデートに誘われても、
姉妹が作り上げた歪で頑丈なテラリウムにはなかなかだれも侵入できない。
それでも、いつか強い風が吹いて家も車もぜんぶ吹っ飛んだら、
どこへでも飛んでいけそうなジュライに希望を感じました。
―中村桃子(画家・イラストレーター)
ときに親子以上に密接になる姉妹の結びつき。
歪で極端な事例に見えるけれど、ありふれた母子家庭サバイバルの話とも言える。
その危ういバランスを成り立たせる映像と音による語りに個性と技を感じます。
英国の曇り空、思春期の鬱屈と相性が良すぎ。
―野中モモ(ライター・翻訳者)
‘怖カワイイ’って感じの姉妹に終始ヒヤヒヤしたんですが、
途中お母さんとのうそみたいに明るくてイケてるダンスシーンがあったのが
めちゃくちゃ最高で、気づくと彼女たち3人家族の不思議な魅力にかなり夢中になっていました。
―福永紋那(OH! MY BOOKS店主)
自分の心と身体が少しずつ乖離していて、支配されていくような感覚。暴力的で束縛のある姉妹間の奇妙な結びつき。でも全てが嫌悪や恐怖で溢れているわけではなくて、愛に限りなく近いものもある。それは絆なのか共依存なのか。なんだか、高熱の時に見る夢のような時間を過ごしました。
―ブン(古書店員)
秩序の網にむりや裂け目を作って入り込んでくる侵入者がいたらサスペンスだけど、ある秩序の渦中であたりまえのようにいたりいなくなったりする人間はホラーだ。思春期の少女にとってはこの世の大半がこんなおそろしさに満ちたホラーみたいな側面がある。いろんな人間が自己都合で近すぎる距離に出現したり突如消失したりする。そういうこわさって、どうしたらわかってもらえるんだろうか。
―水野しず(コンセプトクリエイター、ポップ思想家)
本映画の原作が目指していたのは、叙述トリックと言葉遊び、そして館を舞台にしたゴシックミステリーだった。いずれも小説ならではの技巧の賜物だ。ところが映画では、家具や物音を軸に据えることで、原作がやろうとしていたことを全く違うやり方で達成してしまった。ただの焼き直しではない、優れた映画化とはこのようなものだ。
―渡辺祐真(作家・書評家)
日常の儚さや私的な空間、そして彼女たちだけの儀式を、静かで心に残る方法で描き出していたことに深く心を動かされました。
―Lina Sun Park(アーティスト)
九月と七月の姉妹
2025年9月5日(金)渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
原題:September Says
監督・脚本:アリアン・ラベド
出演:ミア・サリア、パスカル・カン、ラキー・タクラー
原作:デイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』(東京創元社刊)
© Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation, ZDF/arte 2024
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