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チャイ売りから映画監督を目指した少年の驚くべき“実話”から生まれた感動作『エンドロールのつづき』(1月20日公開)の試写会イベントが1月13日(金)に開催され、パン・ナリン監督がオンライン登壇。映画評論家の森直人とともにトークショーを行った。

「日本のタイトルは大好きです!原題の『Last Film Show』より気に入っています」

本作の舞台であるインドのグジャラートに工場を持つ大手自動車メーカースズキ株式会社プレゼンツで開催された本試写会。抽選で招待された約100人の観客を前に、映画評論家の森直人に続いてオンラインでロサンゼルスと繋がっているパン・ナリン監督が登場。現地は夜中の 1 時過ぎにもかかわらず元気よく登場した監督は「日本の皆さんとお話できて嬉しいです。今は来たるアカデミー賞のために会員向けの試写会に参加しています」と挨拶。本作はアカデミー賞の国際長編映画賞インド代表として現在ショートリストに選出されており、現地にてキャンペーンを繰り広げている中でのオンライントークショーとなった。

多くの試写会に参加しているという監督は「海外での反応でなにか面白いものがありましたか?」と問われると、スイスで実施した試写会を例に挙げ「ご家族や子供連れなど、若い方が多く参加してくれたんです。試写会の後に観客と会ったら、子供たちがたくさん来てくれて“主役はだれなの?”と聞かれたので『バヴィンという名前の子だよ』というと、バヴィン!バヴィン!とバヴィンコールがはじまってしまい…。みな興奮していました」とその時の驚きの様子を明かした。

そしてもうひとつ、本日ロスで実施したという試写会では、ハリウッドで活躍する名だたる撮影監督が試写に来てくれたといい「みなさん心から感動してくれて、自分の涙を指で拭って私に触れたんです。この映画をみて、撮影監督に感動してもらえたというのは、とてもエモーショナルな体験でした」と感激の体験を明かした。

本作の着想について話題が及ぶと、2011年に監督の故郷、インドのグジャラートに行った際に友人に会ったことがきっかけだったと語る。「友人はデジタル化の波で35mm フィルムが無くなって失職しました。他にもたくさんの映写技師が職を失ったんです。その友人とフィルムに対する愛について語りました。当時自分は学校に持っていくお弁当を彼に持っていくことで(交換条件として)映画を見せてもらっていた。生涯の友です。そんなところから本作の着想が始まりました」というと、森は「映画そのままですね!」と驚きの声。

さらにカースト最上位のバラモンでありながら、生活に苦労を強いられていたというところ、映画を見せてもらえなかったところも実話と明かし、映画で描かれた幼少時代そのままの生活を送っていたと監督は明かす。「子供のエピソードはそのままです!ガラスや捨てられたミシン、扇風機などを集めて自分なりの映写機を作りました。それは子供だったので特別なことではないんです。子供は人にどう見られるかということを恐れない。やりたいことをやるというところがクリエーションの源です。それは大人になると失われてしまいます」と語り、インド公開時のキャッチコピー「何もないからこそ、なんでもできる」という言葉を紹介した。

森が「原題は『Last Film Show』ですが、日本のタイトル『エンドロールのつづき』についてどのような感想を持たれていますか?」と尋ねるとすぐさま「日本のタイトルは大好きです!原題の『Last Film Show』より気に入っています」と会場の笑いを誘う。「原題は何かが終わってしまうというふうに感じますが、日本の題名には未来が感じられますね。松竹さんから連絡をもらった時、なんて頭がいいのだ!と思いました。フィルムの終焉は描かれていますが、映画自体は続いていくということがテーマにもなっている。変わらずつづいていくんです」と語る。

本作には沢山の巨匠監督へのオマージュが散りばめられており、それは「映画作家への大きな大きなラブレター」という。作中に勅使河原宏、小津安二郎、黒澤明の名前も出てくるが、そんな巨匠たちの作品を配給した松竹に、本作も配給されることについて聞くと、「オーマイガー!本当に心から光栄に思い、ワクワクしています。松竹のロゴが出てくるとこれからすごいものが見られるんだ!とワクワクした学生時代を思い出しました。自分の作品の最初に松竹さんのロゴがつくんだと思うと涙が出るくらい嬉しいです。歴史が古く映画が始まった頃からあった松竹さんに公開してもらってとても幸せです」と感激しきり。

最後に「この作品はスターがいる作品ではありません。心で作った作品です。運良く世界中の方達に愛されています。ぜひ日本でも沢山の方に見ていただきたいです」と観客に向けてメッセージを送り、「私は日本が大好きです!アカデミー賞のキャンペーンで忙しいのですが、あさってから日本に行きます!ぜひ直接皆さんとお話しできればいいなと思っています」と来日を楽しみにしていると語りトークショーを締めくくった。

『エンドロールのつづき』は1月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋 他全国公開。

作品情報

エンドロールのつづき
2023年1月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋 他全国公開

STORY
9歳のサマイはインドの田舎町で、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣なものだと思っているが、信仰するカーリー女神の映画は特別と、家族で街に映画を観に行くことに。人で溢れ返った映画館、席に着くと、目に飛び込んだのは後方からスクリーンへと伸びる一筋の光…そこにはサマイが初めて見る世界が広がっていた。映画にすっかり魅了されたサマイは、再び映画館に忍び込むが、チケット代が払えずつまみ出されてしまう。それを見た映写技師のファザルがある提案をする。料理上手なサマイの母が作る弁当と引換えに、映写室から映画をみせてくれるというのだ。サマイは映写窓から観る色とりどりの映画の数々に圧倒され、いつしか「映画を作りたい」という夢を抱きはじめるが―。

監督・脚本:パン・ナリン 出演:バヴィン・ラバリ
2021 年/インド・フランス/グジャラート語/112 分/スコープ/カラー/5.1ch/英題:Last Film Show/日本語字幕:福永詩乃 G 応援:インド大使館 配給:松竹

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公式サイト movies.shochiku.co.jp/endroll

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