2024年、多くの映画ファンを熱狂させた上映会「CINEMA BANDWAGON」が今年も開催されることが決定した。ヴィータウタス・カトゥクス(リトアニア)、マーク・チュア&ラム・リーシュエン(シンガポール)、大河原恵(日本)という新進気鋭の3監督の特集を中心に、特別上映を含む全17作品が「CINEMA BANDWAGON vol.02」としてシアター・イメージフォーラムにて12月12日(土)より2週間限定で上映される。

「映画は終わった。でももっと映画を!」青山真治監督の言葉に導かれるように教え子たちが再集結。様々な枠組みや固定概念から解放された新しい映画・新しい才能を発見できる上映会「CINEMA BANDWAGON」が再び開催される。
今回は、撮影監督出身のリトアニアの新星で、16ミリフィルムによる驚きのカメラワークでカンヌやヴェネチアといった三大映画祭にノミネート、初長編作品ではカルロヴィヴァリ国際映画祭最優秀監督賞を受賞するなど、世界中から絶賛されているヴィータウタス・カトゥクス、アートロックバンドでの出会いから生まれた、映画から空間芸術まで横断するシンガポール発の夫婦デュオで、ボディホラーや思弁的なフィクションの世界を紡ぎ出し、歴史の深淵を鮮烈に抉り出すマーク・チュア&ラム・リーシュエン、俳優としての顔も持ち、不器用な人々のこれでもかという「回り道」を、独特のユーモアと唯一無二の言葉選びで描き出す大河原恵という、新進気鋭の3監督にフォーカス。
さらに、甫木元空&井手健介による『エクスネ・ケディの幽体離脱』『エクスネ・ケディの白日夢』や釜山国際映画祭で審査員特別賞を受賞した川添彩の最新作『幽明の虫』の特別上映、広田智大初長編作品『朝の火』リバイバル上映など、全17作品をラインナップ。上映後のトークイベントなども予定されている。
上映作品
夏の終わりの訪問者 監督:ヴィータウタス・カトゥクス
2025|リトアニア|111分
©️TOTEM FILMS
8月の終わり。30代半ばのダニエリュスは妻と息子をノルウェーの家に残し、一人リトアニアのリゾート地にある故郷の街に戻る。置き去りにしてきた過去を捨てきれない彼は、なかなかそこを去ろうとしない――。2025年カルロヴィヴァリ国際映画祭 最優秀監督賞受賞。
CHERRIES 監督:ヴィータウタス・カトゥクス
2022|リトアニア|15分
©️M FILMS
最近定年退職した父親は、庭のさくらんぼ摘みを手伝ってほしいと息子を誘う。父親は、息子とゆっくり話をしようとしており、作業を急ぐ様子はない。さくらんぼは変わらず、二人の背後に残っている。2022年カンヌ国際映画祭公式短編部門ノミネート。
PLACES 監督:ヴィータウタス・カトゥクス
2020|リトアニア|12分
©️Afterschool
変わりゆく街への別れを少しでも先延ばしにするかのように、幼馴染の二人は、自分たちが育った思い出の場所で最後の数日間をともに過ごす。2020年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・短編部門ノミネート。
Community Gardens 監督:ヴィータウタス・カトゥクス
2019|リトアニア|15分
©️VIKTORIA FILMS
家父長制的な男らしさが、太陽の下で最後の息を引き取ろうとしている――。これは、父と息子の冷え切った関係を描いた物語である。無関心に蝕まれた二人の絆は、完全に崩壊していく。2019年カンヌ国際映画祭批評家週間短編部門ノミネート。
根欲 監督:マーク・チュア&ラム・リーシュエン
2024|シンガポール|6分
©️Emoumie Pictures
全編スーパー8で撮影された、極めて私的で実験的な映像作品。シンガポールにおいて公私の領域を越えて人々の「身体」に強いられる規律や管理のシステムに対する、生々しい応答。この国における「髪」が持つ政治的・歴史的な意味合いを通し、身体への統制を見つめ直していく。2024年ロッテルダム国際映画祭出品。
Chomp It! 監督:マーク・チュア&ラム・リーシュエン
2023|シンガポール|11分
©️Emoumie Pictures
暑さを凌ぐために市民プールを訪れた、ワニの姿をした2人の男。1人はどこか特別な異彩を放つ存在であり、もう1人は内に潜む欲望を抑えきれずにいた――。2023年ロッテルダム国際映画祭出品。
セントーサ、地球最後の日 監督:マーク・チュア&ラム・リーシュエン
2021|シンガポール|23分
©️Emoumie Pictures
1998年アジア金融危機の只中に、男とその家族は“最後の日”を過ごすためセントーサ島を訪れる。近年の開発で土地の記憶が忘失されゆく島を舞台に、不確実な時代を覆う不安と恐怖をとらえる。2021年シンガポール国際映画祭 最優秀東南アジア監督賞を受賞。
The Cup 監督:マーク・チュア&ラム・リーシュエン
2020|シンガポール|17分
©️Emoumie Pictures
シュールな情景の中、頭部が抽出機(ブルーイングマシン)になっている一人の男。彼は、自身の体から抽出される飲み物の味気なさに不満を抱き、どうにかしてその風味を良くしようとあらゆる手を尽くす。
