第95回アカデミー賞®作品賞他主要3部門にノミネートされている話題作『逆転のトライアングル』(2月23日公開)の公開直前イベントが2月21日(火)に実施され、現代ホスト界の帝王と呼ばれ、また実業家としても活躍するローランドが登壇。映画の内容にちなみ、長い下積み時代を経て歴史を塗り替えるほどの伝説のホストになるという「大逆転」のサクセスロードを歩むことになった“人生逆転のコツ”を語った。
本作はカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞し、本年度アカデミー賞®では、作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞の主要3部門にてノミネートされ、『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ、カンヌ映画祭とアカデミー賞の2冠達成なるかと一層の注目を集めている話題作。驚くべき人間観察眼とセンス抜群のブラックユーモアで、毎度観客を絶妙に気まずい気分にさせてくれるスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンド監督による本作は、無人島に漂着した豪華客船を舞台に描く世紀の大逆転エンタメ。モデル、インフルエンサー、IT 長者、大富豪らセレブたちが乗る豪華客船が難破し、無人島で弱肉強食のサバイバル劇が繰り広げられることに――。
この日の公開直前イベントに眩しい金髪と高級感溢れる黒スーツに身を包んで優雅に登場したローランドは、まずは会場のお客さんへ自己紹介を求められると「ご存じの方も多いと思いますが、ローランドです。今日はよろしく」とホスト経験で培った余裕を見せつける。
豪華客船に乗り込んだセレブたちが無人島に漂着し、ヒエラルキーが大逆転する本作を鑑賞したローランドは「ポスターで描かれているとおり、すごく華やかで素敵な世界が描かれていると思ったら、良くも悪くも裏切られた気分!とっても下品なシーンもあって、あんな地獄絵図は久しぶりにみました(笑)。リューベン・オストルンド監督と一緒に酒飲みながら語ったらすごい面白そう」とすっかり監督の世界観に魅了された様子。
まずは映画の中で起きた出来事に対しローランドならどう行動するか?という、「ローランド流、問題解決術」を語るコーナーからトークがスタート。主人公のモデルカップルがデート代の支払いを巡り大喧嘩をするシーンに触れ、「今はジェンダーの問題もいろいろあるし“男たるもの”と大きな声では言えないんですが、僕なりの理論でお話するとデート代はいくらでも支払いますね。僕は“惚れた女に振り回されること”が最高の幸せだと思っているので。デートで彼女に支払えと言われれば、向こうに感謝の気持ちが一切なくたって、その場で一括で支払って、あとでカード会社にこっそり電話してリボ払いにしてもらって、家でカップラーメンをすすりますよ。そこまで振り回される自分が愛おしいな、って思っちゃいます」と超ポジティブな思考法を展開。
続けて「僕の持論は『小金持ちになりたいなら奢るな、幸せになりてぇなら奢れ』。好きな人につくすのはこれ以上ない幸せなことだと僕は思うんでね。これは男女関係なく共通して言えること」とローランド節さく裂の格言が飛び出し、会場からは自然と拍手が起こる。
次に、豪華客船に乗船したセレブリティたちがクルーに無理難題を突きつけるシーンに絡め、「今までに経験した無理難題は?」という質問をされると、「歌舞伎町は資本主義の権化みたいな場所なんで、いろんな人たちを見てきましたよ」と笑い、「僕がされたことではないですが、あるホストの靴を脱がせて酒を注ぎ『これを飲んだら、もう1本ボトルを入れてあげる』って言ったお客様の行動には驚かされました」と予想の斜め上をいく光景を目にしたと明かす。「お金持ちになりたいんだったら、その酒は飲んだ方がいい。でも僕は飲みません。僕の中に『格好悪く勝つより、美しく負けたい』という言葉があるので、僕だったらそのお客様には『お出口はあちらです』とはっきり言いますね。それでチャンスを逃して涙を飲んだことも実際数えきれないほどありましたが、自分の美学は曲げたくないので仕方ないです」と、きっぱり。
もし無人島に漂着したらどう生き残るか、「ローランド流サバイバル術」はあるんですか?とMCから質問が飛ぶと、「この見た目なんで、サバイバル能力なさそうってよく言われるんですけど、僕学生時代はサッカーに打ち込んでいて体育会系なんですよ。『部活中は水も飲むな』という厳しい練習をしていた時には、わざとボールを川の近くへ蹴って拾うふりをして川の水も飲んでたし。あとは泳げるし、そこら辺の木の実とかも平気で食べれるんで、無人島でも勝てる気がしますね」と意外すぎる自信を覗かせた。
