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監督最新作『別れる決心』が第80回ゴールデングローブ賞非英語映画賞(旧・外国語映画賞)にノミネートされるなど世界的な旋風を巻き起こしている韓国の巨匠パク・チャヌク。『お嬢さん』以来5年10ヶ月ぶりとなる来日を控えている鬼才監督の凄さ、そして新作『別れる決心』で見せつけた新境地に迫る。

「この映画にはヌードもバイオレンスも必要がないと感じた」

『別れる決心』は今年5月のカンヌ国際映画祭コンペティション部門での監督賞受賞以来、世界の批評家・映画サイトから絶賛を浴び、本年度アカデミー賞®国際長編映画賞部門の韓国代表に選出。韓国では公開後に発売された脚本集がベストセラー1位を獲得、決めセリフがSNSで流行し、BTSのメンバーRMも複数回鑑賞するほどハマったと自身のSNSやYouTubeで報告するなど、社会現象ともいえるブームを巻き起こしている。

『別れる決心』

物語は、刑事ヘジュン(パク・ヘイル)が、崖から転落死した男の妻ソレ(タン・ウェイ)の調査を開始することから始まる。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める…。

そんな本作の監督を務めたのが、韓国の鬼才パク・チャヌク。『オールド・ボーイ』(03)で第57回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞。その後『渇き』(09)『イノセント・ガーデン』(13)『お嬢さん』(16)など唯一無二の作品で世界中の観客と批評家を唸らせ続けてきた巨匠だ。

監督がその名を世界中に知らしめたのが、2000年に発表した、南北分断を背景に男たちの友情を描く『JSA』。韓国国内で封切られると、当時の観客動員記録を塗り替える大ヒットを記録し歴代興行収入No.1を獲得。韓国国内の賞を総なめにするなど社会現象を巻き起こし、第51回ベルリン国際映画祭コンベティション部門にも出品された。翌年、日本でも公開されると公開当週興行収入第1位を記録。同年に日本公開された『シュリ』の大ヒットに続き、01年に日本公開され、日本国内での“韓国映画ブーム”を巻き起こした。

03年に発表した復讐サスペンスの金字塔『オールド・ボーイ』は日本の漫画を原作にした作品。第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、審査員特別グランプリを受賞し、審査委員長のクエンティン・タランティーノから「できればパルム・ドール(最高賞)を授与したかった」と激賞されたという逸話も。本作は『復讐者に憐れみを』(02)、『親切なクムジャさん』(05)とともに「復讐3部作」と称される。

09年『渇き』でも第62回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、13年には『イノセント・ガーデン』で韓国監督初のハリウッド進出(同時期にキム・ジウン監督の『ラストスタンド』、続いて19 年に日本でも一大ブームを巻き起こした『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』もある)。16年に公開された前作『お嬢さん』は第71回英国アカデミー賞にて非英語作品賞を獲得するなど国内外で多数の賞を受賞した。

そんな韓国映画界を牽引し続ける監督の最新作が『別れる決心』。韓国国内では、韓国の“アカデミー賞”とも称される、最も権威ある映画祭・青龍賞で監督賞をはじめ7冠を獲得。大鐘賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞の3冠を獲得し、韓国映画制作家協会賞で6 冠、韓国映画評論家協会で6冠獲得など、韓国国内の映画賞を軒並み受賞し、社会現象ともいえるブームを巻き起こしている。

さらに国内のみに止まらず、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門での監督賞受賞を皮切りに、本年度のアカデミー賞®国際長編映画賞部門の韓国代表選出、先日発表された第80回ゴールデングローブ賞でも非英語映画賞(旧・外国語映画賞)にノミネートされるなど、その勢いはとどまるところを知らず、映画界に旋風を巻き起こしている。

パク・チャヌク監督作品は、過激な「エロス」「バイオレンス」描写に定評があるが、この『別れる決心』はサスペンスとロマンスが溶け合う珠玉のドラマで、そういった過激なシーンはほとんどない。パク・チャヌク監督作品で本国においてR(18 歳以上観覧可)の等級がつかないのは、12歳鑑賞可指定の『サイボーグでも大丈夫』以来、16年ぶりとなる。

ただ、そういった過激な描写が少なくとも、パク・チャヌク監督らしさは健在。監督はカンヌ国際映画祭では「この映画にはヌードもバイオレンスも必要がないと感じた。そういった描写がないからと言って、必ずしも進化してないわけではない。ただ、大人の映画を作りたかったんです。大人の映画というと、みんなエロティックなものやセクシーなものを期待するけれど、私は全く逆の発想だったんですよ」と本作についてコメント。「今年最もロマンチックな映画」(IndieWire)との呼び声も上がり、過激な描写がなくとも、なんとも官能的なムードを漂わせる本作に世界中が熱狂している。間もなく来日を果たす監督が日本で何を語るのか注目だ。パク・チャヌク監督が登壇する先行プレミアは12月26日(月)に開催予定。

『別れる決心』は2023年2月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。

作品情報

別れる決心
2023年2月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

STORY
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)と、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)は捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたへジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。

監督:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:헤어질 결심|2022 年|韓国映画|シネマスコープ|上映時間:138 分|映画の区分:G

© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト https://happinet-phantom.com/wakare-movie/

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