ヴィム・ヴェンダース監督が手掛けるアートドキュメンタリー『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が6月21日(金)より全国順次公開。このたびヴィム・ヴェンダース監督からのメッセージ映像が到着。あわせて村上隆、会田誠、山口つばさ(漫画「ブルーピリオド」作者)ほか各界の著名人からの熱烈コメントが解禁された。
本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。監督は、『PERFECT DAYS』(23)で第76回カンヌ国際映画祭 主演俳優賞(役所広司)を受賞し、第96回アカデミー賞®国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。
このたびヴィム・ヴェンダース監督から、日本公開に向けたメッセージが到着。「親愛なる日本の観客の皆さま 皆さまが『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』をご覧いただくのを嬉しく思います」と挨拶。そして、「(本作は)冒険であり経験です 違う世界にあなたを連れて行ってくれます」と語った後、最後に「(本作の)アートを経験して、その巨大さを感じていただければ嬉しいです」と続け、「それによって あなたの今が豊かになることを願っています」とコメントしている。
そして、村上隆(現代美術作家)、会田誠(美術家)という錚々たる芸術家たちを始め、漫画「ブルーピリオド」の作者で漫画家の山口つばさ、日本最大級のアートポータルサイト「美術手帖 ウェブ版」編集長の橋爪勇介、建築評論家の五十嵐太郎、滋賀県立美術館ディレクターの保坂健二朗、アイドルの和田彩花など、各界の多くの著名人から絶賛コメントが寄せられた。コメント一覧・全文は以下にて。
『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』は6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開。
著名人コメント一覧(順不同)
・村上隆(現代美術作家)
僕が現代美術に憧れた作品を作っていた、キーファーさん。
現代美術の世界では珍しい立ち位置で、メランコリーな記憶を巨大な作品にして制作するスタイルはもう40年以上続いているようだ。
日本では数回大きな個展が行われたが、近況は報告されてこなかったので、嬉しい映像作品である。
年老いても尚、巨大な画面に向かって制作し続けている姿勢に、勇気をもらえる。
・会田誠(美術家)
少しは知っていたけれど、キーファーの作品は想像していた以上にデカい。時々スケール感が狂って笑ってしまうくらいに。
「どう考えても運搬は不可能でしょ!」というものも多く、キーファーの全貌を知るためためには、この「現地」に行くしかなさそう。
そんな世界中の多くの人々のために、ヴェンダースがこの映画を作ってくれたことはよくわかりました。
さすがの撮影、さすがの編集。「現地」に行く次善策。全美術ファン、美大生必見でしょう。
・五十嵐太郎(建築評論家)
キーファーの絵画に遭遇すると、知らない記憶が呼び起こされるとともに、物質的な存在感に圧倒される。
キャンバスを叩き、ひっかき、燃やし、鉛を垂らす。
映画では、そのアクションに息をのむ。
どのような環境で、巨大な作品群は制作されるのか?
建築スケールのプロジェクトに至っては簡単に巡回できない。
空間を巻き込む彼の作品は、映画館の大きなスクリーンで鑑賞するのにもふさわしいことに気づかされた。
・山口つばさ(漫画家)
キーファー氏の作品はとても大きいですが、この映画を観た後、彼にとってキャンバスはあまりにも小さすぎると気付かされます。
アーティストのドキュメンタリー映画ですが、絵を描く人も描かない人もきっと圧倒されます。
この「傷ついた世界」で生きる人たちに見てほしい映画だと思いました。
・和田彩花(アイドル)
歴史の痛みをどう個人が引き受けられるだろうか?
溶けた鉛を垂らし、炎で焦げさせていく絵画の制作過程と、象徴的なポーズで写真に写るキーファーの姿から、答えになりそうなものを考えたい。
・橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)
本作はキーファーを“説明する”映画ではない。
“傷ついた世界”を直視しようとする作家の思考の一端に触れることができる貴重な機会だ。
・保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
神話と歴史、あるいは神話と芸術の間で、危険な綱渡りをしてきたアンゼルム・キーファー。
その原動力でもあった彼のオブセッションは、作品の巨大化と重量化を推し進めもし、もはや南仏に彼がつくったサイトにいかなければその全体像を捉えるのは不可能になってしまっていた。だからこうも言えるだろう。ヴェンダースは、不可能を可能にするべくこの映画をつくってくれたのだと。
キーファーを知らずして戦後の表現を語ることができない以上、これを見ることは、今ここを生きる者の責務である。
・青野尚子(アートライター)
ともに終戦の年に生まれた二人。
キーファー個人の時間を行きつ戻りつしながら彼がどのように歴史と向き合ってきたのかが綴られる。
容易に辿り着くことのできないキーファー作品の重さ、幾重にも積み重ねられた闇の奥にあるものが見えてくる。
・ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)
劇中キーファーが、巨人に見えたり小人に見えたりした。
その両方を行き来する引き裂かれた身体は、戦後ドイツと彼自身の歴史の裂け目にしか生きていけないことを証明している。
・長澤均(服装史家/デザイナー)
キーファーの全ての作品は美術史上かつてなかったほどに重量がある。
その重量となっているのが、絵の中に堆積された歴史時間と神話空間である。
・渋谷哲也(日本大学教授/ドイツ映画研究)
ヴェンダースが自ら分身のように寄り添うアンゼルム。
彼らは戦後ドイツの歴史の天使として過去の廃墟にまなざしを向けながら未来の光芒に向かって流されてゆく。
ヴェンダース映画が有する限りないポジティヴさの本質を示す必見の作品だ。
アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家
2024年6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開
監督:ヴィム・ヴェンダース エグゼクティブプロデューサー:ジェレミー・トーマス 撮影:フランツ・ルスティグ ステレオグラファー:セバスチャンクレイマー 編集:マクシーン・ゲディケ 作曲:レオナルド・キュスナー 出演:アンゼルム・キーファー ダニエル・キーファー アントン・ヴェンダース
2023年/ドイツ/93分/1.50:1/ドイツ語・英語/原題:Anselm/カラー・B&W/5.1ch/3D&2D 字幕:吉川美奈子 配給:アンプラグド
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公式サイト unpfilm.com/anselm
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