そこでMCが「無人島なので虫もでますよ?あと日陰もないから日焼けしますよ?」と返すと「あ、そうか。虫は苦手なんですよ。結構深刻だから生き残れるかどうかは五分五分かも…あと日焼けも嫌だなぁ…。小金を持つと昔みたいなガッツがなくなっちゃってダメですね。自分を見つめなおします」と、急に弱気な姿を見せ会場を笑わせた。
ここで映画のタイトルである「逆転」をキーワードに、華麗なる人生の逆転劇を現在にいたるまで見せ続けているローランドに「人生逆転のアドバイス」をもらうことに。観客から人生相談を募ると、勢いよく男性の手が上がり「今、就活を前にインターンをやっている学生なのですが、自分で考えて行動ができません」という質問が飛び出す。それに対してローランドは「この社会を生きていく上で空気を読まないことが意外と大事だったりするんです。今、あなたは『質問がある人手を挙げて!』と言われて真っ先に手を挙げましたよね。会場にこんなにお客様がいらっしゃって、『誰か手を挙げるかな?』と全員が牽制している中で、手を挙げたあなたは全然空気を読めてません(笑)。でもその行動が素晴らしい。考えて動けなくて悩んでいるようですが、考える前に行動することの方が大変なんです。それができているあなたは良いインターンだと思いますよ」とローランド流の熱いエールを送った。
また「人とうまく話せるようになりたい」という観客に対しては「“話し上手”は先天的な才能ではなく、後天的に身に着けるスキルです。人との会話に緊張してしまう人はまず、挨拶のテンプレートを何個も用意しておくといいです」とホストならではの実用的なコツをアドバイス。「例えば、初めての方に対して『お会いできて光栄です!…みたいな顔してますね』とか、そのあとに続けるのは晴れ、雨、曇りなど天気の話のパターンを用意して、あとは『寒いですね』『暑いですね』などの気候の話をするとかね。『今日何度ですかね』『ローラン度です』とかね!(笑)」と、ギャグを交えながら伝授。
最後に「コロナになってから3年好きな人がいません。もう32歳なのにどうすればいいですか?」という女性からの質問に対し、「なるほど」と一瞬険しい表情を見せたローランド。「人を好きになれないというお悩みですね。3年間誰も好きになってないということですが、でもそれは今日で解決したと思いますよ。ここで僕に会いましたからね」と決め台詞を放ち、観客を赤面させた。
「恋はするものじゃなく落ちるもの。誰でもいいから、と妥協するのはいい方法ではないと僕は思います。年齢なんてただの数字。どれだけ生きたかを教えてくれても、どうやって生きてきたかは教えてくれない。あなたにはロイヤルストレートフラッシュな恋愛をしてほしい。ワンペアで手軽にあがってほしくないですよ」と優しく語りかけた。
最後に、映画の見どころと人生逆転の先輩からのアドバイスとして、「生きていれば嫌なことくらい誰にだってありますし、もちろん落ち込むこともあると思います。でも僕はそんな辛い出来事はすべて幸せへの伏線だと考えています。勝ち続ける人生なんて面白くないし、この『逆転のトライアングル』みたいに負けから逆転するのが一番面白い。僕も大きな挫折をたくさん経験しましたし、そのストーリーがあるからこそ、みんなが親近感を持ってくれているんだと思っています。これからなにか辛いことがあった時には『これは人生を盛大にするための伏線なんだ』と考えて乗り切ってほしいです。そうやって生きたあなたという人生の映画がエンドロールを迎えたときには、監督のところに“ローランド”って入れてくれることを期待しています」と見事な華麗すぎるコメントで締め、イベントは幕を閉じた。
『逆転のトライアングル』は2月23日(木・祝)、TOHO シネマズ 日比谷 他 全国ロードショー。
逆転のトライアングル
2023年2月23日(木・祝)、TOHO シネマズ 日比谷 他 全国ロードショー
STORY
モデル・人気インフルエンサーのヤヤと、男性モデルカールのカップルは、招待を受け豪華客船クルーズの旅に。リッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界。しかしある夜、船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態で、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃婦だった――。
監督:リューベン・オストルンド(『フレンチアルプスで起きたこと』、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』)
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン 他
配給:ギャガ
Fredrik Wenzel © Plattform Produktion
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