2024年のベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞受賞をはじめ、数々の世界的な映画祭で41冠の快挙を成し遂げた群像ヒューマンドラマ『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』が6月19日(金)より全国公開。このたび、フランスの実力派俳優オマール・シー演じる、難民をボートで運ぶ密航業者に焦点を当てた本編映像が解禁された。
シリア内戦下で引き裂かれる家族と、彼らに関わる人々の姿を多角的に描き出す群像ヒューマンドラマ『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』。本作に登場する重要人物のひとり、難民をボートでギリシャへ送り出す密航業者マルワンに焦点を当てた本編映像が到着した。

トルコで密航業を営むマルワンは、病弱な息子とアメリカで新たな人生を築くことを夢見ている。ある夜、幼い息子を寝かしつけ、静かに隣へ横になる。しかし夜中にアラーム音で目を覚ますと、引き出しに隠していた銃を取り出し、闇の中へと家を後にする。向かった先は海辺。そこで待っていた男たちが彼を迎える。
「何人来た?」「ボートを浮かべろ」父としての穏やかな表情から、冷徹に指示を下す密航業者の顔へ――。本映像は、多面的な顔を持つ人物像を緊張感たっぷりに映し出している。
マルワンを演じるのは、『最強のふたり』(2011)で世界的ブレイクを果たした、フランスを代表する俳優オマール・シー。愛情深い父親と、非情なビジネスを担う“ボス”という二面性を繊細に体現し、複雑なキャラクターに圧倒的なリアリティを与えている。
本作は、ブラント・アンダーセン監督がシリアやトルコ、ギリシャでの人道支援活動を通して出会った実話を基にしている。トルコでは仲介者を通じて密航業者へのインタビューを行い、食事をしながら話を聞いた経験が、脚本の細部に反映されたという。「密航業者がなぜ、どのような思考プロセスで動いているのかを理解するため、彼らと会い、海へ出ようとする難民や対岸で彼らの救助に関わる人々と時間を共にしました。そこから物語が溢れ出してきたのです。エンジンの音、救命胴衣の重み、密航業者の具体的な手口など、細部を正確に伝えることが、彼らに対する私の責任だと感じました」と監督は振り返る。
そうした徹底したリサーチから生まれたキャラクターに、さらなる奥行を与えたのがキャスティングだった。監督はオマール・シーに脚本を送り、面会が実現。夕食を共にし意気投合したことで、オマールの出演が決まった。
監督はキャラクター造形の変化について、「オマールと知り合い、彼がどれほど優しい父親であるかを知るうちに、役柄を彼に合わせて書き直しました。トルコで会った西アフリカ系の密航業者と、オマールの本質を組み合わせたんです」と明かし、さらに密航業者の人物像について「私は彼らを“人間”として描きたかった。密航業者はよく典型的な悪役として描かれますが、実際には、絶望的な経済状況の中で生き残ろうとしている普通の人であったり、彼ら自身がその仕事を強要された難民であったりすることも多いのです。オマールはこの役に、絶望、強欲、脆弱性という複雑さをもたらしてくれました」と語っている。
難民、医師、兵士、密航業者、警備隊船長――。国境を越えて交差する人々の決断は、互いの人生へと連鎖していく。アンダーセン監督が目指したのは、危機を「人の波」としてではなく、ひとりひとりの人間の物語として見つめ直すことだった。善悪では語り尽くせない現実を映し出す『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』。本編映像は、その核心を静かに浮かび上がらせる一幕となっている。
まとめ(注目ポイント)
- 映画祭41冠の注目作 『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』が世界各地の映画祭で41冠を達成。
- オマール・シーが密航業者役に挑戦 『最強のふたり』のオマール・シーが複雑な人物像を繊細に体現。
- 難民問題を多角的に描写 医師、兵士、密航業者らの視点からシリア内戦を描く群像劇。
- 監督自身の取材経験を反映 ブラント・アンダーセン監督による現地取材の経験が脚本へ反映。
- 『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』6月19日公開 2026年6月19日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。
アイ・ワズ・ア・ストレンジャー
2026年6月19日(金)よりTOHOシネマズシャンテほかにて全国順次公開
STORY
独裁政権が続くシリアで、政府軍と反政府組織との内戦が激化。シリアの医師アミラは娘と共に安全な国へ逃れるため危険な国境越えを決意する。国境を守るシリア兵ムスタファは、残虐な政府軍に不信感を抱き、命令に従う兵士であるべきか、心ある人間でいるべきか苦悩する。一方、トルコの密航業者マルワンは病弱な息子とアメリカで暮らすため、難民をギリシャ行きのボートに乗せて荒稼ぎしようとする。ファティは妻子を連れてそのボートに乗り込むが、死の危機に直面。そして嵐の海を航行する難民を発見したギリシャ沿岸警備隊のスタヴロスは、人命救助に全力を尽くすのだが──。
監督:ブラント・アンダーセン 出演:オマール・シー、ヤスミン・アル・マスリー、ジアド・バクリ、ヤヤ・マヘイニ、コンスタンティン・マルクーラキス
配給:ハーク 配給協力:フリック
原題:I WAS A STRANGER|2024|アメリカ・ヨルダン・パレスチナ|英語・アラビア語|104分|カラー|映倫G
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