長編アニメーションに特化したアジア最大の祭典「第2回新潟国際アニメーション映画祭」が3月15日(金)~20日(水)に開催。このたび長編コンペティション部門のノミネート作品が決定した。
昨年3月の第1回映画祭は、世界で初の長編アニメーション中心の映画祭として、また多岐にわたるプログラムとアジア最大のアニメーション映画祭として、世界で大きな反響を呼んだ。長編コンペティション部門の審査委員長を押井守がつとめ、大友克洋監督も来場したレトロスペクティブ上映、さらには片渕須直監督、りんたろう監督、渡辺信一郎監督やメカニック・デザイナーで漫画家の永野護ら、名だたるアニメ関係者が集まるなど、国内はもちろんのこと、世界へも“アニメーション首都・新潟”の認知は広がり、今年の開催へ期待が高まっている。
世界的アニメーションスタジオ、カートゥーン・サルーンのノラ・トゥーミーが審査委員長を務める今回のコンペには、世界29の国と地域から昨年の2.5倍となる49作品が集まった。選定委員は、矢田部吉彦(前東京国際映画祭シニアディレクター)、藤津亮太(アニメ評論家)、須川亜紀子(横浜国立大学教授/日本アニメーション学会会長)、矢野ほなみ(アニメーション監督)の4名のスペシャリストたち。その厳しい審査をへて、珠玉の12作品が決定した。作品は以下のとおり。プログラム・ディレクターの数土直志のコメントも到着した。
第2回新潟国際アニメーション映画祭 長編コンペティション部門ノミネート作品
『深海からの奇妙な魚』
原題:Bizarros Peixes das Fossas Abissais
監督:マルセロ・マラオン(ブラジル)
変わった超能力を持つ女性、強迫性障害のカメ、雨漏りする雲が、深海への不思議な旅に出る。
『コヨーテの4つの魂』
原題:Kojot négy lelke
監督:アーロン・ガウダー(ハンガリー)
舞台は現代。反対派は、彼らの祖先の土地から丘を下ったところにある石油パイプライン・プロジェクトの乗組員と対峙する。ネイティブ・アメリカンの創造神話に基づく壮大な冒険。
『ケンスケの王国』
原題:Kensuke's Kingdom
監督:ニール・ボイル、カーク・ヘンドリー(イギリス)
少年マイケルとその家族は、思い出づくりの船旅に。しかし激しい嵐が吹き荒れ、マイケルと愛犬ステラは離島に打ち上げられる。第2次世界大戦以来この島で密かに暮らしてきた謎めいた日本人ケンスケを見つけるが・・・
『クラユカバ』
英題:KURAYUKABA
監督:塚原重義(日本)
今、世間を惑わす“集団失踪”の怪奇に、探偵・荘太郎が対峙する! 目撃者なし、意図も不明。その足取りに必ず現る“不気味な轍”の正体とは…。手がかりを求め、探偵は街の地下領域“クラガリ”へと潜り込む。
『アリスとテレスのまぼろし工場』
英題:maboroshi
監督:岡田麿里(日本)
製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町で暮らす14歳の正宗。ある日、気になる存在の謎めいた同級生・睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこにいたのは言葉の話せない、野生の狼のような少女・五実――。二人の少女とのこの出会いは、世界の均衡が崩れるはじまりだった。
『マントラ・ウォーリアー ~8つの月の伝説~』
原題:นักรบมนตรา: ตำนานแปดดวงจันทร์
監督:ヴィーラパトラ・ジナナビン(タイ)
500年ごとに、神聖な力を持つ女性が生まれる。彼女はすべてのものを創造または破壊する力を持っていた。ヴァナラの8つの月が整列するとき、キング・トッダサカンはこの奇術の力を求め、宇宙の運命をかけるーー
『マーズ・エクスプレス』
原題:Mars Express
監督:ジェレミー・ペラン(フランス)
舞台は近未来。私立探偵アライン・ルビーとアンドロイドのパートナーは、悪名高いハッカーを追跡するために裕福な実業家に雇われた。 彼らは火星で、この惑星の首都の地下深くに潜入する。そこで彼らが見たものは・・・
『オン・ザ・ブリッジ』
原題:Sur le Pont
監督:サム&フレッド・ギヨーム(スイス、フランス)
天と地を結ぶ吊り橋へと向かう不思議な列車に乗り込んだ男女。ある者は自分がなぜここにいるのかを理解しようとし、ある者は希望と恐怖について語り、ある者は地上の思い出を語る。
『スルタナの夢』
原題:Sultana's Dream
監督:イザベル・エルゲラ(スペイン)
インドに住むスペイン人画家のイネスは、1905年にロケヤ・ホサインが書いたSF小説『スルタナの夢』を偶然目にする。女性が国を支配し、男性は隠遁して家事を担当するユートピア、レディランドが描かれていた。イネスはこの物語に魅せられ、女性が平和に暮らせる場所を探す旅に出る。
『インベンター』
原題:The Inventor
監督:ジム・カポビアンコ、ピエール=リュック・グランジョン(アメリカ)
飽くなき好奇心と強気な発明家レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリアを離れ、フランスの宮廷に入る。空を飛ぶ仕掛けや驚くべき機械を発明したり、人体を研究したりと、束縛されない日々。大胆な王女マルグリットと共に冒険を繰り広げながら、レオナルドは究極の問いへの答えを発見する
『アザー・シェイプ』
原題:La otra forma
監督:ディエゴ・フェリペ・グスマン(コロンビア)
疑う奴はスクエアパラダイスに入るな!近未来、人類は月面に楽園を築いた。この場所に入るには、文字通り頭が四角でなければならない。正方形になるか、それとも自分の中にある真の形を解き放つかというジレンマに直面する・・・
『アダムが変わるとき』
原題:When Adam changes
監督:ジョエル・ヴォードロイユ(カナダ)
周りの人たちからの嘲笑や否定的な発言で、身体が変化するという奇妙な特異性を持つティーンエイジャー、アダム、15歳。変化に変化を重ね、ただでさえ複雑な彼の人生はどんどん複雑になっていく!
プログラム・ディレクター:数土直志コメント
第2回となる新潟国際ア二メーション映画祭のコンペティション部門ラインナップが決定しました。前回の約2.5倍になる49作品ものエントリーがありました。世界29ヵ国・地域から応募され、それはアジアから南北アメリカ、ヨーロッパ、それに中近東、アフリカにまでに及びます。
エントリー作品は文化面だけでなく、制作手法や表現方法などで前回以上に多様な作品が並びました。従来のアニメーションの概念には収まらない作品もみられ、「アニメーションとは何か」を巡って選考委員の間で熱い議論が交わされる場面もありました。
本映画祭のコンペティションは長編作品に特化しており、そのなかで総合的な映画としての完成度の高さを選考の重要な判断基準としました。「優れた映像」「優れた物語」「多様性の実現」です。
しかし、コンペティションでは前回の10作品よりも多い12作品をセレクションしましたが、ここに入れ切れず涙を呑んだ作品も少なくありません。
今回のコンペティション作品は選び抜かれた、映画祭が自信を持って届けるものです。新潟で作品を観ていただければ、きっと世界のアニメーションの今が体験できるはずです。
第2回新潟国際アニメーション映画祭
2024年3月15日(金)~20日(水)開催
英語表記:Niigata International Animation Film Festival
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ
公式サイト https://niaff.net
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