国内最大級のレビューサービスFilmarks(フィルマークス)が運営する映画レーベルSUNDAE(サンデー)の第9弾配給作品が映画『ユースフル・ゴースト』(英題:A Useful Ghost)に決定し、2026年7月10日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開される。あわせて、ティザービジュアル、特報、場面写真3点が解禁された。
2002年、『ブリスフリー・ユアーズ』でカンヌに登場したアピチャッポン・ウィーラセタクンはある視点部門で最優秀作品賞を受賞したが、その大胆な内容ゆえに本国では検閲にも直面した。その後もタイ映画界は多くの困難に見舞われ続けたが、数々の映画作家たちの存在によって進化を続けてきた。
そして2025年、カンヌ国際映画祭・批評家週間にてワールドプレミアを迎えた本作『ユースフル・ゴースト』は、1987年生まれの新鋭ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク監督の長編デビュー作にして、各国メディアから「ジャンルでは括れない」「驚くほど独創的」と異例の注目を集め、同部門においてタイ映画としては初選出ながら見事グランプリを受賞した。さらに米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト入りも果たし、タイ映画の世界的評価をさらなる高みに押し上げた本作がついに日本公開を迎える。
粉じん公害が深刻化するタイ・バンコク。最愛の妻・ナット(ダビカ・ホーン)を呼吸器疾患で亡くしたマーチ(ウィサルット・ヒンマラット)は悲嘆に暮れる日々を送っていた。ある日、ナットの魂は掃除機に宿るかたちで舞い戻り、ふたたび愛を確かめ合う二人。その頃、マーチの家族が経営する工場では、死亡した従業員の霊が機械に取り憑き、操業停止に追い込まれていた。霊に悩まされる家族や社会から拒絶されたナットは、工場の除霊に協力することで、夫への真実の愛と、自らの存在を“役に立つ幽霊”だということを証明しようとするが……。

タイでは誰もが知る怪談「メー・ナーク・プラカノーン」(死後も現世にとどまり、夫と禁断の愛を深めていった女性“メー・ナーク”にまつわる物語)に着想を得たという本作は、亡き妻が掃除機に宿って夫の元へ戻ってくるという奇想天外な設定を起点にしながら、記憶と忘却、個人と社会、愛と有用性といったテーマへと静かに深度を増していく。

幽霊が日常に存在する世界で、人間社会の価値基準や倫理がいかに恣意的なものであるかを浮かび上がらせると同時に、「記憶すること」がひとつの抵抗ともなり得ることを示唆する。コメディ、ロマンス、ホラー、SF……様々なジャンルを軽やかに横断しながら、環境問題や労働、政治的抑圧といった現代社会の歪みに鋭く切り込むその手腕は、アジアのみならず欧米の映画祭・批評家からも強い支持を獲得した。

ジュリア・デュクルノー『TITANE/チタン』の衝撃、ウェス・アンダーソンの鮮やかで緻密な映像美、アピチャッポンの持つマジックリアリズムを引き合いに語られ、「まるでヨルゴス・ランティモスがタイに移住したかのようだ」(Screen Daily)とも評された唯一無二の味わいをその目で確かめてみよう。すべてが結びつくラストには、驚きとともに深い感動が待ち受けている。
今回、解禁となった特報映像の冒頭に映し出されるのは、最愛の人を失い魂の抜けたようなマーチと、死してもなお夫に寄り添うナット。その想いの強さゆえに、ナットは掃除機の姿を借りて現世に舞い戻るが、思いがけない出来事に戸惑うマーチと、その異様な光景を見守る家族の姿が収められている。果たして二人の愛の行方は——。

