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2025年に没後10年となる、ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラの長編監督デビュー作『アニキ・ボボ 4Kレストア版』が11月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて2週間限定公開、ほか全国順次公開されることが決定した。あわせてポスタービジュアルとメイン画像が解禁された。

100歳を超えてもなお映画を作り続け、現役最高齢の監督として世界中で話題と尊敬を集めたマノエル・ド・オリヴェイラ。「私はシネマトグラフの映画監督だ」「映画とは何か?それは幻影だ。」と語り、「シネマトグラフ」を発明したリュミエール兄弟や「映画の魔術師」ジョルジュ・メリエスなど最初期の映画との連なりを強く意識するオリヴェイラは、まさに映画史を体現する唯一無二の存在である。
故ジャン=リュック・ゴダールをはじめ、ペドロ・コスタやミゲル・ゴメスなど日本でも人気を得ている現代ポルトガル映画の作家たち、そして濱口竜介監督や三宅唱監督などが特別な映画監督としてその名を挙げている。2025年はオリヴェイラが106歳で亡くなって、没後10年となるメモリアルイヤー。4月にはその功績を振り返る企画上映「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」が開催され、多くの映画ファンが劇場に駆けつけた。このたび、メモリアルイヤーの締めくくりとして、映画史上の傑作とされる『アニキ・ボボ 4Kレストア版』が公開される。
1942年に故郷ポルトの街を舞台に製作された本作は、子どもたちの躍動を簡潔かつ大きなスケール感で描き、「ネオレアリズモ」を先駆けたともされる。2025年、第82回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門で4Kレストア版がプレミア上映された。制作から80年を超える時が過ぎ、その詩的な魅力に満ちた現代性が再び注目されている。
オリヴェイラは本作について次のように語っている。「夜の闇や未知なるものへのおののき、そして私たちの周囲に脈々と息づく生命の魅惑――それらを暗示しようとしたのです。さまざまな障壁、権力や慣習によって閉ざされた世界の単調さと、鮮やかに対照をなすものとして。」(1954年の発言より)
このたび解禁されたポスタービジュアルは、お仕置き用の帽子をかぶった少年ピスタリムが振り返ってこちらを見つめる一場面を切り取ったもの。キャッチコピーとして、劇中に幾度も登場する“いつも正しい道を進め”という言葉が配置されている。長編デビュー作からすでに、オリヴェイラの徹底した画作りの片鱗が示され、子どもたちの躍動とともに緊張感に満ちたシーンが連続する。そんな本作の世界観を象徴するビジュアルが完成した。デザインは、「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」に引き続き、成瀬慧と中野香が手がけた。

また、11月8日(土)には菊川Strangerにて『アブラハム渓谷 完全版』『カニバイシュ』の二本立てオールナイト上映が実施される。詳細は劇場のサイト(https://stranger.jp/)にて。
マノエル・ド・オリヴェイラ(1908-2015)
1908年12月11日、ポルトガル北部の都市ポルト生まれ。1931年、サイレントの短編ドキュメンタリー映画『ドウロ河』を監督。その後、短編作品を制作。1942年には初の長編映画『アニキ・ボボ』を手がける。アントニオ・サラザール政権による独裁体制下で企画が成り立たず、家業に従事しながら短編を作る。1963年に長編第二作『春の劇』を監督するも、発言が問題視され投獄された。1974年に独裁政権が終わると、80年代以降は旺盛に作品を発表。ヨーロッパで注目を集める。1985年、超大作『繻子の靴』を出品したヴェネチア国際映画祭で特別金獅子生涯功労賞、1991年には『神曲』が同映画祭の審査員特別賞を受賞。『クレーヴの奥方』(99)でカンヌ国際映画祭審査員賞、同映画祭の名誉パルム・ドールを2008年に受賞している。2015年4月2日、106歳で死去。
アニキ・ボボ 4Kレストア版
2025年11月14日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて2週間限定公開、ほか全国順次
STORY
ドウロ川近郊に暮らす少年たち。カルリートスは内気な夢想家で、エドゥアルドは恐れを知らぬリーダー。二人はともに、グループで唯一の少女テレジーニャに恋をしている。ある日、カルリートスはテレジーニャが欲しがっていた人形を盗み、彼女にプレゼント。そのことをきっかけに少年たちの間に緊張が高まり、カルリートスはグループから仲間はずれにされる……。
1942年/ポルトガル/ポルトガル語/72分/モノクロ/スタンダード/原題:ANIKI BÓBÓ
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影:アントニオ・メンデス
音楽:ジャイメ・シルヴァ
美術:ジョゼ・ポルト
編集:ヴィエイラ・デ・ソウザ
出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ、アントニオ・サントス、ヴィタル・ドス・サントスほか
提供:キングレコード 配給・宣伝:プンクテ 協力:ポルトガル大使館 カモンイス言語国際協力機構
© Produções António Lopes Ribeiro
公式サイト oliveira2025.jp
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