ベルギーの新鋭、レオナルド・ヴァン・デイル監督の長編デビュー作となる『ジュリーは沈黙したままで』がいよいよ本日10月3日(金)より公開中。このたび、タレントの相沢梨紗、作家の阿部和重、俳優の西田尚美ら各界著名人からのコメントと、アーティストのカワイ ハルナからイメージイラスト2種が到着した。


ベルギーのテニスクラブに所属する15歳の有望選手ジュリーは、信頼していたコーチの突然の解任と、彼の教え子の不可解な自死をきっかけに重圧を背負う。選抜テストを控えるなか、周囲が真相を探る一方で、彼女はトレーニングを続けながらも沈黙を守り続ける──。スポーツ界で子どもが「小さな大人」として扱われる現実に迫る本作は、ダルデンヌ兄弟が共同プロデュース、大坂なおみがエグゼクティブ・プロデューサーを務める話題作。主演は実際にテニス選手でもある新星テッサ・ヴァン・デン・ブルック。
今回各界著名人から寄せられたコメントはそれぞれの想いが溢れるもの。タレントの相沢梨紗は「主人公の人間力の高さに脱帽する。彼女の人間性を敢えて引き立てるような演出はこの映画には用意されていない。粛々と流れる物語の中に、驕らず・怠けず・親切な様子が自然と収められており感動した。面倒な思考や過程を手放した先で「誰かが幸せ」だとしても、自分が満足できる保証はどこにも無い。自分の信じる真実を受け止めるべく、考える事を諦めない彼女の中に稀有な強さを感じた」、作家の阿部和重は「重い事件が起こってしまったあと、残された謎とひとびとの心理という見えない部分にカメラはどうせまるべきかを考えさせる、ダルデンヌ兄弟の映画よりもずっと大胆で誠実なデビュー作」、俳優の西田尚美は「沈黙することは、とても大事なことだ。沈黙出来る環境も。観察し、耳を澄ませて、思考する。そして日常を過ごす。私たちは皆ジュリーなんじゃないか?私はじっとその沈黙を受け入れたいと思った」と寄せた。ほかにも、ライターのISO、アーティストのカワイ ハルナ、ライター・編集者の月永理絵、映画音楽作曲家・演奏家の世武裕子、作家/映像作家の中村佑子からも称賛のコメントが到着した。コメント全文・一覧は以下のとおり。
あわせてアーティストのカワイ ハルナからは本作をイメージしたイラストポスター2種も到着。幾何形態を組み合わせた独自の造形物を描くことでも知られるカワイ。物体と物体の関係性に興味があり物理現象を観察して絵を作っており、展示を中心に、書籍の装丁やプロダクトも手がけているが、今回は「テニス」という本作の重要なテーマであり、主人公ジュリーの心を象徴するキーワードに想いを込め、見る人の心を捉えるキャッチーなビジュアルを描き出している。
著名人コメント全文 ※50音順・敬称略
主人公の人間力の高さに脱帽する。
彼女の人間性を敢えて引き立てるような演出はこの映画には用意されていない。
粛々と流れる物語の中に、驕らず・怠けず・親切な様子が自然と収められており感動した。
面倒な思考や過程を手放した先で「誰かが幸せ」だとしても、自分が満足できる保証はどこにも無い。
自分の信じる真実を受け止めるべく、考える事を諦めない彼女の中に稀有な強さを感じた。
相沢梨紗(タレント)
明確な力関係のもとで気付かぬうちに傷つけられてしまった少女の心。
そこに彼女の責任は一抹もない。だが世間は被害者が勇敢であること、
声を上げることを「あるべき姿」のように求めてしまう。
痛みを受け入れること、沈黙を破ることがいかに困難であるかも慮ることもせずに。
ISO(ライター)
重い事件が起こってしまったあと、残された謎とひとびとの心理という
見えない部分にカメラはどうせまるべきかを考えさせる、
ダルデンヌ兄弟の映画よりもずっと大胆で誠実なデビュー作。
阿部和重(作家)
情報は削ぎ落とされた映像はふとジュリーの生活に入ってしまったようなドキュメンタリーとは違う没入感が新鮮でした。
十代の頃、頑なになっていたあの頃を思い出しヒリヒリしながらも見終わった後、ジーンと浸み渡る感覚が残るのは
主人公、周りの人たち、映像の撮り方、演出全てが誠実であろうとする、そのあり方に救いを感じたからだと思います。
濃厚な映像体験でした。
カワイ ハルナ(アーティスト)
沈黙は屈することではない。
一回目は新聞を読むように。2回目はジュリーの目線で。
3回目は保護者や友人の輪に自分を忍ばせて観てみた。
静寂の持つ強さに圧倒されて、テニスコートの余白に溶けきってしまった。
この感覚、言葉では到底うまく伝えられない。
世武裕子(映画音楽作曲家・演奏家)
タイトルに反して、ジュリーはまったく沈黙などしていないと気づいたのは、映画を見始めてしばらく経った頃だ。日々のルーティンをこなし、日常をかき乱す周囲の声に身をすくめながら、彼女はずっと体全体を使って声を発していた。これは、彼女が沈黙を破るまでではなく、私たちが彼女の声を聞こえるようになるまでの、ある時間の記録だ。
月永理絵(ライター・編集者)
レシーブの快音、筋肉のなめらかさ、激しい息づかい……テニスシーンの迫真のリアリティに、ジュリーの意志力や自立心が垣間見え、だからこそ「沈黙」する彼女なりの倫理が伝わってくる。
語ることの価値が称揚される時代にあって、彼女の「沈黙」の時間に真摯に寄りそう、この美しい映画に心から魅了された.
中村佑子(作家/映像作家)
私は、ジュリーととても気が合うと思う。
沈黙することは、とても大事なことだ。沈黙出来る環境も。観察し、耳を澄ませて、思考する。そして日常を過ごす。
私たちは皆ジュリーなんじゃないか?私はじっとその沈黙を受け入れたいと思った。
西田尚美(俳優)
ジュリーは沈黙したままで
2025年10月3日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
監督:レオナルド・ヴァン・デイル
出演:テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロン ほか
2024|ベルギー・スウェーデン合作|オランダ語・フランス語・ドイツ語|100分|カラー|5.1ch|1.85:1|原題:Julie zwijgt |
日本語字幕:橋本裕充
配給:オデッサ・エンタテインメント
©2024, DE WERELDVREDE
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