パンデミック以前に構想された衝撃のロックダウン・スリラー『ピンク・クラウド』(1月27日公開)の本編冒頭映像が解禁された。また著名人コメントも解禁となり、豪華執筆陣による充実のパンフレットの販売が決定した。
本作は突如現れた謎のピンクの雲によって部屋の中に閉じ込められ、“ロックダウン”生活を余儀なくされた人々を描くディストピア・ムービー。2017年に脚本が書かれ、2019年に撮影されたが、当初はSFとして構想されていたにもかかわらず、 世界的なパンデミックで一変した現実と重なるという、思いもよらぬ形で世界の脚光を浴びた。
このたび解禁された本編映像は、一晩の関係を共にしていたジョヴァナとヤーゴが突然の警報から家に閉じ込められる冒頭シーン。ネットの情報も当初はフェイクニュースだろうと信じていなかった二人だったが、鳴り響く警報、テレビ中継での「ピンクの雲に触れると10秒で死ぬ」という情報、さらに実際に死にゆく人々の映像に接し、慌てて全ての窓を閉め切り家族に連絡をする。コロナ禍でも現実に多くの人々が抱いたであろう何も分からないという不安と、一過性のものにすぎないだろうというまだ楽観的な気持ちとが不思議と入り混じる感情。ほとんど何も知らない男女二人の人生がこれから数年続くことになることは、まだ知る由も無かったのだった…。
そんな本作をいち早く鑑賞した著名人からコメントが到着。テクノロジーやジェンダーをテーマにした作品でしられるアーティストのスプツニ子!、「臨死!!江古田ちゃん」などで知られる瀧波ユカリ、精神科医の星野概念など幅広い分野の著名人からコメントが寄せられた。コメント全文・一覧は記事下にて。
本作の劇場用パンフレットには総勢10名が寄稿。映画批評のみならず小説、詩や俳句まで掲載された文芸誌のような体裁をとり、それぞれの執筆者が思い描いた映画『ピンク・クラウド』の世界を味わうことができる豪華パンフレットとなっている。
アニメ『ゴジラ S.P』のシリーズ構成・SF 考証・脚本・小説版も手がけたことが記憶に新しい芥川賞作家・円城塔がコメントに加え映画『ピンク・クラウド』をモチーフにした小説を書き下ろしたほか、ミュージシャンとしても活動する精神科医・星野概念と、星野の著書に影響を受けたという気鋭のアーティスト・雪下まゆの対談が実現。また、邦訳書としては異例の大ヒットを記録したルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」の訳者としても知られる翻訳家・岸本佐知子が、より深く映画の世界を味わうためのブックガイドを寄せた。人気イラストレーター・三好愛と、インタビューエッセイ「沼で溺れてみたけれど」著者のひらりさがエッセイを書き下ろしたほか、仲西森奈、文月悠光、平岡直子、オルタナ旧市街、稲垣貴俊など注目の執筆陣が名を連ねる。
なお、パンフレットは1月27日の映画公開と同時に上映劇場にて発売、配給会社サンリスフィルムのオンラインショップでも予約可能。
世界的なパンデミックとの偶然の重なりによって自らの体験と切り離しては語れない本作。イウリ・ジェルバーゼ監督は「あなたにとってのピンクの雲が何かを考えてほしい」とメッセージを寄せている。
『ピンク・クラウド』は1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
著名人コメント一覧(五十音順)
アタシたちは何が起きるか予測もできない狂った世界で生きている。外を歩くだけで傷ついたり事故にあったり、死んでしまう可能性すらあるこの謎に満ち溢れた世界において「ピンク色の雲に触ったら10秒で死ぬ」というあっけなさは、死への甘い欲望を引き出す。終始ピンク色の膜にうっすら覆われているかのような画面を見つめていると、雲が部屋の中にも充満しているように見えてきて息苦しい。登場する女たちに降りかかる出来事を見ていると、狭い世界に男とぎゅうと閉じ込められた時に苦しむのはやはり女なのだろうかと考えさせられてしまう。抵抗のすべを見つけよう。死んでるのか生きているのかわからなくなった時、アタシたちは雲への欲望を止めることができないだろう。
石原海|映画監督 ・アーティスト
ラヴィアンローズ。ピンクの暮らし。人恋しくないわたしには、それは理想郷のようにも見えて、現実のごとく息苦しい。
円城塔|作家
限られた空間に閉じこめられ、濃すぎる関係に窒息していく金魚鉢の金魚たち。それはまったく、鏡に映った今の私たちそのものだ。
岸本佐知子|翻訳家
コロナでロックダウンの生活が始まった当初、あまりに海外が恋しくてVRヘッドセットを購入したのを思い出した。そして、それでは恋しさが解消されなかったことも。
スプツニ子!|アーティスト・ 東京藝術大学デザイン科准教授
外に出たら10秒で死ぬ状況で、妊娠出産に前向きでいられる女などいない。しかし男は違うようだ。ねえ、命がけだってわかってる?そう突っ込みたくなることは、こんな極限状態じゃなくてもあちこちの夫婦の間で起きている。一瞬の、しかし深刻なズレを男性はどうか見逃さないで。
瀧波ユカリ|漫画家
余儀なくされた環境の変化に、人間はそれぞれどう向き合うのか。未知の脅威、ロックダウンという奇しくも現代と重なる舞台で、根源的で、かつある種の哲学的、心理学的なテーマを扱っているように思いました。動物的であることと、人間的であることの微妙な差異。適応できる者、できない者。今生きている現実が時折重なり、とても切ない映画でした。
波多野裕文|音楽家・People In The Box
この作品の脚本が2017年に書かれたと知り、とてもとても驚きました。色々な登場人物たちの気持ちを深く想像しながら観る意味のある作品だと思います。
星野概念|精神科医 など
パンフレット販売情報
映画『ピンク・クラウド』劇場用パンフレット
頁数:60 ページ(予定)
販売価格:1,100 円(税込)
販売場所:映画『ピンク・クラウド』上映劇場、配給会社サンリスフィルムのオンラインショップ
予約ページ:https://senlis.thebase.in/items/70796603
執筆者一覧(五十音順):稲垣貴俊、円城塔、小沼理、オルタナ旧市街、岸本佐知子、仲西森奈、平岡直子、ひらりさ、文月悠光、三好愛 【対談】星野概念×雪下まゆ
ピンク・クラウド
2023年1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本:イウリ・ジェルバーゼ
出演:ヘナタ・ジ・レリス、エドゥアルド・メンドンサ、カヤ・ホドリゲス、ジルレイ・ブラジウ・パエス、ヘレナ・ベケル
【2020年/ブラジル/ポルトガル語/103分/シネスコ/5.1ch/カラー/英題:THE PINK CLOUD/原題:A NUVEM ROSA/字幕翻訳:橋本裕充】<PG12>
配給・宣伝:サンリスフィルム
©︎ 2020 Prana Filmes
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