シンガポールのロックダウン中に撮影され、”私たち”が認識する「日常の平坦化」に抗い、この世界に存在することの意味を見つめ直す瞑想的な作品。
素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる 監督:大河原恵
2025|日本|67分|出演:大河原恵、名村辰、みやなおこ、鎌滝恵利 ほか
©️2025『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』
横溝千歳と交際していた春田望は、横溝が自分ではない別の女性と結婚することを知り、式に乗り込みその場からカメラを奪い走り去る。逃走する道中で、カステラを乗せたバイクとの衝突事故に遭ってしまった春田。病室で目を覚ますと、そこには横溝の姿をした”カステラ”を名乗る男がいた――。
逆流竹取物語 監督:大河原恵
2016|日本|14分|出演:椎名琴音、足立理、夙川アトム、鶴巻紬 ほか
©️恋する灯台プロジェクト
月に帰ったかぐや姫。待ってたはずのあなたは結婚。月にいられなくなったかぐやを巻き込んで、灯台で起こるそれぞれの、今昔物語らんほどの恋。ばかみたいに恋にまみれた、かぐやの結末はいかに。
みんな蒸してやる 監督:大河原恵
2015|日本|41分|出演:大河原 恵、須藤瑞己 ほか
©️2015『みんな蒸してやる』
えび焼売自主生産工場で働くカヨコの好きな男は、案山子になりたがった。カヨコは考える、男を振り向かせる方法を。わたしが結婚しても、いつもの時間に、きみがラジオきくなら。
エクスネ・ケディの白日夢 監督:甫木元空 井手健介
2025|日本|13分|出演:井手健介、斉藤陽一郎、大河原恵 ほか
井手健介は今日もバイトへ遅刻中。まちかねた客達は皆いつかの夢で見たような。店内を走る光に導かれリズムにオペラに取り憑かれる人々。数えられた数字の先で宇宙へ飛び立つロケットが彼らを今宵もパーティーへ誘う。
エクスネ・ケディの幽体離脱 監督:甫木元空 井手健介
2024|日本|15分|出演:エクスネ・ケディ、井手健介、大河原恵、斉藤陽一郎 ほか
井手健介に憑依したエクスネ・ケディが現実世界の母体=井手健介から離れ、幽体エクスネ・ケディとして現実世界を浮遊する。エクスネ・ケディとは何者なのか?時を超えて現実世界にコンタクトする彼の目的はいったい何なのか?壮大な物語の序章の幕が切って落とされる。
幽明の虫 監督:川添彩 ★最新作日本初上映
2025|日本|13分|出演:遊屋 慎太郎、小川 未祐、嶺 豪一、岡本 多緒 ほか
© DECADE Inc.
喧騒の街々に眠る男。ひょんなことから男の中に”虫”が入り込み、彼は目を覚ます。絶えず止まない頭に鳴り響く音。この音から逃れようと男は走る。音は徐々に、17時を報せるサイレンに混ざり合い、ついに男の実体が音により剥がれ落ちる。誰そ彼。釜山国際映画祭 審査員特別賞を受賞。
とおぼえ 監督:川添彩
2023|カラー|23分|出演:飯田芳、佐々木詩音、高田静流、鈴木卓爾、髙橋洋ほか
©︎東京藝術大学大学院映像研究科
弟の死に顔に自身の死を見た主人公は、自己の存在の不確かさへと思いを深めていく。内田百閒の短編小説「とおぼえ」「冥途」から着想。記憶と現実を行き来するように進む物語とフィルム撮影の光のゆらめきの中に生と死のあわいを表出する。ロッテルダム国際映画祭出品。
とてつもなく大きな 監督:川添彩
2020|カラー|11分|出演:立脇実季、佐々木詩音ほか
©︎東京藝術大学大学院映像研究科
エイコは度々こどものころに聞いた音を思い出す。繰り返し思い出されるイメージは、記憶か夢かあるいは現在、もしくは他者の。音は膨張し、少年は成長している。あれはすごく大きい何か、すごく大きい何かの呼吸。第73回カンヌ国際映画祭批評家週間短編部門正式出品。
朝の火 監督:広田智大
2024|カラー|82分|出演:笠島智、山本圭将、福本剛士、須森隆文、小磯松美
©️2024「朝の火」
ごみ処理施設焼却炉。丸窓には煌々と燃える火。ラジオからは新元号を告げる官房長官の声が聞こえてくる。祐一と同僚の次郎はお宝を見つけるために穴を掘り始めるが……。ショットを重ねるたび、生きづらさを抱える人々の未来と過去とが巧みに交錯していく。
まとめ(注目ポイント)
- 「CINEMA BANDWAGON vol.02」開催決定2026年12月12日(土)より、シアター・イメージフォーラムで2週間限定のレイトショー。
- 3監督の特集を中心に全17作品を上映リトアニアのヴィータウタス・カトゥクス、シンガポールのマーク・チュア&ラム・リーシュエン、日本の大河原恵を特集。
- 川添彩監督『幽明の虫』を特別上映2025年製作の13分作品。第30回釜山国際映画祭審査員特別賞を受賞。
- 甫木元空&井手健介の作品も上映『エクスネ・ケディの幽体離脱』『エクスネ・ケディの白日夢』を特別上映作品としてラインナップ。
CINEMA BANDWAGON vol.02
2026年12月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて2週間限定レイトショー
主催:シネマ バンドワゴン
協力:リトアニア・フィルム・センター 「日本におけるリトアニアの文化」
公式サイト cinemabandwagon.com