また、ティザービジュアルには、薄暗い部屋の片隅でまるで意思を持つように中央のランプが灯った、不気味さと同時にどこかおかしみを感じさせる掃除機のカットが大胆に配されている。この掃除機のデザインは、ラッチャプーム監督の「実用性とバカバカしさを混ぜて」というリクエストに応え、実際に掃除機を作った経験もあるインダストリアルデザイナーのシン・ハオチーが手がけた。前かがみにお辞儀しているような形状が生み出す謙虚なたたずまいは友好的な霊であることを表している。そんな掃除機が夫マーチの前に初めて姿を現し、二人の出会いのシーンを切り取ったメイン画像も公開された。
主演はInstagramフォロワー1,800万人超え、“絶世の美女”の異名を持つアジアの奇跡ダビカ・ホーン。2013年、“メー・ナーク”の怪談をリメイクし、タイでメガヒットを記録した『愛しのゴースト』でメー・ナーク役を演じて一躍スターダムに駆け上がった。いまやタイだけではなく国際的に活躍するファッションアイコンとして絶大な人気を誇る彼女だが、今作では「掃除機に宿る幽霊」というさらなる難役を、その圧倒的な存在感と繊細な表現力で見事に演じきった。共演には、ウィサルット・ヒンマラット(ドラマ「運命のふたり」)、アパシリ・ニティポン(『デュー あの時の君とボク』『ハッピー・オールド・イヤー』)ら実力派が名を連ね、現実と夢のあわいを漂う物語に揺るぎないリアリズムをもたらしている。
カンヌ批評家週間グランプリを受賞した際、「(この作品と賞を)役に立つ幽霊もそうでない幽霊も含めて、タイにいるすべての幽霊に捧げたい」とラッチャプーム監督はスピーチした。この10年以上、タイでは主に国内の大規模産業の影響による粉じん公害への意識が高まっている。「粉じん公害が起きるのは当然だ。ホコリでいっぱいの国なんだから」そんなふうに当初は冗談めかして語られていたというが、タイ語の“ホコリ”(埃)という言葉には、空中に漂う小さな粒子という意味の他に、現代のスラングでは人間以下の扱いをされる者という意味もある。
「声を上げられず、自分の人生を自分で決められない、支配者階級の意のままに動かされ簡単に消されてしまう人々のことです」とラッチャプーム監督は語る。「霊もホコリも厄介者で、本来いるべきではない場所と時間に現れるという点でよく似ています。家の中、テレビ画面、机の上……ホコリは境界線など関係なく勝手に現れますが、死んだ人間が生きている人間の世界に戻ってきたのが霊です。本来いなくなっているはずなのに時間に逆らってこの世にとどまり抵抗しているのです。こうした意味で(ホコリを取り除くための)掃除機に取り憑いた幽霊というのはアイロニックな存在だと考えています」
まとめ(注目ポイント)
- タイ映画『ユースフル・ゴースト』7月10日(金)公開決定カンヌ国際映画祭の批評家週間で、タイ映画として初となる見事グランプリを受賞した新鋭監督の長編デビュー作。
- 亡き妻の魂が「掃除機」に宿る奇想天外なストーリータイの有名な怪談に着想を得て、妻が掃除機となって夫の元へ戻り、“役に立つ幽霊”であることを証明しようとする姿を描く。
- アジアの奇跡、ダビカ・ホーンが“掃除機に宿る幽霊”を熱演Instagramフォロワー1,800万人超えを誇る絶世の美女が、難役を圧倒的な存在感と繊細な表現力で演じきる。
- ユーモアと鋭い視点で現代社会の歪みを突くコメディやホラーなど多様なジャンルを横断しながら、粉じん公害や労働問題など、タイ社会の現実をアイロニックに映し出す。
ユースフル・ゴースト
2026年7月10日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク
出演:ダビカ・ホーン、ウィサルット・ヒンマラット、アパシリ・ニティポン、ワンロップ・ルンカムチャット、ウィサルット・ホームフアン ほか
2025|タイ語、英語、イサーン語|タイ、フランス、シンガポール、ドイツ|130分|英題:A Useful Ghost|字幕翻訳:橋本裕充
配給・宣伝:SUNDAE(Powered by Filmarks)
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