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現在絶賛公開中の『aftersun/アフターサン』の大ヒット記念トークイベントが6月14日(水)に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催され、映画評論家・森直人、映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラが登壇した。

「ビデオテープを再生する音から始まる冒頭から、なるほどこれは音の映画なんだな、と」

本作は11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る物語。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手がけるスタジオA24が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが「ベストムービー」に挙げ、毎年映画ファンが注目するオバマ元大統領のお気に入り映画にも選出されるなど、本年度を代表する1本となった。監督・脚本は、瑞々しい感性で長編デビューを飾ったスコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。父親を演じたポール・メスカルはアカデミー賞®主演男優賞のノミネートを果たした。

『aftersun/アフターサン』

この日の大ヒット記念トークイベントには、夜遅くの回にも関わらず多くの観客が集まり、なんとその3割強が複数回鑑賞していると答えるなど、まもなく公開4週目を迎えようとしている中、リピーターも目立った。森は「大好きな作品がヒットして、こうして皆さんの心に刺さっているということが非常に嬉しいです」と喜び、「『フェイブルマンズ』のスティーヴン・スピルバーグといった大物から新人監督まで、いまオートフィクションと呼ばれる、監督自身の実体験をもとに作られた作品というのがたくさんあって、私(わたくし)性という血と肉が生々しく映画に通うという意味で一様に強度が高いと思いますが、なかでも『aftersun/アフターサン』は最もパーソナルな感触を与える、語り方の独自性が群を抜いていると思います」と絶賛する。

そして、メガホンをとったシャーロット・ウェルズ監督の心情が、物語の主人公であるソフィに投影されているという点で、本作は「シンガーソングライター的な映画ではないかと思うんですよ」と自身の見解を披露。その理由として、監督が影響を受けた作家にシャンタル・アケルマンを挙げていることに言及した。「彼女もオートフィクションに近い、ルポルタージュ的要素を含む作品を作っていますが、例えば『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス湖畔通り23番地』や『アンナの出会い』が、70年代のキャロル・キングやジョニ・ミッチェルといったピアノやギターを弾きながら私(わたくし)を歌うというソリッドな形だとしたら、ビリー・アイリッシュやコナン・グレイといった現在のシンガーソングライターは、自宅で色んな機材を使いながらベッドルームで私(わたくし)の想いを普遍的な表現に昇華するというスタイルだと思うんですが、ウェルズ監督のアフターサンも、ハンディカムのビデオ映像やフィルムカメラなど多様な映像素材を組み合わせて私の心情をフィクションに昇華するという、感情と映像を繊細に結びつける有機的な作業が新しい映画言語を立ち上げている。それは、音響や音の感触を感情と結び付ける作業とすごく似てるなと思ったんです」と解説。

これには、奥浜も「ビデオテープを再生する音から始まる冒頭から、なるほどこれは音の映画なんだな、と。また、ポール・メスカル演じるカラムがベッドで眠る呼吸音が印象的に出てきますが、ウェルズ監督は呼吸音も音楽の一部と捉えていて、そこもシャンタル・アケルマン監督作にインスピレーションを受けたと話していましたね」と明かした。

実はアケルマンといえば、ちょうど会場となったヒューマントラストシネマ渋谷にて「シャンタル・アケルマン映画祭2023」という特集上映が開催されていた時期に、ウェルズ監督が初来日を果たし舞台挨拶を行うという喜ばしい偶然が重なっていた。そしてその際に進行を務めていた奥浜は、「舞台挨拶前に監督にアケルマンの話を聞いたところ、普段は言葉数の少ない監督がその話になった途端に饒舌になられたんですよ」と当時のエピソードを披露、笑いを誘った。

さらに森は、「共通の体験がなくてもこの作品が心に刺さる人が多いのは、音楽や歌が持つ波及力と近いと思うんです」と続け、「音楽は、シンガーソングライターがその人自身を主体に“私(わたくし)”を歌いますが、聴く側も“私(わたくし)”としてそれを受け取るじゃないですか。アフターサンも自分の物語になってしまうんですよね。そこのインタラクティブな交換が出来る映画でもあるんです」と、誰しもが心に仕舞っている大切な記憶を揺り起こす本作ならではの魅力に触れた。

その私的な目線として森は、「ソフィとカラムが過ごすバカンスという設定・記録から、ソフィの主観・想像、つまり記憶へと接続されるその飛び方にグッときました。例えば子どものころに親のよくわからない姿を見て、なぜああいう顔をしていたのかそのときは分からなかった、でも今ならわかるというあの感じが映像になっている、そこに涙腺をつかれました」と明かし、奥浜も、「親は立派なものと思い育ってきましたが、10代のころに自分の親の未熟さを感じる出来事が私にもあって、性別を問わず親の未熟さというものを目の当たりにするとどうしても昔の自分の感覚を思い出してしまうことがありますね」と本作を通して揺り起こされた自身の体験・記憶について語った。

最後に森は、「いまはわかりやすくて説明しやすい、答え合わせができる作品が求められる風潮にありますが、受け手がどれだけ想像力を働かせるかという相互作用が大事だと思うんですよね。『aftersun/アフターサン』は観客の解釈を断定するような作品ではないし、こうした作品が日本でヒットしているということはとても勇気づけられます」とコメント。

同じく奥浜も「この作品がヒットしたことで、今後日本で上映される作品の道が開けたというか。分かりやすさというところから揺り戻しがきて、こうした作品が評価されるというのは素晴らしいなと思います」と今後の日本での公開作品にも期待を込め、イベントを締めくくった。

『aftersun/アフターサン』は絶賛大ヒット公開中。

作品情報

aftersun/アフターサン
2023年5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開

STORY
11歳の夏、思春期のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす31歳の父親・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、ふたりは親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。

監督・脚本:シャーロット・ウェルズ(初長編監督作品)
出演:ポール・メスカル(ドラマ「ノーマル・ピープル」『ロスト・ドーター』)、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホール
プロデューサー:バリー・ジェンキンス(『ムーンライト』)ほか
原題:aftersun/2022年/イギリス・アメリカ/カラー/ビスタ/5.1ch/101分/映倫:G
字幕翻訳:松浦美奈

配給:ハピネットファントム・スタジオ

© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022

公式サイト happinet-phantom.com/aftersun/

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