Elles Films(エルフィルムズ)株式会社は、パキスタン初の長編・手描きアニメーション作品『The Glassworker(英題)』を日本で配給することを決定した。また本作の日本語吹替版の制作と全国規模での公開を目指し、本日よりクラウドファンディングがスタートした。

ジブリ作品に憧れて育った若き監督が手がけた本作は、戦争の惨さと芸術の美しさの対比をテーマに、架空の街を舞台にして、戦火に揺れる若いふたりの恋のゆくえや親子の葛藤を繊細に描いた作品。2024年アヌシー国際アニメーション映画祭でワールドプレミア上映を果たし、第97回アカデミー賞パキスタン代表作品にも選出されている。
若きガラス職人ヴィンセントは、師匠である父と静かに暮らしていた。だが、戦争の影が迫るある日、軍人の娘でヴァイオリニストのアリズが現れ、二人の運命は静かに交差していく。ガラスと音楽という異なる芸術で惹かれ合う若者たち。しかし、親の信念、社会の階級、そして戦争という逃れられない現実が、ふたりの想いを容赦なく引き裂こうとする――。
監督のウスマン・リアスは、9.11以降の混乱と変化の中にあるパキスタン社会で育ったことで、戦争の痛ましさを自分たちの世代の視点で物語として描く必要があると感じ、本作の制作に取り組んだ。そして2025年5月、カシミール地方で新たな軍事衝突が発生。衝突が続くこの地域では、戦争が遠い場所の話ではなく、日常に影を落としている。だからこそ、「戦争の愚かさと芸術が持つ美しさ」を静かに語るこの作品のメッセージは、今、さらに深い意味を持ちはじめている。

クラウドファンディング開始
Elles Filmsは、ウクライナのアニメーション映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』を日本に届けるために2022年に立ち上げた映画配給会社です。当時、多くの方から「映画を通して戦争や国際問題を調べました」「自分の子供に戦争について話すきっかけになりました」といった声をいただきました。その経験を通して、映画には感動を与えるだけでなく、“関心を行動へと変える力”があることを確信し、それが私たちの活動の原点となりました。今回のプロジェクトでも、作品の魅力と社会的意義を伝えることで、映画を通じた国際的な架け橋の役割を担いたいと考えています。より多くの人と日本の子供達へ本作を届けたいという強い想いから、日本語吹替版の制作を決定。吹替版にかかる制作費用や宣伝費の支援を希望し、クラウドファンディングを開始します!リターンには、グッズのプレゼントや宣伝会議へのご招待、キャスト登壇試写会の開催や、日本語吹替体験などを実施いたします。さらに、上映収益の一部は国境なき医師団への寄付も予定しています。
本作の魅力は、手描きアニメーションならではの温かく繊細な映像美に加え、ガラス細工と音楽、そして愛と葛藤を描いた心に残るストーリーです。そして2024年には、世界最大規模のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭でワールドプレミア上映を果たし、パキスタン初の長編アニメとして第97回アカデミー賞のパキスタン代表作品に選出されるなど、世界的に高い評価を受けています。そして何よりも、ウスマン・リアス監督自身が「ジブリの作品は、日常にある美しさ、そして美しさのなかにある悲劇を私に見せてくれました」と語り、いつかジブリのような傑作アニメを生み出すことを夢見てきました。その思いを胸に来日した際には、スタジオジブリを実際に見学。スタッフから直接受けたアドバイスと激励を糧に、アニメーション産業が確立されていないパキスタンで仲間を集め、10年という長い歳月をかけてこの作品を完成させました。このようにパキスタンの若者たちの情熱と努力、そして日本のアニメーション文化への深い敬意から生まれた本作は、日本とパキスタンのアニメーション文化をつなぐ希望のかけ橋になると信じています。
※本プロジェクトの詳細につきましては、クラウドファンディングページよりご確認ください。
【クラウドファンディングURL】
https://motion-gallery.net/projects/theglassworker
The Glassworker(英題)
STORY
若きガラス職人ヴィンセントは、師匠である父と街の中にあるガラス工房で、一緒にガラス工芸を作りながらに静かに暮らしていた。穏やかな日常は、ある日突然訪れた軍人の親子―陸軍大佐と、その娘でヴァイオリニストのアリズによって揺らぎはじめ、国が戦争と混乱の渦に巻き込まれると、その静寂は次第に砕かれていく。ヴィンセントとアリズは、ガラスと音楽という異なる芸術を通して、互いの心に静かに触れていくが、彼らの間に立ちはだかるのは、親の価値観、社会の階級、そして戦争だった。この物語は、古い価値観が重要視されていた時代に、それでも「愛すること」「信じること」「表現すること」をあきらめなかったふたりの軌跡。人生はガラスのように壊れやすく、でも美しい――
監督:ウスマン・リアス/制作年:2024年/制作国:パキスタン/制作スタジオ:Mano Animation Studios/上映時間:95分
© 2024 – GLASSWORKER, LLC ALL RIGHTS RESERVED
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